喪失感？

沈みそうな夕日が、ホームのタイル目がけていかほどにか、淡い色合いを反射している

さて、いこうか

歩き始め、あの言葉言わなきゃよかったのか？

自分が正しいと、さも言わんばかりに

喪失感？

さて、と

振り返る

つい先程まであった各列車が堰を切らしたかのように発車していく

強烈な喪失感に襲われながら届きそうで届かない最後の列車が出て行った。

喪失感？

返す言葉もなく

大きく息を吸い込み、今一度駅、構内を見下ろし

アジアの雰囲気を醸し出しながら整然と列車が並んでいる

「今頃楽しかったのに、あの列車に、なんで乗らなかったの？」

悪戯っぽくも聞こえるが、何か吹っ切れたような口調で

何も言えず

「じゃぁ私、行く所があるから。」

最後に一瞬だけ微笑んだような表情を残し

駆け上がる彼女がアジアの雑踏に消えていく

喪失感？

落日まで日の光が強いアジアの駅の構内

彼女の表情が暗い顔だったのかとも思うが、それとも微笑んでいたのだろうか？

乱反射する日の光、表情がわからなかったのか

心情的なものなのだったのかもしれないが、直視出来なかった。

喪失感？

「私が転ぶ度に、お友達やお父さんが嬉しそうに。」

「笑っているの。」

だからなん何だろう？

思いつつ