日々のメモ

事業や企業、経済の動きについて分析していくブログ

「デジタル化」の費用感

2020-10-30 13:03:00 | ビル・ゲイツの方法論
かつてマイクロソフト創業者のビル・ゲイツは、企業のデジタル活用にあたって何から始めるべきかについて、「電子メール」と答え、世の中の企業について「システムから価値を十分引き出せていない」と述べた(ビル・ゲイツ著『@思考スピードの経営』1999)

発刊から20年経っているが、これは今でも変わらないだろう。地域ごとの財務データや日次の活動記録など、すぐに分からないものがあったらデジタルの活用が不十分かもしれないと考え、紙の帳票が存在することを「それではデータをすぐに活用できない」問題視する。
20年前から比べると、今は半導体技術の飛躍やクラウドサービスの普及によってシステム導入の価格は安くなった。(電子メールはOutlookやGmailなど無料で利用できるほどだ)

teams会議は無料で利用できるし、ファイルの共有も一定の容量までは無料で可能となっている。
活用する発想があれば、多くの企業が業務を効率化できると感じる。
政府もデジタル化に強力に動き出しているので、このタイミングで「まずはお金をあまりかけずに経営をデジタル化する想像をしてみる」ことは、良い在宅ワークの過ごし方であると思う。

日常の業務や学びの中から得たデジタル化の考え方を整理した本

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デジタル庁への期待

2020-09-19 12:06:00 | ビル・ゲイツの方法論
新内閣でデジタル庁が出来る予定になっていて、役所手続きが飛躍的に改善されるのではないかと大いに期待している。

1999年に、ビルゲイツが著書@思考スピードの経営の第20章「政府を国民の手に」で述べたのは、税金支払や給付金受取を行う世界観であり、そこでは司法も医療も電子手続きでスムーズに進められる。
今の世の中に合わせて言えば、手元に置くのはマイナンバーカードくらいで、あとは税金も年金も健康保険も運転免許も医療データも適切にデジタルに管理され、マイナンバーカードと暗証番号で呼び出せるような形になるのではないか。そのマイナンバーカードがスマートフォンに取込み可能となれば、役所手続きはスマホ一つで書類手続きなく完了出来る。

そして「政府は…もし情報技術の使用面でリーダーになれば、自動的にその国の技術熟練度をつり上げ、情報市場への移行を推進する」と予測する。
つまり、政府にならって会社の社内手続きもデジタル化しようと一斉に皆が動き出すようなイメージだ。これは本当に便利な世の中を作り出すと思う。

また、政府サービスのデジタル化は、
・デジタル化の工事を請け負う事業
・デジタル前提の運用の中で必要とされるセキュリティやデータ分析による業務改善を手掛ける事業
・デジタルサービスを担えるようにする教育や教材事業
・デジタルサービス業界への人材移動を手掛ける人材サービス事業

といった幅広い民間ビジネスで仕事を増やす働きをするだろう。産業界の構造も変えていくのだ。

ビルゲイツを輩出したアメリカには、2014年にデジタルサービス庁がホワイトハウス内に作られており、形だけみると2022年にデジタル庁を発足する日本は8年遅れというように思えるが、ここからの追い上げに期待したい。

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デジタル化と一般社員

2020-09-10 13:28:00 | ビル・ゲイツの方法論
会社のデジタル化が様々な企業で話題になっている中で、そこで働くデジタル化プロジェクトと直接関係ない一般社員が検討に関わっていく方法について、先人の知恵をもとに考えたい。

ビルゲイツによれば、仕事中に自分の会社の事業に関して欲しいと思った情報が手元に無ければ、それはデジタル化の改善余地である。
会社をデジタル化する動き、いわゆるデジタルトランスフォーメーションは、少なくともこの原則を考えれば改善ポイントを思い浮かべることが出来るだろう。
もちろんITには他にも効用がある。単純作業を自動化することなどはコスト削減の効用があるが、従来通りに働いているところに「身の回りの作業について自動化の余地を考えなさい」と言われても、処理に用いるデータがあるか、パソコン画面の操作で作業は完結するか、処理のフローは明確に書けるか…等を考えるのは時間がかかると思う。

だからまずは自分の仕事で、すぐ欲しいのに入手に手間が掛かったような情報を思い出し、「この情報が手元に欲しい」とIT部門に言うのが良い。後は経営陣が投資対効果を考えて取り組むだろう。
ビル・ゲイツがその著書「@思考スピードの経営」で述べるシステム実装例には、ナビスコ社があらゆる商品の開発検討段階からの資料を一つのシステムの中にまとめ、後から「どんな商品を開発しようか」と考えた時に先例を全て検索できるようにしたこと、その結果成功しそうにないアイデアの選定が早期に判断できるようになり、アイデアから試作までの予算を3分の1に削減しても経営できるようになったことが述べられている。

会社も自分も楽になり利益が出る(給料もあがるかもしれない)と思って、声を上げるのはいかがだろうか。

テレビ広告最適化

2020-09-09 12:48:00 | ビル・ゲイツの方法論
IT時代を創った偉人たちの1人であるビル・ゲイツは、かつて情報技術をビジネスに導入する事例やプランを総まとめにして本を記したことがある。
『@思考スピードの経営』という本書は、今も名著だと思うが残念ながら古本屋でしか見つからない。

この本で述べられる中で、今も実現していないのがテレビ広告の個人最適化である。
ここでその実現性を検討したい。

YouTubeやネットの広告は個人に向けて最適なものになっているのに、テレビのCMは今も同じものが流れる。
多分僕なら、「東京都内で新しい商業施設が出来て今ならお得だ」とか、バフェットやレイダリオ、ビルゲイツに関する本が出たとか聞いたら訪問したり買ったりと動き出すだろう(大きな建物の商業施設を見るのは趣味だ)。しかし美容液のCMが出ても、きれいな女優が出るので嬉しくはあるが、経済活動にはつながらない。
IT企業が広告を最適化することや日常感覚からいって、最適化が経済効果を出せることは明確だといえる。

実現した場合の効果には、同じくビルゲイツの本の中で、「データ解析を行なってメール配信を最適化したことで、メロン銀行は目標数の顧客獲得に必要なメール配信数を5分の1にした」例がある。
つまり、粗い試算ではあるが広告効果は5倍になりうるのだ。(今も番組に応じた調整はあるだろうから多少は改善余地は減っているだろうが、「例えば半沢直樹を見ている人はこんな人だろう」という予測がどれだけ当たりそうか考えれば、ほとんど調整出来ていないように思える。)

テレビ会社も最適化の検討をしているだろうと思う。
しかしここでの障壁はデータ取得である。そのテレビを見ているのはどんな人なのか、Googleのように情報入力してもらったり出来ていない。(出来るとして受信料契約データをもつNHKだが、ここに限ってCMは関係ない)

テレビ会社の打つべき次の一手は視聴者に情報を入れてもらうことである。
この取り組みは今後なされていくだろう。住所と世帯構成、やがては視聴データに基づく趣味の分析も行い、最適な広告配信をどこかで実現するはずだ。
情報さえ手に入れば、テレビごとにIDを付与してインターネット通信を接続し、広告の時間になったら最適化した広告を流す仕組みにするのではないか。
広告最適化効果を考えれば、その経費はテレビ会社で積極的に出しにくるだろう。
テレビ会社が情報を得る方法は、既に情報をもつ会社を買収して情報連携を顧客ごとに確認するか、懸賞品付きアンケートなどで集める方法があるが、せっかくテレビという接点があるので、後者ではないかと思う。

以上から、テレビ広告最適化は、テレビ会社からのアンケートがテレビに放映される形で徐々にスタートすると思う。

アメリカと日本の地方銀行の経営状況を分析したレポート