日米関係において、日本が昔も今もアメリカの真意をろくすっぽ読めずに大失敗する根本原因は、日本人がアメリカ人の宗教心にまるで無頓着なところにある。
宗教大国アメリカには、「アメリカ人のアメリカ人によるアメリカ人のための一神教」末日聖徒イエス・キリスト教会(The Church of Jesus Christ of Latter-day Saints、LDS 通称モルモン教)がある。
アメリカ人の自我が神となった宗教だ。
モルモン教成立以前のアメリカの状況。
多くの日本人には想像しにくいことなのだが、故郷を棄てて、見知らぬ未開の大陸のだだっ広い荒野で過ごす開拓者達の不安な日々…そのなかで、絶対創造神にすがった彼らの切羽詰った心情の巨大なエネルギーの存在を、まず知っておく必要がある。
19世紀前半、多数のプロテスタント宗派が乱立した混乱状態のなかで、ジョセフ・スミス・ジュニアは大胆極まる内容の「モルモン書」(The Book of Mormon)をひっさげて新たな一派「The Church of Christ」後の「末日聖徒イエス・キリスト教会」(モルモン教)を設立する。
おれは、謎だらけの「モルモン書―イエス・キリストについてのもう一つの証」はジョセフ・スミス本人と関係者達による創作だと思っている。
彼らの無意識の動機と目的は、アメリカ人のアメリカ人によるアメリカ人のための一神教を創ることにあったとおれは思う。
明らかな虚偽がAlternative factsとして公然と擁護されるようになったトランプ以降のアメリカで、遠くない将来、この自分達専用にチューンアップされて具合よい一神教がアメリカ宗教界の一大勢力になるかもしれない。
日本の仏教界は、この前の戦争が始まると、無我の名を僭称して実際には国家への滅私奉公を説くという「グループぼけ」に陥った。
絶大な権力を持つアメリカが、神の名で国家への盲従を説くという「グループぼけ」に陥ったら、世界は甚大な被害をこうむる。
どうかそうなりませんように。
「わたしたちの大儀は、わたしたちの国家よりも偉大である」
(9.11一周年行事のブッシュ大統領演説)
(My Favorite Songs)