六日のあやめ

月の街 山の街

「月の街 山の街」ワニブックス
著:イ・チョルファン 訳:草なぎ剛

この本のニュースを知ったとき、何年も前に図書館で借りて読んでいた実話投稿をまとめた「NTT心に残る話」(タイトルは正確に覚えてない)の韓国版のような内容だろうと思っていて、やっぱりそうゆう感じで、もっとストレートな印象も受けた。
複数の話には最後まとめのような文があり、これは多分著者の考えだと思うんだけど、その文章が深いし素敵だと感じた。
私にはピンとこない物語も正直あったけど、温かい気持ちになる作品が多く、最後の一文で好きになる物語もあった。

一番最初の物語は女性自身に掲載されていた「オルガンの音」
確かに「一杯のかけそば」とシチュエーションが似ていて、比べるのも変だけど、私はこの「オルガンの音」のほうが、なるほど、と感じるところがあった。
弟と妹だけに食べさせて自分は我慢する姉、その姉弟たちを傷つけないようにご馳走する、そこで終わるのではなく、妻の愛ある行為を見た夫がたくさんのことを考えて、最後の文章に繋がるところが素敵だと思った。

夫婦の会話がとてもいいと思った「愛の鐘の音」
物乞いへのちょっとした悪口を言った妻をたしなめる夫、その後ある出来事で反省と同時にみじめな気持ちになった妻に「できのいい人、できの悪い人はいない、同じ人間同士が助けあって生きていく」という夫の言葉。
妻は特別悪い人間ではなく普通の考え方だと思うけど、夫の人間性はもっと大きくて、その夫の言葉に妻も素直にうなずくことができて、素敵な夫婦だと思った。
この夫は「花売りのおばあさん」の父にも似ている感じ。

上記に加えて好きな物語。
誰の目にも見えなかった真実があった「優先席」
目に映るものだけで世界を見ようとしていた自分に気づいた「逆立ち」
教訓的な内容に最後の一文がまた効いてる「ブタの夢」
テルを思い出して「真昼にも輝く星」

最後の一文が素敵だと感じた物語が多い。
「雪だるまのあかちゃん」「美しい別れ」「約束」「平和な夜」「母さんの花畑」「そっと差し伸べられた手」「父の勲章」「雪かきのおじいさん」

訳者あとがきがまたいいけど、まえがきも剛くんだよね。
”この本に描かれた物語が~略~どれだけ僕たちを励ましてくれることでしょう。”
この文章、特にここでは略した部分が凄く好き!

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