そういう思いで28年の歳月で滝沢馬琴は『里美八犬伝』を書き上げた。失目しても諦めずに、お路の助けを借りて物語を完成させた。
だが現実は違う。必ずしも「善人善果、悪人悪果、正しいものが生き残る」とはならない。
それは馬琴も熟知していた。だからこそ物語の中だけでもいいから、
「最後に正しきものが勝つ」
「正しい生き方をせよ」
と読者に伝えたかった。
例え「善人善果、悪人悪果」がフィクションだとしても、読者には正しい生き方を貫いてほしかった。
正しい生き方を貫いてこそ、それは結果となり、馬琴の思いが実る。
だが現実はむしろ、「善人悪果、悪人善果」になるように見える。
全く辻褄が合わない。
自分の努力が報われない。自分の思い通りにならない。
そんな現実にため息をついてしまう。
それでも苦しみに耐えぬいて、正しき道を貫いた先に大きな喜びがある。
決して諦めてはいけない。
決して自分の道を捨ててはいけない。
辛くても悲しくても自分の道を行け。
馬琴は失目しても、『里美八犬伝』を書き上げた。自分の道を貫いた。
読書にも、自分にとっての正しき道を見つけ、それを貫いてほしかったに違いない。
おやつにどうぞ