カタスミ

『愚行録』貫井徳郎著

惜しい。

以下ネタバレあり。






























結構面白くてぐいぐい引きこまれて読みました。
一家惨殺事件があり
殺された家族の知り合いにライターがインタビューしていくお話。
殺された一家の事をよく知る人達が
自分の知っている彼らの話をペラペラペラペラ話していくうちに
殺された夫婦は割とクズ人間だったことが露呈するという。
その微妙な人間関係が割とリアルっぽくて非常に面白かった。
こんな関係ありそう…みたいな。
嫉妬とか上下関係とか派閥とか、なんかそういうのが
すごく上手く描かれていたと思う。

それと同時に合間合間にはさまれる
兄に語りかける妹の話。
なんだこれは…と思いつつ
最初にあった事件の記事と
ついうっかり見てしまった映画サイトの配役で
なんとなく誰の話かは分かってしまった。
そうなるとなんとなくライターの正体も予測できたりして。

まぁそれは別にいいんだけど。
最後の最後まで面白かったのに
ほんと最後がダメ。
犯人が一家殺害した動機が
ほぼ『誰でも良かった』なので
なんじゃそりゃ~!!となった。
嫉妬ではあるんだろうけど
別にこの人達じゃなくても良かった感じだし
たまたま出会ってしまったから殺されたという
ただの不運な家族だったという。
散々夫婦のクズっぷりが露呈されたのに
大してその内容が動機に繋がってなかった…
ただのばらされ損やないか!!
特に旦那の方…ほんと巻き込まれで殺されて
昔のクズっぷりをばらされて気の毒としか言いようがない…
もっとかわいそうなのは子供やけどな…
さらにもっとかわいそうなのは宮村さんやけどな…
ライターといえど、初対面の人間に
いろいろあけっぴろげに話すなという事ですね。肝に銘じる。

あと、妹が子育てに追い込まれてる時に
兄貴は一体どこで何してたんですかね…
妹思いなんだか何なんだかいまいちわからない兄妹関係…

やっぱ最後のオチがほんと残念でした。
夫婦のクズっぷりと犯人の動機が
もうちょっとリンクしてくれた方がよかったなぁ…
オチがなければ星4つだったのですが
最後で星3.5になりましたとさ。
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