あ ど れ な り ん

主にブルベを中心に趣味と日頃の鬱憤を晴らすために書こうと思います。

2018 RM0810 R札幌 2400 / Around Hokkaido 2400 その7 札幌~稚内

2020-05-03 15:56:34 | ブルベ
8月14日。スタートしてから5日目。

目覚しが鳴った。
何とか1時間寝られたようだ。
眠いのはもちろんだが、何とか起き上がった。
今日が勝負だ。
稚内まで到達すれば、その後は時間制限がさらに遅くなるので余裕が出る。
そう言い聞かせて、まだ空が暗い中、再スタートを切った。
5日目の未明。時間は3時40分。

少し先のコンビニで朝食を取る。
その後、明け方になってまたも雨が降ってきた。
またか!
もう、うんざりだが天気には逆らえない。
仕方なくレインウェアを来た。
しかし、空は明るいため、この後は止みそうだったので少し希望が持てた。

1時間くらいで雨を抜けたと思う。
雨が上がったあとは気温も上がり、蒸し暑くなった。
この日越えなければならない登り区間のうち、最初の登りだったと思う。
道路の反対側で鹿とバイクがぶつかる事故があり、バイクの前側は大破。
鹿は傍らで天に召されていた。
そういえば過去ブルベを走っていて、鹿が道路脇を走って驚いたりしたことがあったので気を付けなければと思った。
ふと、自分の脇を追い越したツーリングバイクのライダーが左手をサムズアップしてくれたのに気付いた。

あ!

咄嗟に手を挙げて答えた。バックミラーで見ていてくれたら良いけど。
もしかしたら、今までも同じような事をしてくれるライダーの人は居たのかもしれない。
そう思うと申し訳なくなった。
その後も、バイクツーリングしている人から何度もサムズアップを貰い、とても元気を貰うことができた。

休憩予定のコンビニまで来た。
座ってモグモグしながら休憩していると、見た感じ、自分より相当速い人がやって来たが、
「くっそお、遅くなっちまったぜ」という、焦りと悔しさが表情に出ていた。
ブルベペースで進めば大丈夫なはずだが、余りミスは許容できない時間なのは確かだった。

次の休憩予定のコンビニまで来ると、ここでは数名の参加者に会うことが出来た。

途中で若干道を間違えたり、道の駅みたいなとことに寄ったりしたことは覚えている。
この日は朝の雨以外は晴れており、数名の参加者と抜きつ抜かれつしていた。

CEFオロロンウインドファーム


特に名前はないようだ


そして記憶は羽幌のPC前まで飛ぶ。
なんとか順調に来ることが出来た。
丁度良くドラッグストアが有ったので寄った記憶はあるが、何を買ったかは憶えていない。
新規クローズの1時間15分前の14時51分。無事、PC5のセブンイレブン羽幌役場前店(1354.6km)に到着することができた。
PCに到着すると吉田さんや他のスタッフの人達がおり、参加者でごった返していた。
「意外と早かったね」と言われ、気にしていてくれた事に感謝した。

どうやら、台湾人が来ないらしい。
彼らに対しては、このPCも遅れて良いと言ったか、最後に間に合っていれば良いと伝わっているようだ。
あれ?とは思ったが、深くは突っ込まないことにした。
先に着いていた台湾人に「台湾に行ったことあるよ」と英語で話しかけたが通じずガッカリした。

ここまで来れば、時間的な余裕が出来る。
次のPC6は450km先の網走(1808.9km)。2日後の13時11分がクローズ時間。換算すると時速10.1kmで進めば良い。
宿を取っていない人はこの後どうするか相談していた。
本来の予定ではこの先の初山別にあるホテル兼温泉にて仮眠する予定だった。
何せ、今日も300km以上走らなければならない。
しかし、そんな時間は無いので宿を取っている稚内へと向かう。
その前に腹ごしらえしたくなった。
流石にまともな物を食べたくなって、町の食堂へ赴いた(一休食堂)。
海の幸が乗った名物の羽幌ラーメンはもう売り切れで残念だった。
そもそも、昼の営業時間終了まじかでラーメンすらも、これなら出来るという状態だった。

塩ラーメン。旨かったです。


さて、先に進むが、お尻が限界に近くなっていて、真剣にサドルの交換を考え始めていた。
自転車ショップを探すも、どうやら稚内までは無さそうだ。
それならホームセンターはと思ったが、有っても営業時間内に辿り着けそうにない。

サドル(CobbのFifty-Five)はやや特殊な形状で、デリケートゾーンが深くえぐれているエリアが広い。
対して、その周りは角が立っていて、しかもベースは撓らない。
若干サドル幅が狭かったこともあり、その角の部分に体重が乗ってしまい、ことさら痛い。
激痛に耐えかね、途中の道の駅的なところで持っていた手ぬぐいでサドルを巻き、
さらに窪みの中にコンビニ袋などを入れて、デリケートゾーンに負担を分散させることにした。
これで何もしないよりはマシになったが、こんなやり方では直ぐに崩れてしまい、
途中から効果が有るのか無いのか分からなくなった。

ほぼ夕闇になった頃、ハンドルを切る際にクリック感を感じたが、気付いていない事にした。

ヘッドがやばいと思った頃


夜の8時半前に天塩に到着。
あと60kmで稚内というところまで来た。
またラーメンを食べたかったが、店を行き過ぎてしまったので仕方なくコンビニ飯を食べた。
ここで、このブルベがきっかけで知り合いになったOさんに会う。
彼は台湾人と一緒に走っていたはずだが、その台湾人だけ先に行ってしまったらしい。
Oさんはをこのまま天塩に泊まるとのこと。
この先は動物が飛び出したりして危険なので日が明けてからの方が良いと町の人(?)から聞いたと言う。
自分も出来ればそうしたいが、稚内に宿を予約してあるし、出来れば次の日からゆっくり走るようにしたい。
とにかく、あと60km走れば峠を越える。
そんな思いだった。

しかし、この60kmが辛かった。

オロロン街道に入ると街頭が無くなる。
本当に真っ暗だった。
街道に入って直ぐ、風力発電機がいくつも連なっているところにやってくる(オトンルイ風力発電所)。
闇の遥か先の空は街の明かりが反射して薄く白くなっている。
風車のてっぺんに取り付けられた赤いライトやその麓にある施設の明かりがある以外は、
自転車のライトとそれに反射する下向き矢印の道路標識だけが光って見えた。
風車はが回っており、ゴゴゴゴーという唸りのような音が暗闇に怪しく響いている。
本来は観光名所となっているところのようだが、夜に来ると不気味でしかない。
そして、風車の有る一帯を過ぎると、本当に何も無くなった。
オロロン街道に風力発電所以外に何も無いというのは知っていたが、何も無いというのがどういうものかは分かっていなかった。

これが何も無いということか…

比較的、海に近いはずだが波の音が全く聞こえない。
わざわざ海の方をライトで照らしてみたが見えるほど近くではないようだ。
少し走ると、遠くの方に光る点が見えた。
どうやら信号機のようだ。
しかし、その信号機が走っても走ってもなかなか近づかない。
信号機が有るのはT字路なので、数キロ先であることは確かだ。
etrexで縮小してみたが、やはりかなり遠くだ。
いかに平坦で何もなく直線の道路であることが分かる。
時おり車が後ろからやってくるのがバーエンドミラーに映る車のライトで分かるが、その車もなかなかやって来ない。
体感では5分くらいはかかっていた。

民家も無く、前後に走っている人も見えないので心細いのも有ったが、
このような開けた景色の良いところを夜走ってしまったことにも後悔した。
実は数キロ走ったところで引き返そうかとも思ったが、稚内に着きたいという思いの方が勝った。

遠かった信号機に辿り着き、その先の「砂の駅」で止まった。
オロロン街道沿いには休憩施設が2つ在って、そのうちの1つ目となる。
トイレ施設の前では若いサイクリストがテントを張っていた。
やはり彼も「寒い」「防寒具はそれ程持っていないので辛い」と言っていた。
ここでは前を走っていた人に追いついたが、その人は自分には目もくれず先に行ってしまった。
協力出来たら楽だったのに…。

あと40kmだ。
が、しかし、寒いし向かい風だしで辛い。
そこから数キロ走ったところでついに眠くなってきてしまった。
むしろ、ここまで良く保った方だ。
この時点で1460km。前日に300km。1時間寝て270km。時間も22時半を回っている。
走りながら意識を失いかけたので、しかたなく自転車を降りて歩くなどした。
さすがに何もないというのにも耐えきれなくなり、ラジオを聞いたり、
マサズチャンネルをダウンロードして聞いてみたりしたが、
スマホのスピーカーでは走っている間は聞こえず、直ぐに切ってしまった。

ノロノロ走って、次の休憩施設「浜勇知」までやって来た。
実は砂の駅以外にこのような施設が有ることは知らなかったので、ここに立ち寄れたのはラッキーだった。
辛いので、ここでも一休みした。

あと、もうちょっと…。
寒さと向かい風に耐えながら、変わらずノロノロと進み、抜海(稚内の10km西の漁港)を抜け、やっと稚内までやって来た。

時間は1時を過ぎていた。
すき家がやっているのは意外だった。
何か地元の店で食べたいと思ったが、開いてる訳がない。
こんなことなら、すき家でさっさと済ませるべきだった。
仕方なく、またセイコマで弁当を買ってホテルで食べることにした。

ホテルには先客の自転車が2台有った。
これだけでも安心できる。
ホテルはビジネスホテルだし、連絡もしておいたので受付に人が居た。
禁煙ルームは取れず、喫煙ルームに消臭スプレーを掛けておいてもらう予約だった筈だが、
話が通っていなかったようで、その場で消臭スプレーを受け取り自分で吹きかけることになった。

宿泊階に着くと、あからさまにタバコ臭い。
部屋に入っても臭かった。
早速、弁当を食べると部屋の中に弁当の匂いが充満し、またスプレーを掛けた。

1000km以上は未知の世界だったが、なんとか5日連続300kmを走りきり気が抜けた。
やっと、、やっと寝られる!
6時間くらいだが、充分と思えた。
シャワーを浴びた後、急いで布団に潜り込んだ。


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