高橋五山先生(明治21~昭和40年)は生涯を教育紙芝居の製作・普及に賭けた画家・作家です。その功績を記念した「高橋五山賞」という顕彰制度があり、紙芝居の年間優秀作品に授与され、すでに45回を数えています。
昭和6年、高橋五山は下落合の自宅に「全甲社」という紙芝居制作会社を設立しました。同社の活動が本格的に開始する頃と井草幼稚園の創立時期が重なっています。このことで当園に多くの五山作品が残されているものと思います。
「紙芝居」は日本独自のメディア文化で、その誕生も昭和初期であり、決して古い歴史とはいえません。しかも初めは飴売りの街頭紙芝居。世間は、芸術的・教育的価値の無い、子ども相手のある種「下賤」なものというような見方をしていました。
その「紙芝居」に、学校・幼稚園・寺院などでの教材としての地位を確立すべく私財を投じて尽力されたのが、高橋五山でした。紙芝居を宣伝・販売営業しに幼稚園や保育所を訪問すると、「私の園では、良家のお子さまばかりお預かりしていますからねえ」と、辛らつな断られ方をしたという、今となっては信じがたい話しが五山先生の資料に残っています。当園に調査に来られた高橋さんによると、五山先生は当時多くの返品・在庫を会社でもある自宅にかかえていた、とのことでした。
現在諸外国でも、日本発祥の「紙芝居」が「kamishibai」としてその視聴覚効果が認識され、活用が試みられつつあります。当園の古い紙芝居は現在保存棚に眠っていますが、高橋さんの研究により新しい光が当てられたようです。こうした出会いも仏様のご縁であると思いますし、いまやインターネットも「仏縁」のひとつになり得ると実感せざるを得ません。
古い紙芝居は、折りをみて幼稚園でも上演したいですし、これを機会にどこかで展示される時も来ることと思います。
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