家の人間が出かけ先で「たまには違うのがいいと思って」と海外メーカーのビスコッティを買ってきた。
「それ、めちゃくちゃ固いよ」
「……!?」
「あ、でも、珈琲に浸して食べるのが本式っていうから……」
私はビスコッティが好きだった。
とはいえ、固いし、縁がなくなり等しかった。
まさか、家の人間が買ってくるとは……ビスケットコーナーであるから買いたいのはわかる。私も買いたいと思うけど、歯が悪いので悩ましい。
でも、珈琲につけて食べられるならいいんじゃ?
誰も食べられないで困るってこともなかろう。
さて、家の人、珈琲に牛乳も入れて飲む際、ビスコッティを早速開けていた。
そして、浸して食べて「美味しい!」と嬉々として食べる。その上「食べ過ぎる」とのこと。浸すと柔らかくなるし、淡白な味わいに深みがでるからだという。また、口に含んだ時、固ければ珈琲を口に含めば、すぐに柔らかかくなるとのこと。
「また買って来ようかな」
高評価になってる。
私はココアを淹れていたので、それで食べてみる。
確かに、浸すとすぐ柔らかくなる。ちょっとつけていたらココアが染みていくのがわかる。
口に入れるととろける感じ。
まぁ、ココアと合わない気はするけど……でも、食べられなくはない。
確かに食べ過ぎそう。
飲み物の分、食べるから。
ビスコッティ、固いからって避けていたけど、選択肢に入れてもいいのかもしれない――。
固くて食べられないではなく、食べ方の問題だったと思い知るのだった。