恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

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26日のサンタクロース~その2

2015-12-27 08:33:47 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

譲二さんが実家に帰っていた頃のお話。

 

。∠(*゜∇゜*)☆Merry X'mas☆┗*・ェ・*┛

26日のサンタクロース~その2

〈譲二〉
クリスマスの翌日。

朝食の席で兄貴に聞かれた。


紅一「最近、佐々木さんとは会っているのか?」


俺はなるべく軽い調子で答えた。


譲二「ん~。3週間くらい会えてないかな…?」

紅一「そうか…」


兄貴はちょっと黙り込む。


譲二「メールや電話でいつも話してるからね」


百花ちゃんをクロフネに1人ぼっちにしてることを、兄貴は結構気にしているらしい。

『無理せず休みも取れよ』と常々言ってくれている。

だけど、それに甘えていては、百花ちゃんのところへ戻る日が遠のいてしまう。

実際、百花ちゃんには『2年でカタをつけて戻ってくる』と約束したけど、仕事を始めてみればそんな甘いもんじゃないと思い知らされる毎日だ。


紅一「女性にとっては、クリスマスは恋人と過ごしたい大切な日だったんじゃないのか?」

譲二「百花ちゃんにはすまなかったな、って思ってるよ。だけど、どうしても調整できなかったんだ」


兄貴は真面目な顔でこう言い出した。


紅一「今日の打ち合わせなんだが、相手先から日をずらして欲しいと連絡があった。急だが、お前、休みを取ったらどうだ?」

譲二「え?でも、溜まっている仕事もあるし…」

紅一「それは少々後にしても大丈夫だろう。まあ、休みと言っても夜には帰って来てもらわなければならないが」

譲二「兄貴…」


俺は兄貴の言葉に甘えて、急遽休みを取ることにした。

すぐに百花ちゃんにメールを打とうとしたものの、それよりも彼女の驚いた顔を直接見たくなった。

急いで準備して車のキーを持つと、食後のコーヒーを飲んでいる兄貴に声をかけた。


譲二「出かけてくるよ…兄貴、ありがとう」

紅一「ああ、佐々木さんによろしくな」


はやる気持ちを抑え、エンジンをかける。

シャッターが開くのを待つ間ももどかしく、車を発進させた。

 

その3へつづく


26日のサンタクロース~その1

2015-12-26 07:43:17 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

譲二さんが実家に帰っていた頃のお話。

 

。∠(*゜∇゜*)☆Merry X'mas☆┗*・ェ・*┛

26日のサンタクロース~その1

〈百花〉
クリスマスも終わり、昨夜できなかった片付けを1人でする。

今年のクリスマスは譲二さんの仕事が忙しくて、一緒に過ごすことはできなかった。

前からわかっていたことだし、幼なじみのみんなが心配して、いつも通りのクリスマスパーティを開いてくれた。


(だから、寂しいなんて言っちゃいけない…)


それに譲二さんからは真紅の薔薇の花束と一緒に、クリスマスプレゼントが届いた。

中には、この前のデートの時、ウインドショッピングで私が見とれていたコートが入っていた。

『このコートのように君を抱きしめたい』というメッセージカード付きで。

私は譲二さんの気持ちが嬉しくて、譲二さんが恋しくて、そのコートをぎゅっと抱きしめた。


(だから、寂しいなんて言っちゃいけない…)


私からは仕事中にいつも締めて貰えるようネクタイを贈ってあった。

そして、イヴの夜には(とても遅い時間だったけど)電話で30分くらいは話したし、プレゼントのお礼と一緒に『大好きだよ』という言葉も何度も言ってもらった。


(だから、寂しいなんて言っちゃいけない…)


クロフネの床を掃きながら、涙がこぼれないよう手の甲で拭った。

 

その2へつづく


クリスマスの魔法~その8

2015-12-25 08:00:11 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

彡*<(* ̄▽)/▽▼▽†Merry X’mas†▽▼▽\(▽ ̄*)>*☆彡


クリスマスの魔法~その8

〈譲二〉
百花ちゃんと手を繋いで、イルミネーションを見ながらそぞろ歩いた。

最初は、人混みで百花ちゃんとはぐれないためだったけど、嫌がるふうも無いので、繫いだままにしている。

(図々しいな…俺って)

イブの夜に一緒にお祝いできなかったのは、残念だけど、こうやって2人で歩けるのは楽しい。

それも『大好きな女の子』と

これもクリスマスの魔法だな。

こんなことができるのも、百花ちゃんにまだ彼氏がいないからだけど。


譲二「百花ちゃん、来年もよろしくね?」

百花「え?」

譲二「いや…、もうすぐ年も変わるからね…」

百花「はい、私こそよろしくお願いします」


2人で顔を見合わせて微笑みあう。

来年のクリスマスもこんなふうに2人で過ごせたらいいのに…。

そこまで望むのは図々しいだろうか?


譲二「ちょっと冷えてきたね?」

百花「そうですね」


相槌を打つ百花ちゃんの息も白くなっている。


譲二「そろそろ帰ろう。それで一緒にココアでも飲もう」

百花「はい!」


商店街を通って帰る。

いつの間にか、繋いだ手は離れていた。


2人で並んで歩きながら、百花ちゃんと恋人になった気分を味わう。


(こんなおじさんの俺から「好きだ」とも「付き合って欲しい」とも言う勇気はないけど…)


百花「あ!」


百花ちゃんが急に立ち止まった。


百花「マスター!雪!」


ちらちらと舞う雪を手のひらで受けている。


譲二「冷えるはずだね」

百花「積もればいいのになぁ」


両手を広げて空を見上げる百花ちゃん。

そのあどけない姿は昔と変わらない。


(君のことが大好きだよ)


心の中でそうつぶやくと、雪と戯れる彼女の姿を心の目に焼き付けた。

クリスマスの魔法 おわり


☆彡*<(* ̄▽)/▽▼▽†Merry X’mas†▽▼▽\(▽ ̄*)>*☆彡


まだ恋人未満の2人のクリスマスストーリーを書いてみました。

実はこの話は二年越しだったりします。
途中で話が止まり、その後が書けずに苦しみました^^;

この物語は2人の気持ちが通じ合わないまま終わります。
物足りなく思われる方がいたらごめんなさい。
その代わり、以前書いたバレンタインストーリー『ドキドキバレンタイン』につながる、と思っていただければ。

恋人になってからのラブラブもいいけど、好きな人が自分をどう思ってくれてるかわからないドキドキ感も恋の醍醐味だったりします。

冬の冷たさはそういう切ない気持ちによく合う気がします。

 

 


クリスマスの魔法~その7

2015-12-24 06:49:46 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

彡*<(* ̄▽)/▽▼▽†Merry X’mas†▽▼▽\(▽ ̄*)>*☆彡


クリスマスの魔法~その7

〈百花〉

駅前はたくさんの人でごった返していた。

ぼぉっと歩いていると、向こうから来た人にぶつかってしまう。


譲二「百花ちゃん、こっちにおいで…」


マスターは私の手をとって引き寄せてくれた。

マスターは手を握ったままだ。

そして、そのまま私たちは並んで歩いている。


(マスターと手を繫いじゃった…。マスターの手…。大きくて温かい)


大好きな人とこうして手を繋いで歩けるなんて、とても嬉しい。

なんだかドキドキしてしまうけど…。

マスターは大人だからドキドキなんてしないんだろうな。


譲二「イルミネーション、見事だね。いつも通りがかりにしか見ないから、じっくりと見たのは初めてだよ」

百花「そうなんですか?」

譲二「ああ、男一人で見に来てもしょうがないしね」


マスターは苦笑いする。


譲二「だから、じっくりとイルミネーションが見られるのは百花ちゃんのお陰だな」

百花「お陰だなんて…でも私も嬉しいです」


私がマスターの手をしっかりと握ると、マスターも握り返してくれた。

大好きな人と今こうしていられるのは…。


百花「まるで魔法みたい…」

譲二「ああ、幻想的だね…」


マスターは、私がイルミネーションのことを魔法みたいだと言ったのだ、と取ったようだった。

そっと見上げるとマスターの綺麗な横顔がイルミネーションをバックに浮かんでいる。

私は小さな幸せを感じながら、大好きな人の手の温かさに浸っていた。

 

その8へつづく


クリスマスの魔法~その6

2015-12-23 09:10:24 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

彡*<(* ̄▽)/▽▼▽†Merry X’mas†▽▼▽\(▽ ̄*)>*☆彡


クリスマスの魔法~その6

〈百花〉

みんなが帰った後、洗った食器を片付けながらマスターが言った。


譲二「百花ちゃん。片付けはこれぐらいにしてちょっと出かけない?」

百花「出かける?」

譲二「うん。クリスマスのお祝いをしようと言ってたのに、昨日何も出来なかったから」

譲二「駅前のイルミネーションを見にいかない? 」

百花「はい!」

譲二「じゃあ、着替えておいで、あったかくしてね」


急いで部屋に戻るとコートを着て、マスターへのプレゼントを持った。

出かける前に渡してしまおう。


☆彡*<(* ̄▽)/▽▼▽†Merry X’mas†▽▼▽\(▽ ̄*)>*☆彡


譲二「あ、百花ちゃん早かったね」


厨房の電気を消しながらマスターが言った。

マスターも既にコートを着ている。


譲二「じゃあ、行こうか」

百花「あの…マスター」

譲二「何?」


私は後ろに隠していたプレゼントを両手で差し出した。


百花「あの…これ…よかったら…クリスマスのプレゼントです」


マスターはちょっと驚いたように笑顔を見せた。


譲二「え? ほんとにもらってもいいの?」

百花「はい…。それでよかったら、今開けて下さい」


マスターは「それじゃ、遠慮無く」と言って、プレゼントの包を開けた。


譲二「あ! これ…暖かそうだね」


私が用意したのはマフラーだった。


百花「もし良かったら…外は寒いので…」

譲二「うん。さっそく巻かせてもらうよ」


マスターはマフラーをふわりと巻いた。


譲二「うん。とってもあったかいよ。ありがとう」


そう言いながらマスターはコートのポケットから小さな包を取り出した。


百花「それは…?」

譲二「イルミネーションを見ながら渡そうかなって思ってたんだけど…」

百花「私に?」

譲二「うん。気に入ってくれるといいんだけど…」


包装紙から出てきたのは…。


百花「バレッタ…。可愛い…」


天然石がお花のように縁取っている。


百花「ありがとうございます」

譲二「良かったら、百花ちゃんも付けてみて?」


鏡で見ながら、髪をひねって付けてみる。


百花「変じゃないですか?」

譲二「……。いや…。とっても似合ってるよ」

 

その7へつづく