5月12日、桂川のオギ保全区で、今シーズン初めてのカヤネズミの巣を発見。
オギに作られた、青々とした新しい巣だ。
4月30日のカヤ原ツアーでは、まだできそうな気配はなかったが、もうずいぶんオギがのびて、どこにできてもおかしくないなぁと思っていたら、ぽろっと見つかった。
何百回、何千回と巣を発見しても、やっぱり毎回うれしいものだ。
特に、シーズン初見は、ことさらにうれしい。
「今年も厳しい冬を乗り越えて、生きていてくれたんだな」という思いがわき上がってくる。
おっとシマヘビ発見。
ミコシガヤもたくさん見つかった。
昨年よりもかなり多くでてきていてうれしい。
まとまって生えている場所には、うっかり踏まないように印をうっておいた。
ミコシガヤ。カヤツリグサ科スゲ属。京都府準絶滅危惧種。
保全区の周辺部には、外来種のイタチハギが目立つようになった。
場所によっては、2m近くに成長している。
オギ原に侵入されるとやっかいなので、次回の調査時に駆除する予定。
イタチハギ(外来種)。マメ亜科イタチハギ属の落葉低木。
4月23日は、城陽ごりごりの丘で一日フィールドワークでした。
午前中は昆虫調査。
暖かくなったので、2週間前に来たときよりも、目に見えて昆虫が増えました。
シオカラトンボ、アオモンイトトンボ、オツネントンボ、ホソミオツネンのトンボ4種、ベニシジミ、ヒメウラナミジャノメなどチョウ7種、ツチイナゴ、ヒシバッタ、ノミバッタのバッタ3種などが確認できました。
午後からは、「カヤ原を学ぼう!」第1弾「カヤネズミがすむオギ原を守ろう」の指導役として参加しました。
オギに混じって生えるセイタカアワダチソウを抜き、植生調査の実験区を設定しました。
参加者は大人と子どもあわせて10名。
京都、岡山、石川のカヤネット会員も、参加してくれました。
保護区実験区の立て看板。
参加者のみなさんのがんばりで、セイタカアワダチソウは、ずいぶんなくなりました。
ありがとうございました。
4月24日付の京都新聞と洛南タイムスに、保全活動の記事が掲載されました。
日本最小、カヤネズミ守れ 京都・城陽、市民ら取り組み(京都新聞)
生き物の暮らし守ろう 城陽五里五里の丘で「カヤネズミ」保護活動(洛南タイムス)
このほかにも、とても嬉しい出来事がありました。
開始前に、公園の関係者の方と打ち合わせをしていたら、後ろから「サイン下さい」との声。
振り返ると、小学生の男の子が『カヤネズミの本』と『すぐそこに、カヤネズミ』を少し恥ずかしそうに差し出していました。
つきそいで来られたお母さんの話によれば、彼はカヤネズミが大好きで、私の本も何度も読んでくれたそうです。
手渡された本は、2冊ともすりきれて、こんなになるまで読んでくれたのか、と感激しました。
じつは、私のサインには、カヤネズミが入っています。
サインをして、はい、と本を返すと、「わぁ、かわいい!」と、とても喜んでくれました。
保全活動でも、大人に混じって、セイタカアワダチソウの引き抜きを、とてもがんばってくれました。
『すぐそこに・・・』のあとがきで、本書が子どもたちとカヤネズミやカヤ原との橋渡しになってほしいと書いた思いが叶い、筆者冥利につきる思いです。
次回の「カヤ原を学ぼう!」は、6月12日に開催予定です。
城陽ごりごりの丘のイベントページから申し込めます。
たくさんのご参加をお待ちします!
9月21日、草地生態系保全講座の下見で、富田林の奥の谷に行ってきた。
富田林の自然を守る会のTさんに案内していただいて、下見ルートをひとまわり。
畦や休耕田を、ワレモコウ、ツリガネニンジン、アキノタムラソウ、キンミズヒキなど、秋の草花が彩る。
講座当日の10月4日には、ミゾソバの花も見られそうだ。
ワレモコウ
キンミズヒキ
カヤネズミの巣もたくさん見つけた。
適度に手入れされた草地は「カヤパラダイス」で、私のカヤセンサーが反応しっぱなし(笑)
イネに作られたカヤネズミの巣
**お知らせ**
第5回草地生態系保全講座「田園の畦は大阪最大の草地?~秋の草花を楽しむ~」
開催日時:10月4日(土)9:45近鉄滝谷不動駅集合 16:00現地解散(予定)
テーマ:農地(田の畦・溜池の土手・放棄田など)の草地
会場:富田林市・奥の谷/現地作業小屋
内容:草花の観察、水田の畦や放棄田などの草刈りなど
講座の最後に懇親会があります(14時~16時)。よろしければご参加下さい。
受講料:1,500円(親睦会会費は別途2000円程度)
定員:25名(先着順)
主催:公益社団法人大阪自然環境保全協会 草地生態系研究会
協力:富田林の自然を守る会
講座の詳細はこちら
5月17日(土)に鵜殿で開催される、草地生態系保全講座の下見に行ってきました。
案内いただいた鵜殿クラブのTさんのお話では、昨年の洪水で上流から土が運ばれてきたためか、ヨシの成長が例年になく良いそうです。
オオヨシキリ、ウグイス、ヒバリの声をききながら、当日の散策ルートをひとまわり。
ノウルシ
小一時間歩き、開けた場所でおひるごはん。
美しい水辺の風景に感動していたら、Tさんから「ぜひこの風景を撮って下さい」と言われました。
正面の鉄塔の手前に、新名神高速道路の陸橋の建設が計画されているそうです。
道路建設で陸橋の橋脚がヨシ原に打ち込まれるので、この風景は見られなくなってしまうでしょう、とのことでした。
多くの方に、ぜひこの場所に来て、素晴らしい風景を見て欲しいと思いました。
なお、草地生態系保全講座は、全5回の受講が基本ですが、ご要望が多くあり1回からの受講もOKになりました(1,500円/回となります)。
第1回目の鵜殿の講座は残席3です(5/9現在)。
参加を検討されている方は、お早めにお申し込み下さい。
申込・問い合わせ:公益社団法人大阪自然環境保全協会 草地生態系研究会
今日(4月17日)、昨年9月の洪水で壊滅状態になった、桂川のカヤネズミ生息地を見てきた。
堤防の上から見ると、昨年9月の洪水後の状況から、見違えるような回復ぶりに見える。
生息地の上流側では、前年の洪水でなぎ倒されたオギやヨシの株の根元から、新芽が伸び出していた。もともと河川に生育している植物の強さを改めて感じた。
下流側では、洪水後に河川改修に伴う河道掘削が行われて、表土が剥がれたため、生息地の半分の面積の植生が消失していた。
すでに工事は完了していて、真っ平らな裸地がだーっと広がっている光景は、工事のことを事前に国交省から聞いていたとはいえ、ショックだった。
ただし、掘削工事の際には、もともとオギが密生していた低水敷の表土は、カヤネズミの生息地保全のために、オギ草地の再生に利用された。
オギの再生エリアは、外来種やクズが繁茂していた高水敷で、ここの切り下げと同時に、川幅の拡幅のために採掘された、低水敷の表土が撒きだされたのだ。
再生エリアは、現在はほぼ裸地状態だが、オギの新芽がそこかしこから出ていた。
工事にあたっては、この場所でモニ1000里地調査を行っている乙訓の自然を守る会の方々と一緒に、国交省や工事関係者と何度も話し合いを行った。カヤネズミの生息に配慮して、河道の掘削に入る時期や、工事の進め方、どの区画の土を使うか、再生に使う表土は地表からどのくらいの深さまでとするか、掘り出した表土の保全の方法などを検討した。
カヤネズミは果たして戻ってきてくれるのか、それはいつになるのか。
今後、継続して調査していきたい。