名無しの教師の日誌

ある公立中学校教師の教育私論と日記です。

大阪の塀倒壊を受けて

2018-06-25 23:42:55 | 日記(学校)
先日の大阪地震で被害を受けられた方々には、お悔やみを申し上げます。

特に、塀の倒壊により尊い命が奪われてしまった件については

事前に対策しておけばもっと被害は小さくできたのだろうな、と思ってしまいます。



さて、この件を踏まえ、本日、我が市の市役所より市内の中学校に緊急指令が発令されました。

曰く

・中学校は、通学路を点検し、危険な塀がないかどうかを確認せよ。
・危険な塀があった場合、市役所へ報告せよ。
・以上の確認・報告を可及的速やかに行なえ。


だそうです。

さて、この指令の異常さにみなさんはお気づきになりましたか?



まず何よりも、建造物の点検を、教師という土木建築のド素人に行なわせるというのが間違っています

市役所の言うとおり点検したところで、その塀が正常なのか異常なのかは素人判断になります

これ、意味あります?

当然、素人判断なので、異常だという報告をうけて専門家を派遣したら正常だった、ということもあるでしょうし

異常だったけれども見過ごされた、ということにもつながるでしょう。

前者ならば二度手間ですし

後者なら大問題です。



次に、このような無意味な活動に教師を駆り出すことは、明日の教育活動の質を下げていると言うことです。

市役所の人間はそれが分かっているのだろうか?

学校の職員全員が、この活動は無駄だと感じています。

しかし、無意味だと感じられたので業務命令を無視しました、という訳にはいきません。

我々は、授業準備等を後回しにして、通学路を巡回しました。



さらに、通学路の周辺の塀といっても、それって私有地内にある個人の所有建造物じゃないですか

それを教師に点検しろってのがそもそも無理じゃないですか?

その点検や管理義務はその塀の所有者にあるはず。

市から建物の所有者に対して点検・適切な管理を呼びかけつつ、必要に応じて専門家を派遣するべきです。

我々はとりあえず、公道からできる範囲の、素人の目による目視判断のみを行ないました。



学校の校門の塀などは、学校の管理下ですので、学校の設置者である市役所が責任を持って点検をするべきです。

しかしながら、その点検は建築の専門家が行なうべき

「学校のことなんだから教師に点検させよう」というのはあまりに短絡だと思います。



まとめ

・建築のド素人である教師に塀の点検を行なわせるべきではない。
・専門家を派遣しろ。
・学校外の塀まで教師に点検させるのは間違いだ。
・こんな手間を教師にかけさせることは、明日の教育活動の質を下げることだと行政は自覚しろ。


こうして、我が市では痛ましい事故の教訓が生かされることはなく、教師の多忙化が促進されただけでした。合掌。





真の敵は悪童でもなくモンペでもなく市役所な気がしてきた。


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