店を出て歩き始めると、風はないが落ち着いた心地よい暑さに、独特の香辛料の香りが漂う。
この雰囲気にも慣れてきた。現地の人にも見えなくないかもと思うとちょっとした楽しさが込み上げる。
先ほどから彼女は無言だ。何か覚悟を決めたような、それでいて何か別のことを考えているのだろうか
表情からはどちらとも受け取れる
交差点を左に曲がり、何か話そうかとしばらくすると
ピリリリ・・・ピリリリ・・・
彼女の携帯電話が鳴る。
どうやらメールのようだ。慣れた手つきで日本では見ないような個性的なスマホで返信をしている。
そろそろ目的の建物が見えてもいい頃に、彼女の手が止まりどうやら返信は完了したらしい。
よく考えろ、メールの相手は誰だろう?彼氏か?それとも現地のマフィアか?はたまた屈強な軍人崩れか?
「ほらっ。見えてきたわ。」
彼女の指差す方向に、雰囲気的には日本でいう格安ビジネスホテルようなしっかりして清潔そうな建物が見える。
「もしよかったら一杯飲んでいかない?ビールが安いから一人で飲むには多すぎる量を買っちゃったの。ダメ?」
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