いよいよ実行の時が来た。
箱根駅伝歩きも高尾山歩きもこの日のための自主トレだった。
日本でいちばん高い山、富士山へ登る。
呑み仲間と飯田橋の居酒屋で酒を呑んでいた時のことだった。
ほろ酔い状態で発した「日本人に生まれたからには一度は富士山に登ってみたいよね~」という軽い一言から、富士山頂を目指すことになった。
その後、別の呑みの席で「今度、富士山登るんだけど、どう?」
その呼びかけに参加表明する者もいて、今回の富士急トラベル主催の”まるごと富士登山ツアー”への参加者は40代3名、30代2名の総勢5名となった。トーゼン全員呑み助である。
朝早く新宿駅に集合した50名弱のツアー客を乗せたバスは、中央高速を走り、昼過ぎに今回ツアーのベースキャンプである五合目”雲上閣”に到着した。それにしても20代、30代の女性比率が高い。
新宿駅も富士登山客で賑わっていたが、ここ五合目は本当に人だらけなのだ。
ちょうどこの時間は、下山して来た人とこれから登頂する人が入り乱れごった返している。
昼食を摂り、体も高地に慣れて来た頃、いよいよ本日の宿泊場所である八合目を目指して登山開始となった。
天気も良くTシャツ一枚で、鼻唄交じりで登り始めたが、六合目を過ぎた頃には肌寒くなってくる。富士山は登山道も整備されていると思っていたが、結構岩場も多く、七合目あたりでは高山病なのかこめかみ辺りに痛みを感じはじめ、また、体力もかなり消耗してきた。
八合目を目指し歩を進めているとあたりも薄暗くなり、Tシャツ、ネルシャツ、フリース、ウインドブレーカーを着ていても、休憩のため体を動かすことを止めると体温が急速に低下するほど冷え込んできた。
とにかく寒いし、腹減ったし、疲れたし、八合目まで一気に登って行きたいところだが、ツアーなのでそうも行かず、ヘッドライトを着けて暗闇の登山道を時間をかけて行進していく。
やっとの事で本日の宿”トモエ館”に到着したのは、20時を過ぎていた。
そして、ようやくありついた夕食はハンバーグカレー。ハンバーグは世辞でも美味いと言えない代物であったが、とにかく空腹を満たすことが最優先であり、疲れと高山病対策のため呑み助5人もアルコールには手を出さなかった。
明日はてっぺんを目指して朝1時に集合だ。
登山以外では絶対あり得ないような狭苦しい寝床で2時間ばかりの仮眠に就く。
※富士山の写真は、2003年、福岡行きの飛行機から撮影。
箱根駅伝歩きの自主トレをやらなかったらどうなったことか。