😊この章は…
術直後の厳しい時間に耐えて
一般病棟へ移った僕が
日に日に回復して行く中で、
一般病棟へ移った僕が
日に日に回復して行く中で、
未来にかすかな可能性を
感じはじめことを紹介します。
🎯その1 閉じられたままのカーテン
そんな最悪な状況だった僕も
2週間くらいで
観察室から一般病室へ戻るときが来たんよ~
2週間くらいで
観察室から一般病室へ戻るときが来たんよ~
「幸島君が戻ってきましたよ~」
看護師さんの声からして…
手術前からいた病室みたいだ!
手術前からいた病室みたいだ!
入院前からいた彼が
まだいるみたいなんだけど、
まだいるみたいなんだけど、
- 体を起こすことも
- 声を出すことも
- 左半身を動かすことも
今の僕にはできないから…
顔を見ることさえできない…
彼もそんな僕を見て絶句してたはず!
その証拠と言ってもいいのかな?
手術前は
開けっ放しだったベッド間のカーテンが
開けっ放しだったベッド間のカーテンが
朝から晩まで閉じられたままになっちゃった…
トホホだ。
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薄いピンクのカーテン…
彼は病室のドア側のベッドにいたんだけど、
食事の際に食堂へ行く時とトイレ以外は
ベッドから出てこなくなってね~
食事の際に食堂へ行く時とトイレ以外は
ベッドから出てこなくなってね~
たぶん
病室から出るには僕を
病室から出るには僕を
通り過ぎなきゃいけんでしょ?
顔を合わさんといけんわけやん?
声も出ないし動けない僕に
気を使ってくれていたんじゃないかな…
気を使ってくれていたんじゃないかな…
そして
僕が病室に戻って1週間後
僕が病室に戻って1週間後
脳内の問題に対しての定期検査が済んだのか?
彼が退院する日が来たんよ。
彼が退院する日が来たんよ。
大きなバックを抱えて
ベッドのほうから申し訳なく出てきてね~
ベッドのほうから申し訳なく出てきてね~
食堂やトイレに行く時と同じで
僕とは目を合わせず
一目散に病室のドアヘ行こうとしたんよ~
僕とは目を合わせず
一目散に病室のドアヘ行こうとしたんよ~
でもね、その時は途中で足が止まった!
そして僕のほうを向いてこう言われたんよ。
「今までお世話になりました。
これから大変でしょうがどうか頑張ってください」
これから大変でしょうがどうか頑張ってください」
「いやいや~そんなにかしこまらなくてもいいですって!
こちらこそ、最後は話もできず申し訳ありませんでした。
そしてお気遣いありがとうございます!」
こちらこそ、最後は話もできず申し訳ありませんでした。
そしてお気遣いありがとうございます!」
そう言いたかったんだけど声が出ないでしょ?
更に体を起こせないから寝たままでしょ?
にっこり微笑むことも
顔面が腫れて麻痺しているからできないんよ…
顔面が腫れて麻痺しているからできないんよ…
無視しているわけじゃなかったんだけど
結局はそんな感じになっちゃってね…
結局はそんな感じになっちゃってね…
ただ…
彼をずっと見つめていた。
それが今の僕が出来る感謝の形!
そんな僕を見た彼は、
深く一礼をして病室ドアを開け出て行かれた。
深く一礼をして病室ドアを開け出て行かれた。
それ以来これまで一度もお会いしていないんだけど、
元気にしているんかな~
元気にしているんかな~
出来れば一度お礼が言いたいんやけどな~
🎯その2 ある約束
彼が退院した後は4人部屋へ移った僕。
あのときも手術前に
いろいろお世話になった人ばかりで…
いろいろお世話になった人ばかりで…
ただね~
すごい人との出会いがあったのは大収穫!
彼を見ていると、
車いす生活の可能性っていうのかな?
車いす生活の可能性っていうのかな?
それまで未知数だった世界に
少し足を突っ込むことができたのかも!
少し足を突っ込むことができたのかも!
ま~その人はまた紹介するとして…
そんな僕に朗報っいうのか?
嬉しいことが起きてね!
それは4人部屋から
再び2人部屋へ移ったころ
再び2人部屋へ移ったころ
「あら、あんた声が出るようになったやん?」
傍らにいた叔母ちゃんが
驚いた表情でそう言ったんに!
そうそう
なんとですね〜
詳しい理由はわからないんだけど、
いつの間にか声が出るように
なってきたんよ~
いつの間にか声が出るように
なってきたんよ~
実はお医者さんから
「必ず声は出るようになる!」って
言われていたんよね。
「必ず声は出るようになる!」って
言われていたんよね。
でもなかなか…
「うんともすんとも」
それがハスキーボイスって言うの?
ガラガラ声?かすれ声?みたいなのが
少しだけ出て来るようになっていて
叔母ちゃんが来てくれた時に
恐る恐る声を出してみたわけ!
恐る恐る声を出してみたわけ!
いや~うれしかったな~~~
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声が出てきたぞ~!
さっきも書いたけど、
原因はわからないんよ…
原因はわからないんよ…
でも完全に喋れなくなった
わけじゃなくて
何かが原因で一時的な現象だった
わけじゃなくて
何かが原因で一時的な現象だった
それは間違いないみたい!
それからは
日に日に元気が出てきてね~
日に日に元気が出てきてね~
と言っても、
まだまだ本調子にはほど遠くてね~
まだまだ本調子にはほど遠くてね~
ベッドから自力で起き上がれるのもやっと…
長時間座った状態を保つ力なんてなかったんよ。
長時間座った状態を保つ力なんてなかったんよ。
でも決めたんに!
僕は「ある約束」を果たすんだってね。
🎯その3 無念の電話…
「僕が良いって言うまで
面会に来ないでほしいんですが…
よろしいでしょうか?」
面会に来ないでほしいんですが…
よろしいでしょうか?」
僕が言う「ある約束」っていうのは
カヌー先生と交わした冒頭のやつね!
カヌー先生と交わした冒頭のやつね!
ってことは~
術後ついに
面会OKで~すって先生に伝えるってわけ!
面会OKで~すって先生に伝えるってわけ!
もちろん
それを僕自身が伝えるのは無理があったから…
それを僕自身が伝えるのは無理があったから…
「先生にそろそろ来てもらえるよう言っちょって」
叔母ちゃんにそうお願いしたよ~
あっ!また話がそれちゃうんだけど
約束を交わした経緯?エトセトラ?
約束を交わした経緯?エトセトラ?
ここもグッとくる人がいるかも?
書いちゃおっかな~!
…
手術前日
(そうだ!
先生に電話してお願いしちょかんと…)
先生に電話してお願いしちょかんと…)
夕食後に先生と約束を交わすため
院内の公衆電話へテレホンカードを持って走った僕。
院内の公衆電話へテレホンカードを持って走った僕。
当時はね~
今みたいにスマホなんてなかったんよ!
今みたいにスマホなんてなかったんよ!
ガラケーはあったけど、
高校生だった僕は持ってなかった…
高校生だった僕は持ってなかった…
たぶん学生は持たないっていうのが
主流だったんじゃな?
主流だったんじゃな?
ということで公衆電話。
当時は院内のいたるところに
テレホンカード販売機があって
緑の公衆電話機が設置されていてね。
当時は院内のいたるところに
テレホンカード販売機があって
緑の公衆電話機が設置されていてね。
「あっ、先生…僕です、辛島です」
僕が先生に伝えたかったこと。
- 主目的の約束
- これまで親身になって支えてくれたお礼
- カヌーを指導していただいたお礼
- 手術や今後に対する意気込み
面と向かって言うというのが
本来の筋かもだけど…
本来の筋かもだけど…
でもね…
受話器の向こうにいる先生は泣いていた。
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泣かないでくださいよ~
「あっ…えっと、
明日が手術なんで電話しました。頑張ります」
明日が手術なんで電話しました。頑張ります」
そのくらいで受話器を置いたっけ…
🎯その4 会心の電話!
手術当日の早朝
(やっぱり…
もう一度先生にかけてみよう!)
もう一度先生にかけてみよう!)
僕はテレホンカードを握りしめて
再び公衆電話へ向かったんよ~
再び公衆電話へ向かったんよ~
(あれ?スッカラカンやん…)
昨日とは打って変わって
公衆電話が設置されている広い通路に
人影がない
公衆電話が設置されている広い通路に
人影がない
…
ってまだ5時台やったから
病院が動いてないけん当然か~
病院が動いてないけん当然か~
…
僕っていつもは朝寝坊しがちなんに…
やっぱり緊張しちょったんかな?
あっ、でも暇を持て余したから
先生に電話しようと
思いついたわけじゃなかったんよ~
先生に電話しようと
思いついたわけじゃなかったんよ~
ま~気になっちょたんよ!
昨日は泣いていて話ができなかったけど…
手術を受ける前に
何とかお願いを聞いてもらいたい!
何とかお願いを聞いてもらいたい!
森先生から事前に手術のリスクを聞いていた僕
それをあまり
深刻に受け止めてたわけじゃなかったつもり
深刻に受け止めてたわけじゃなかったつもり
…
でもやっぱり術後の自分に不安があったから
そう思ったんだろうな~
そう思ったんだろうな~
そんな思いが早起きに繋がったのかもね!
(今日も泣いてたりして…)
恐る恐る番号をプッシュすると…
「ぷるるるるぷるるる…ガチャ!あっ、辛島か?」
「はい!」
「やっぱりな!かかってくると思ってたわ〜」
受話器の向こうの先生は泣いてなかった!
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泣いてなかった!
加えて、
僕が再びかけてくると信じて待っていてくれた…
僕が再びかけてくると信じて待っていてくれた…
感無量だ!
僕は昨日伝えられなかった
- 主目的の約束
- これまで親身になって支えてくれたお礼
- カヌーを指導していただいたお礼
- 手術や今後に対する意気込み
伝えられた!
先生はそれを聞いてこう言ってくれたんに!
「わかった!待ってるからな…
辛島、頑張れよ!」
「わかった!待ってるからな…
辛島、頑張れよ!」
…
うれしかったな~
最強の応援団長からエールをもらったんだから!
こうなったら
たとえ厳しい状態になったとしても
自分が納得できるところまで
自分が納得できるところまで
早く元気になる必要がある!
もう一度先生に会うためには
.無様な姿は見せられない…
…
そしてついに
約束を果たすときが来たってわけよ~
約束を果たすときが来たってわけよ~
うふふふふ~
🎯その5 二転三転…
叔母ちゃんが僕の「面会OKサイン」を伝えて
すぐに来てくれた先生。
すぐに来てくれた先生。
同級生4人も一緒だったな~
僕は座位を維持する力がないから
ベッドの頭側をギャッジアップして
みんなが見える姿勢に!
ベッドの頭側をギャッジアップして
みんなが見える姿勢に!
すると…
みんな僕の姿に少し引いてる感じ…
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引いてる感じ…
「これでも術直後に比べたら
見違えるほど良くなったんですよ〜」
見違えるほど良くなったんですよ〜」
叔母ちゃんが空気を察したのか?
そう助言してくれる。
結局声も十分でないもんだから
時間が経たなくてね…
時間が経たなくてね…
「今日は長くいると
辛島が疲れるやろうからまた来ような!」
辛島が疲れるやろうからまた来ような!」
先生は同級生にそう言うと足早に病室を後に。
(な~んだ、
もっとゆっくりしていけば良いのに…)
もっとゆっくりしていけば良いのに…)
そう思う僕に、
「先生がね、これからは術前と同じようなペースで
面会に来ても良いのかなって言ってたよ」
面会に来ても良いのかなって言ってたよ」
先生たちを見送りに病室を出ていた叔母ちゃんが
戻ってきてそう言ったんよ~
戻ってきてそう言ったんよ~
(もちろんですとも~!)
またこまめにお会いできるようになるんだな〜
そう思って安堵の表情を浮かべる僕。
それが…
事態は急展開しちゃう…
180度くらい…
…
もうたまらんわ〜
(第3章はここでおしまい)