【やってしまった】花園神社へお参り!おみくじがまさかの結果に…
「ウルトラマンに於ける差別の話・・・・。」
【ゆっくり解説】伝説の問題作品!帰ってきたウルトラマンの問題作!第33話「怪獣使いと少年」を解説!【ULTRAMAN SERIES】
「怪獣使いと少年」のドラマ本編(ディリーメイション)コピペで見て下さい。
https://www.dailymotion.com/video/x7yxmji
「怪獣使いと少年」と言う話がある。此の話は、『帰ってきたウルトラマン』第33話のエピソードだ。差別や未知なる物への恐怖、集団心理の怖さなどを題材としたウルトラシリーズ史上屈指の問題作である。
○あらすじ
河原で穴を掘り続ける少年がいた。
その少年をからかった不良が不思議な力で叩きつけられたり、少年を襲った犬が突然爆死したりした事から人々は少年を宇宙人と忌み嫌うようになっていった。ある日、少年と不良の仲裁に入った郷秀樹は少年の素性を調べていく…。
河原で穴を掘り続ける少年がいた。
その少年をからかった不良が不思議な力で叩きつけられたり、少年を襲った犬が突然爆死したりした事から人々は少年を宇宙人と忌み嫌うようになっていった。ある日、少年と不良の仲裁に入った郷秀樹は少年の素性を調べていく…。
○登場人物
- 郷秀樹(演:団次郎)
我らがウルトラマン。良少年の素性を調べていく内に、ある隠された事実に辿り着く。
市民の身勝手極まりない行いに一時期人間を見捨てようとした(ウルトラマンも同じ考えだった)。
市民の身勝手極まりない行いに一時期人間を見捨てようとした(ウルトラマンも同じ考えだった)。
- 伊吹隊長。MATの二代目隊長、要所要所の場面で郷を導く。
- 上野隊員(声:三井恒)
ラストで声だけ登場。
- 坂田次郎(演:川口英樹)
郷の弟のような存在。不良たちの行動を「かわいそうだよ。酷いよ。」と非難した。
- 良少年
河原で穴を掘り続ける少年。彼の周りで不可解な事が起こった事で人々から宇宙人と呼ばれている。何かを隠しているようだが…
- 金山
良と暮らす老人。二人は親子ではなさそうだが…
- 不良
良少年を宇宙人だと疑い、彼を首だけ出して地面に埋めた上に泥水を頭からかけたり、少年の粥を下駄で踏んだ挙句、かき集めようとしたその手を踏むなど、この作品の批判を集める要因の一つを作った人物。(無論頷ける所もあるが)暴徒と化した市民の中にもいてムルチが出てきた後は逃走した。その後ムルチの襲撃に巻き込まれて死亡したと思われる。
- パン屋の娘
パン屋の店主の娘。店から追い返された良少年にパンを売ってくれた心優しい女性。この作品のモブキャラで数少ない善人。
- 警官
本来町の治安と秩序を守る存在だが、本作では不良と大差ない悪役。ある秘密を持つ金山を殺害し、ムルチをおびき出した張本人。
尚この話ではMATのメンバーは郷と隊長以外は画面に登場しない(上記の通り音声だけならば最後に上野隊員が出るが)。これは下記の制作上の都合が関係している。
ストーリー。
宇宙人と噂される少年が地面を掘っていた。
そこへ現れた不良っぽい中学生たちが、宇宙人だと疑う少年の住む廃屋に入ろうとしたが、少年が手をかざすと中学生の1人は宙に舞い上がった。
その事からますます少年を宇宙人と疑った中学生たちは、少年を土中に埋めて頭から泥を掻けた。
次郎は「かわいそうだよ。酷いよ」と止めるが、中学生たちは「バカヤロウ。宇宙人だぜ、こいつは。お前、頭からカリカリ食われていいのかよ」「お前もやれよ。こいつをやっつけないと酷い目にあうぞ」と言って自転車で良少年を轢こうとした。そこへウルトラマンである郷が来た。
郷「どうして、こんな酷い事をするんだ?」
学生「こいつ宇宙人なんだ。だから、やっつけてるんだよ」
郷「彼が宇宙人というのは単なる噂だろう」
中学生「違う。超能力持ってんだ。間違いなく宇宙人だよ!あんたMATなんだろう?早くやっつけてくれよ」
郷「彼のことは俺が責任を持って処理する。それでいいだろう?」
中学生たちは「ちくしょう!帰ろうぜ。バカヤロウ!」と言い、帰っていった。少年は郷に礼を言った。
中学生たちは「ちくしょう!帰ろうぜ。バカヤロウ!」と言い、帰っていった。少年は郷に礼を言った。
郷「随分、掘ったな。何に使うんだい?」
少年「そんな事を聞くために助けるのなら、ほっといてくれ。」
少年「そんな事を聞くために助けるのなら、ほっといてくれ。」
郷は少年が何かを隠してると直感する。
その後、再び少年の住む廃屋に中学生たちは行き、そこでおかゆを炊いていた少年を取り囲む。「何だ?宇宙人も飯食うのかよ。宇宙人野郎。」「何だ何だ。お粥か」 少年は「何をするんだ!あっちへ行け!」と追い返そうとするが、彼らはご飯をひっくり返す。少年は悔し涙を浮かべて泥だらけの飯粒を集めた。学生たちは「その飯うまいかよ」と言って、それをゲタで踏み潰し「宇宙人が泣いてらぁ~」「悔しいかよ!宇宙人野郎!」と嘲笑った。
そしてそれを拾い集める少年の手を下駄で踏みつける。
少年は涙を浮かべた。さらに少年はけしかけられた犬に噛み付かれるが、その犬は突然木っ端微塵に爆死し窮地を脱する。しかし皮肉にもこれによって却って彼の宇宙人疑惑は強くなって、より地元の人から迫害されるよう追い詰められる事となった。
少年は涙を浮かべた。さらに少年はけしかけられた犬に噛み付かれるが、その犬は突然木っ端微塵に爆死し窮地を脱する。しかし皮肉にもこれによって却って彼の宇宙人疑惑は強くなって、より地元の人から迫害されるよう追い詰められる事となった。
一方、その頃郷の調査で少年の正体が判明した。
彼の名前は佐久間良。北海道は江差生まれのれっきとした日本人だった。
父が就職の為上京後そのまま蒸発してしまい、その間に母も死亡。天涯孤独となった彼は父を追うように上京する。
彼の名前は佐久間良。北海道は江差生まれのれっきとした日本人だった。
父が就職の為上京後そのまま蒸発してしまい、その間に母も死亡。天涯孤独となった彼は父を追うように上京する。
それを知った伊吹隊長も
「良くんはあの廃墟の中に父親に似た愛のぬくもりを発見したのではないだろうか。もしその父が宇宙人で、そのために良君が宇宙人呼ばわりされ乱暴されて、情愛の絆を断たねばならないとしたら、それは絶対に許されぬ。日本人は美しい花を作る手を持ちながら、一旦その手に刃を握るとどんな残忍極まりない行為をする事か。郷隊員、早く良君を宇宙人説から解放してあげたまえ」と郷に命じた。
「良くんはあの廃墟の中に父親に似た愛のぬくもりを発見したのではないだろうか。もしその父が宇宙人で、そのために良君が宇宙人呼ばわりされ乱暴されて、情愛の絆を断たねばならないとしたら、それは絶対に許されぬ。日本人は美しい花を作る手を持ちながら、一旦その手に刃を握るとどんな残忍極まりない行為をする事か。郷隊員、早く良君を宇宙人説から解放してあげたまえ」と郷に命じた。
良が上京したのと同じ時、地球の気候風土を調査するため一人の宇宙人・メイツ星人が嵐の中の河原に降り立ち宇宙船を念力で地中に隠した。丁度その時、怪獣が出現しており同時に良も河原にいたが、餓えと寒さと恐怖により死にかけていた。そこでメイツ星人は怪獣を念力で地中に封じ込め、良を保護する。
その後、人間に姿を変え金山と名乗ったメイツ星人は良と共に河原で暮らしていく。その暮らしの中で良は金山との間に親子の絆と同じほどの物を感じ、金山もまた良の為ならこのまま地球でずっと暮らしても良いとさえ思い始めていた。
しかし、地球の環境汚染は金山の体を蝕んで行き、とうとう埋めた宇宙船を掘り返す事さえ出来なくなってしまった。メイツ星へ帰れさえすれば金山の体は良くなると知った良は、自力で穴を掘り始めたのだった。
雨の降りしきる中、良は商店街にパンを買いにやって来たが、パン屋の店主の女性は「巻き込まれたくない」とパンを売らなかった。とぼとぼと帰る良。するとパン屋の娘が後を追い、彼にパンを渡したのだった。
「同情なんかいらないよ」
「同情なんかしてないわ。売ってあげるだけよ。だってうちパン屋だもん」
「同情なんかしてないわ。売ってあげるだけよ。だってうちパン屋だもん」
良は初めて笑顔を見せた。
嬉しさのあまり、駆け出して河原に帰る良。その良に手を振って見送るパン屋の娘。
嬉しさのあまり、駆け出して河原に帰る良。その良に手を振って見送るパン屋の娘。
その後パン屋の店主が
「あの子超能力使えるんだって、毎日買いに来るよこれから…」
と娘を叱るが、
と娘を叱るが、
「でも、いいんじゃない。うち、パン屋だもん」
と笑って店主を説得。
と笑って店主を説得。
店主は呆然とした表情で良を見送るのであった。
だってうちパン屋だもん♪
全てを知った郷は、宇宙船探しの手伝いを名乗り出る。宇宙船探しの中、郷は「お父さんは?」と聞くが、良は父親なんか要らない、宇宙船が見つかったら金山と一緒にメイツ星へ行くと告げる。地球は今に人が住めなくなるから、その前に地球にさよならする…と。
複雑な表情の郷。と、その時町の人々が大挙して河原にやって来た。
「呆れたもんだ。宇宙人を倒すべきMATが宇宙人と仲良くしてるなんて」
「MATが手を下さないなら俺たちが手を下す」
MATが宇宙人を退治しないなら、自分達の手で退治するとそれぞれに武器を持って襲って来たのだ。
人々には引きずられて助けを求める良の声も、制止しようとする郷の声も届かない。もはや誰にも止められないかと思われたが…
「待ってくれ!宇宙人は私だ!その子は私を守ってくれていただけだ、宇宙人じゃない!さぁ、その子を自由にしてやってくれ!」
一部始終を見ていた金山が耐えきれず、とうとう人々の前に姿を現した。一瞬静まりかえり良を解放する人々。
解放された良は老人の胸で泣く。
良「おじさん どうして出てきたの?」
金山老人「もういいんだよ」
しかし、宇宙人を放って置いたら何をしでかすか分からないと、人々は今度は金山へと刃を向け始める。老人に石を投げつける人々。混乱の中、良は「おじさんに酷い事すると大変な事が起きる」と叫ぶ…そして。
ドンッ
警官の放った銃弾が命中。「殺すなら私を殺せ」と言う金山は更にもう一発凶弾を受け、ついに息絶えた。金山の遺体にすがりつき泣き続ける良。そして彼を宇宙人説から解放すると言う任務に失敗し、最悪の事態を迎えた悔しさから跪き、地面に拳を叩きつける郷。
次の瞬間、良の「おじさんに酷い事すると大変な事が起きる」と言う言葉は現実となった。
河原から白煙が噴き出し始めた。金山が死亡した為。封じ込めていた怪獣ムルチが復活したのだ。警官は銃を撃つも当然怪獣であるムルチには効かず、そして人々はとんでもない事を言いだした。
「あんたMATなんだろ。早く怪獣を倒してくれよ」
なんとさっきまで「宇宙人と仲良くしているなんて呆れたもんだ」と侮辱の言葉を浴びせていたMATに、今度は怪獣が現れたのだから「助けてくれ」と郷に求めたのだ。驚き逃げまどい、MATに怪獣を退治しろと叫ぶ人々…しかし郷は動かなかった。
(勝手な事を言うな、怪獣を誘き出したのはあんたたちだ。まるで金山さんの怒りが乗り移った様だ)
金山から事情を聴く事も良少年の警告に耳を傾ける事もせず、自分達の一方的な偏見で善良な宇宙人を死に追いやったのにも関わらず、怪獣退治はMATに押し付け責任を取ろうとしない身勝手な態度や人々に心底絶望した郷は変身を拒否し人々を見捨てる決断をした。ウルトラマンが人間を見限るという他に類を見ない展開は、視聴者たちに大きなインパクトを与えた。ムルチは愚鈍で身勝手な人間たち(特に不良と警官に?)に怒り制裁を加えるかのように口から吐く火炎を武器に暴れ回り、町に入った。誰もいなくなった河原に一人うなだれる郷。やがてムルチは町を破壊しだすが、ウルトラマンは現れることなく、破壊は際限なく続く……
………かと思われたが、そこへ托鉢僧姿の伊吹隊長が現れ郷に話しかける。
「郷、町が大変な事になっているんだぞ」
顔を上げる郷、そして
「郷、分からんのか!」
この一言で郷は立ち上がり、町へ向かって駆けだしついに変身した。
涙雨のような豪雨の中での戦い、最後は悲鳴のような鳴き声を上げるムルチにスペシウム光線でとどめを刺す。
その後
良は再び穴を掘り始めた。
おじさんは死んだんじゃない、メイツ星へ帰ったんだ、だから自分も宇宙船でメイツ星へ行くから、その時は迎えてくれ…と。
「いったいいつまで掘り続けるつもりだろう?」
「宇宙船を見つけるまではやめないだろうな。彼は地球にさよならが言いたいんだ」
尚、話の方に目が行きがちだがウルトラマンとムルチの戦闘シーンもかなり力が入っており、
- 豪雨の中での戦い
- ワンダバがBGM(普段ならMATの戦闘シーンでよく掛かるはず)
- 燃えている工場や町のミニチュア
- 戦闘開始からしばらくの間、画面が一切切り替わらず、両者の動きに合わせて右にスライドしていく撮影(つまりずっとノーカット)
- 悲鳴のようにも聞こえるムルチの鳴き声
- 戦闘後、しばし呆然と立ち尽くし泣いてる様にも見えるウルトラマン
等、非常にやりきれない気持ちを感じさせる。しかも戦闘中、ムルチは戦いより町の破壊の方に意識が向いている様に思える描写もある。メイツ星人の身体を汚染した原因で、良を精神的にも肉体的にも追い詰めた身勝手極まりない人が多く住む工業地帯を…
(ただしムルチ自体はメイツ星人への差別問題とはまったくの無関係、単なる野良怪獣であり、「悲鳴のような声」「メイツ星人の怒りが乗り移ったよう」「工業地帯への憎しみ」などは単に「そう見えるだけ」なのには注意が必要。むしろメイツ星人に封印されていた点から、ムルチはメイツ星人を憎んでいるはずである。タイトルこそ「怪獣使い」だが、別にメイツ星人がムルチを使役する描写もなく、主従関係などない。
ムルチ自体のルーツも「魚類と陸上動物の中間生物の進化形」とされ、工業排水の汚染などは一切関係ない。過去の書籍ではムルチに「メイツ星人からの指令を受けるアンテナ」があると言う解剖図が書かれており、出身地が「メイツ星」と書かれているものがあり、
ムルチ自体のルーツも「魚類と陸上動物の中間生物の進化形」とされ、工業排水の汚染などは一切関係ない。過去の書籍ではムルチに「メイツ星人からの指令を受けるアンテナ」があると言う解剖図が書かれており、出身地が「メイツ星」と書かれているものがあり、
(メイツ星人が護身用に連れてきたが手に負えなくなり封印したと解釈出来なくもないが、それならそれでメイツ星人側の自業自得と言える)
言葉を失うトラウマ回【帰ってきたウルトラマン33話】やばい問題作「特撮」
帰ってきたウルトラマン第33話ムルチ出現
また良の顔がつりあがった一重の目なのは、メイツ星人の偽名「金山」とあわせて、彼らが在日朝鮮人の象徴である事を暗示し、出身地の北海道・江差は少数民族「アイヌ」を表していると言う説もある。更には河川敷に住むと言う事から、いわゆる「被差別部落」を読み取る事も出来、当時アメリカ占領下だった沖縄も暗示させるなど当時タブーの話題だった差別話題を扱ったとして様々な億刷、考察を生み出した。
上の様に非常に重い話ではあるが、一方でメイツ星人自身、理由はどうあれ、地球に不法侵入しており(後の「ウルトラマンメビウス」でもメイツ星人ビオはその点は落ち度である事を認めている)、宇宙からの外敵に常に晒されている戦時とも言える状況で、かつ宇宙人が連れてきた怪獣によって数々の被害が出てきた地球の状況を考えれば、市民が恐怖を感じる事は当然とも言える。
またメイツ星人の「地球の風土、気候を調べていた」理由も明かされておらず、悪意の無い来訪だったのか、仮に金山自身に悪意がなかったとしても、母星の方がどうであったか、怪しい部分もある。特に金山からの連絡が途絶えたにも関わらず、救援一つ送っていない点もメイツ本星側の不穏さを感じさせる。更にもし本当に気候の調査に訪れていたとしても、その目的を人々に伝えていない以上、侵略者かそれの仲間と勘違いされてしまうのも無理はないだろう。
またメイツ星人の「地球の風土、気候を調べていた」理由も明かされておらず、悪意の無い来訪だったのか、仮に金山自身に悪意がなかったとしても、母星の方がどうであったか、怪しい部分もある。特に金山からの連絡が途絶えたにも関わらず、救援一つ送っていない点もメイツ本星側の不穏さを感じさせる。更にもし本当に気候の調査に訪れていたとしても、その目的を人々に伝えていない以上、侵略者かそれの仲間と勘違いされてしまうのも無理はないだろう。
(※地球側が似た立場になったケースとして「ウルトラセブン」に登場したアンノンとペダン星人がいる。彼らが地球にやって来たのは探査船を侵略と誤解した為である)
他方、不法侵入する一方で超能力を行使して怪獣を抑えるなどはまさにウルトラマンが此れまで取ってきた行動と同じであるものの、ウルトラマンがヒーローと認められるだけの積み重ねと現地の人々を始めとした多数の目撃者がいたのに対して、メイツ星人にはそれが無く、その行為の目撃者が良少年一人と言う状況から起きた悲劇でもあった。
宇宙人が恐怖の対象であるにもかかわらず、原始的な武器と数を頼りに取り囲むと言うある意味では滑稽な事態は群集心理の恐ろしさを示しているとも言われている。また、前述の通り作中の地球は毎週の様に怪獣による災害や宇宙人の侵略に晒されている「事実上の有事体制下」であり、市民一人ひとりが「宇宙人及びその疑惑の立った人間をかばう」という選択を取りづらくなる同調圧力が掛かっていたとも考えられる。
その様な事をすれば、自分自身も「人類全体の裏切り者」の誹りを受け、迫害される立場になると言う恐怖により、誰もが極端な行動を取らざるを得ない心理状態に置かれていた。この心理状態を分かり易く言うと、怪獣や宇宙人も恐ろしいが「隣人の目も恐ろしい」と言う事である。
メイツ星人や郷が差別されていた一人の少年に手を差し伸べたのは事実であり、坂田次郎少年、伊吹隊長も良が宇宙人だから迫害しようと言う考えには難色を示して助けようと発言している。また、劇中で良が町に買い物に出かけた時に差別してパンを売らない訳でもなく、同情してパンをあげるでもなく、一人のお客さんとして良に接してパンを売ってくれたお姉さんがいるなど、悲しい物語の中にも光は存在していたのも事実である。
ウルトラマンシリーズ内でも屈指の重いエピソード・問題作であり、現在では放送も出来ないであろう作品である。
人は美しい花を作る手を持っているのに、何故、その手に刃を握って血と涙と憎しみを生み出すのだろう…。
この様にシリーズ屈指の重いエピソードになっているが、実は制作当初(原題は「キミがめざす遠い星」)はこの様に極端に重いストーリーではなく、
- 坂田家の風景とMAT隊員がいつもどおり登場
- アキは佐久間良少年に、にっこり笑って自分のパンを譲ってあげる
- 伊吹隊長のやり取りは「人は美しい花を作る手を持っているのに」の台詞はなく、「花の松前、紅葉の江差、開く函館菊の紋・・・」などいつものMAT基地の会話
- 市民に襲われたのは、佐久間良少年とメイツ星人だけではなく、それを制止しようとした郷秀樹も投石によって血を流し、さらには次郎くんまでもが木切れを投げつけられて倒れる
など、シリアスながらも救い様がない話ではなく坂田家の人々の優しさや、MATの人々の人間理解なども含まれていた。
これは脚本を担当した上原政三氏が(自身の経験により)
「差別はどこにでもあり、立場により変わる」
「本土に来る事じたい、此処で沖縄人として生きて見よう、自分の肌で感じる差別、それが何なのか突きとめて見よう」など、
「差別はどこにでもあり、立場により変わる」
「本土に来る事じたい、此処で沖縄人として生きて見よう、自分の肌で感じる差別、それが何なのか突きとめて見よう」など、
単に差別だけを上げただけでは意味がなく一歩を踏み出さなければ意味がないと言う考えがあった故の事であったのだが、監督が映像では上記の場面を全てカットしてしまい、救い様のない物語として生まれたのがこの「怪獣使いと少年」であった。(それ故に上記のMAT隊員や次郎を除いた坂田家が登場しない不自然な点や、人々が疑心暗鬼に苛まれる面の仕方なさやメイツ星人側の問題点などが其の儘残されている。)
この様な脚本から可也逸脱した背景とファンがこの作品ばかり気にするため、上原氏は「あの作品は僕のなかの差別に対する反発がちょっと出すぎている」「自分の本音は殺して書くんですけれども、あのときはナマ過ぎたと言うか」など複雑な心境で語っており、
『24年目の復讐ー上原正三シナリオ傑作集』で脚本解説の曹川昇が「脚本と映像は必ずしも同一でなくてもよいのだ」とも語っている。ちなみに「怪獣使いと少年」はTBS内での受けは非常に悪く、上層部から痛烈な酷評を受けて監督の東條昭平は助監督に降格され、一度納品拒否を食らい再編集を強いられたうえ、上原氏は第38話を最後に干されてしまい、復帰は最終回を待たなければならなかった模様。
- 『怪獣使いの遺産』(『ウルトラマンメビウス』)
昭和ウルトラシリーズの世界観を引き継いだ平成ウルトラシリーズ『ウルトラマンメビウス』にて、後日談と言えるエピソード『怪獣使いの遺産』が制作された。
地球との友好関係を結ぶために地球を訪問しに来たメイツ星人ビオが現れ、地球人との対話を要求。怪獣ゾアムルチを連れて来てはいるが、護衛用だと言う。同時にビオはヒビノ・ミライ(ウルトラマンメビウス)に接触し、過去に地球に来たメイツ星人の味わった陰惨な過去を語る。しかし、まず話し合うつもりで来ている事を改めて示し、『これはメイツ星人と地球人の問題。本来無関係な貴方には関わらないでほしい』と不干渉を要求する。
しかし、その現場を見たリョウはミライが襲われていると誤解して発砲、ビオを傷付けてしまう。
その行為に激怒し、やはり地球人は信じられないと憤るビオ。
彼はかつて地球人に殺されたメイツ星人・金山の息子だったのだ。
彼はかつて地球人に殺されたメイツ星人・金山の息子だったのだ。
怒りで我を忘れたビオは怪獣ゾアムルチを召喚。
地球の領土を割譲しないとゾアムルチで町を破壊すると脅迫する。
地球の領土を割譲しないとゾアムルチで町を破壊すると脅迫する。
やむなくミライはメビウスに変身し、ゾアムルチを止めに向かう。
破壊をやめろと詰め寄るリュウを意に介さないビオの前に、幼稚園の保育士の女性が子供達と現れる。
彼女はかつて円盤を掘り起こそうとしていた少年と会った事があると言う。
彼女はかつて円盤を掘り起こそうとしていた少年と会った事があると言う。
語られた少年と父と思しきメイツ星人の話を聞き、また、宇宙人だと知りながらも自分の傷を心配してくれる子供達と触れた事で決して地球人全てが悪い訳ではないと実感しながらも、父を殺された憎しみを消し切れないと絶叫するビオ。彼の涙と共に、その心境を表すかの様に激しさを増す雨。
涙と雨に濡れながら、ビオは叫ぶ。
「お願いだ!私の憎しみを消し去ってくれ!!」
「ウルトラマンメビウス!!」
その絶叫を聞いたメビウスは、ビオの憎しみの象徴たるゾアムルチを撃破するのだった。
その後、ビオは地球人に謝罪。メイツ星と地球との間に、友好関係が結ばれた処で話は終わる。ただし、ビオはリュウからの握手の希望に対しては「握手は父の遺産の咲かせた花を認めてからにしよう」と言い残すだけに留めた。
Ultraman Mebius vs. Zoa Muruchi
このエピソードはシリーズ屈指の重い物語の後日談として注目されていた。和平を結びに来ると言う動機、なおも消せない憎しみ、今なお残る差別に、安易なハッピーエンドで終わらせていない点は、まずまず評価されていると思われる。他方、謝罪や賠償を求める事を飛び越していきなり領土の割譲を要求しつつ攻撃すると言うビオの行動が唐突すぎるとか、メイツ星も本来ならビオではなく別の人を派遣すべきだったのではと言う批判もある。尺の都合だった可能性は否定出来ないが、物語的には賛否両論と言った処見たいです。最後に、「ウルトラマン『故郷は地球』」から同じ人間から見捨てられて、ある惑星で怪獣になってしまった。怪獣ジャミラが、ウルトラマンに倒されて、悲しい泣き声を上げて死んで行くシーンを上げて置きます。。。
ウルトラマンVS怪獣ジャミラ
今回はウルトラマンに於ける差別と言う題でお送りしました。また次回お逢いしましょう。。。。☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆