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田辺聖子著「隼別王子の反乱」

2012年11月12日 | Weblog
知人が面白いからと進めてくれたこの本田辺さんの書いたものだから軽妙洒脱なものと思って読み始めたが日本書紀に題材をとった古代(神の世から人間の世に変わりつつある頃)の重厚な悲しい恋の物語である。
あらゆる権謀策術を使って絶対的権力を手に入れた大王とその妃、大王の異母弟隼別王子は大王の寵愛する女鳥と恋に陥り反乱という名目で惨殺荒れる。それから十数年経って権力を狙う息子やその恋人、占い師が登場しあたかも推理小説を思わせるような展開になる。
雄大なスケールをバックに大王の孤独、妃の嫉妬や諜報合戦、登場人物の心理を見事にあらわした傑作である。もう30年も前の作品だが読みごたえがあった。感謝