本澤二郎の「日本の風景」(1282)より
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<教訓を学ばない日本・アジア>
工業化に比例する公害というと、高度成長期の日本そのものである。
四日市公害や川崎から千葉へと続く東京湾汚染地帯で人々は泣いた。
新聞も公害報道に紙面を奪われた。
悲劇の水銀中毒事件 など工業化の負の遺産は、
軽く富士山を飛び越えて天にも届く有り様だった。
いま同じ問題が中国やベトナムなどで発生している。
これは日本外交の失態である。
教訓を、真剣に学ぼうとしない日本・
隣人にそれを伝えようとしない日本、を裏付けている。
歴史認識で知られる村山談話や河野談話さえも見直すと
公言した安倍内閣に当惑する日本・アジアでもある。
<中国に注目する環境省>
新聞テレビは、いま中国の大気汚染を特別に大きく取り上げて報道している。
これによって、当局の取り組みが強化されることになれば幸いだが、
どうも狙いはそうではなさそうだ。
「日本の放射能汚染に蓋をかけようとしている」と見られがちだし、
現にそうかもしれない。
環境省は以前から中国の大気汚染を掌握している。
しかし、根気を入れたマスコミ向けデータ提供は、
石原大臣になった今年になってからだという。これがどうも胡散臭い。
中国大好きな心友は
「北京や上海など大都市への車の乗り入れを禁止する。
そうすれば事態は改善するだろう。
都心は公共交通に任せればいいだろう」と提言している。
中国にも車官僚が力を握っているのだろう。
電気自動車の普及が遅れているのかもしれない。
日本では脱硫装置がよく話題になったことがある。
石炭を完全燃焼させる技術などあるに違いない。
東アジア全体で取り組む態勢が不可欠だろう。
<ベトナムの環境汚染>
ベトナムに限らないだろうが、
経済発展と公害は比例しているのが不気味である。
日本の失敗をそっくり真似ている。
大地・大気・河川・海の汚染が急激に悪化している。
人間の健康を蝕んでい る。地球が泣いている。
それに手を打とうとしないASEAN諸国である。
日本の失敗がアジア全域に拡大している。それを放置している日本。
一部に民間がビジネスとして取り組んでいる。その程度である。
アジア人は連帯が苦手な民族なのか。
手を取り合って、お互いを助け合うことが出来ない心の冷たい人々の群れなのか。
わびしくも悲しいアジアであろう。
<日本外交に欠陥>
日本外交は何だったのか。考えさせられてしまう。
価値観外交は、ワシントンの指令に従った格差外交である。
これが日本外交の致命的ともいえる弱点だ。
ワシントンに服従しているといっても、少しひどすぎないだろうか。
いま日本政府と東芝連合は、ベトナムなどに原子炉輸出に懸命である。
福島の教訓など放り投げて、危険な暴利ビジネスに躍起である。
ベトナムどころか、中国への大量輸出にも意欲的と見られ ている。
核爆発させて電力を生み出す方法は、悪魔人間のやることである。
コスト面でもべら棒に高いことが判明している。
従って、欧米は閉炉へと舵を切っている。
核のゴミを処理できない人間なのだ から。
<欧米に服従するアジア>
アジア人の留学先の一番手にアメリカが選ばれている。日本もそうだ。
考えなくても不思議である。
戦争でアメリカに敗れた日本人が、アメリカ好きというのだから。
筆者にしても、つい最近まではその部類に属していた。
日本の政財官のエリート層は、群れをなしてアメリカ留学を経験している。
大英帝国の植民地政策の手口をワシントンも見習っている。
中国や韓国・台湾なども皆欧米留学が先行している。
留学生を上手に抱え込むワシントン・システムも確立している。
アジアの国々が自立できない原因であろう。
白人を崇拝する雰囲気は、アジア人に共通している。これもどうかと思う。
それでいて地球汚染にもっとも鈍感なアジア人なのである。
<ジャーナリズムの存在と自立人間>
アジアに指導者がいない。日本には間違いなくいない。
断定してもいいくらいだ。
金・資本に支配される指導層が余りにも多すぎよう。
人民の人民による人民のための政治が、まだ実現していないからなのだ。
芽は出ている。日本では沖縄県民だ。中国の地方都市にも現れている。
民主主義には背後にジャーナリズムの存在を見てとれる。
中国のネット社会の様子を知っているわけではないが、
どうやらこの中にもジャーナリズムが存在しているのではないだろうか。
沖縄県に注目したい。オスプレイ反対行動は新聞テレビと県民が連動している。
ここに大いなる民主の活力を感じることが出来る。
2013年2月17日23時15分記
本澤二郎の「日本の風景」(1282)より転載引用
http://blog.livedoor.jp/jlj001/lite/archives/52021812.html