恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

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白い朝~ヒロイン目線で

2016-01-19 08:57:21 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

「白い朝」は譲二さん目線の話なんだけど、読み返していたらヒロイン目線でも書きたくなったので書いてみました。

譲二さんとヒロインは一緒に暮らしているけど、部屋は別です。

そこが他の幼馴染みとの同棲と違うところだよね。

だから譲二さんはどんなふうに誘うのかな?と考えるとドキドキします\(//∇//)\



☆☆☆☆☆

(寒い…)


真っ暗な中で寝返りを打つ。

とても温かい方へ。


温かくて大きな腕がすぐに抱き寄せてくれた。


そして、頭をよしよしと撫でてくれる。

外の寒さで目覚めかけた頭も、その安心感と心地よさからまた夢へと引きずり込まれる。



☆☆☆☆☆

譲二さんが実家から帰ってきて数ヶ月。


時々夜に譲二さんのベッドに誘われるようになった。

夕食後やお風呂あがりにすれ違った時など、何気なく譲二さんが言うのだ。


譲二「百花ちゃん…もし良かったら……今夜は俺の部屋に来てくれる?」


その言葉を聞くと私は全身真っ赤に成ってしまう。

そして、小さく「はい…」と言って頷くのだ。



☆☆☆☆☆

温かいまどろみの中で私は夢を見ている。


なぜだか私は小さな女の子に戻っていて、お外で遊んでいる。


空からは白い綿雪がふわふわと舞っていて、手のひらでそれを受けようと空に向かって手を広げている。


雪はちっとも冷たくなくてとても温かだった。


???「お前…、そんなことしてると風邪引くぞ!」


懐かしい声が叱ってくれる。

振り向くと、ちょっと困ったような顔をした少年が私を見ている。

じーじだ!


百花「じーじ!」

私はじーじに駆け寄って飛びついた。

譲二「こら! 飛びついたりしたらあぶねーだろ!」


キツい口調ながらその声は優しく、じーじは大きなマフラーで私をぐるぐる巻きにしてくれる。


百花「こんなにぐるぐる巻きにしたら動けないよ~」


私の抗議にもかかわらず、じーじはどんどんマフラーを私に巻きつける。


(ああ、温かくて…くすぐったい)


譲二「そんな格好じゃ、風邪を引いちゃうよ」


いつの間にかじーじは大人の譲二さんになっていた。


そして、耳元で囁く。


譲二「そんな悪い子にはお仕置きするよ…」


そう言うと私に優しくキスしてくれる。

何度も…何度も…。


百花「譲二さん…それじゃあお仕置きにはなりません…」

譲二「ん? …だって…俺がしたいからさ…」


そう言って譲二さんは私の頬にまたキスを落とした…。



その瞬間、私はハッとして目を開いた。


譲二「ごめん。起こしちゃったね」


百花「今、譲二さんにキスされた夢を見てた…」


思わずそう言ってしまい、私は頬を赤らめた。

ドギマギしている私とは違って、譲二さんはこんなことを言う。



譲二「夢じゃないよ…。 今、こんな風にしたんだ」

 

そして鼻先から唇に続けて軽いキスを落としていく。

百花「‼︎」


夢の中でのキスを思い出して恥ずかしくなった私は譲二さんの胸に顔を埋めた。


(あ、譲二さん……裸だった…)

ちょっと慌てていると譲二さんが言う。



譲二「なんだか顔が冷たいね?」


(譲二さんの素肌に冷たい頬を当ててしまった…。びっくりしたよね?)



百花「あ、ごめんなさい、譲二さん。冷たかった?」


譲二さんはちょっと微笑んだ。


譲二「いや、俺はいいんだけど、百花ちゃん身体が冷えて寒いんじゃない?」


百花「そういえば…」


私は身震いした。

確かに布団の外はかなり冷え込んでいる。


譲二「もっとこっちへ来てごらん」


譲二さんは私を抱き寄せて、しっかりと掛け布団でくるんだ。

素肌と素肌がふれあう。

(温かいけど…。こんなに譲二さんにくっついているなんて…)


百花「あったかい…。でも、ドキドキします」


譲二「俺も…」


ふれあう胸の鼓動は譲二さんのもドキドキしている。


(私だけじゃないんだ…)


(ずっとこうしていたい…)



だけど、ハッと我に返った。


外はもうかなり明るくなってきている。



百花「何時でしょう?」


譲二「ん?まだ早いんじゃないかな…」


百花「でも…、もう外はかなり明るいみたいですよね?」


私の言葉に、譲二さんは半身を起こしてカーテン越しに窓の外を見た。




譲二「百花ちゃんはそのままでいて…」


譲二さんはベッドから抜け出ると、フリースの上着を羽織って窓の側に寄った。

白く曇った窓を掌で拭いている。

譲二さんが振り向いて、弾んだ声で私を呼んだ。



譲二「百花ちゃん、ちょっとこっちへ来てごらん」


私が譲二さんの側に駆け寄ると、譲二さんは私を毛布でしっかりくるんでくれた。


肩を抱き寄せながら、2人で窓の外を見る。


外は一面の銀世界だ!!


譲二「空も街も真っ白だね」


百花「きれい…。雪明かりでこんなに明るかったんですね」

譲二「ああ。しかもまだ降り続くみたいだ」


鼠色の空からは白い粉雪が後から後から舞い落ちてくる。


百花「静かですね」


譲二「ああ」


その譲二さんの声も雪に吸い込まれてしまいそうだ。

何の音もしない。


百花「まるで、この世界に私達しかいないみたい…」


譲二「そうだね…」



そう言うと譲二さんは私を抱きしめる手に力を込めた。


このまま…ずっとずっと雪が降り続いたらいいのに…。

譲二さんと2人だけでずっとこうしていたい。

このまま、2人だけの白い世界で…。

いつまでも。



いくら毛布に包まれているといってもやはり寒さには勝てない。

私は思わず身震いした。


譲二「寒い?…よね」



譲二さんが暖房のスイッチを入れた。



譲二「部屋が暖まるまで、布団に入ろう」


百花「でも…そろそろ起きないと…」


譲二「今日は大学は休みだし、店もこんな日は急いで開けなくてもいいし、まだ大丈夫だよ」



そう譲二さんに言われて、私はその言葉に素直に従った。


譲二「やっぱり…。身体が冷たくなってる」


私の身体を包み込むように譲二さんは抱きしめてくれる。


百花「あったかい…」


さっきの心地よさをまた思い出す。


譲二「そう?…良かった…」


あまりの気持ちよさに、小さなあくびをした。


百花「…ごめんなさい…」


譲二「うん?…しばらくこうしてあげるから、もう少し眠るといいよ」


百花「…でも…」


そう言ってみたけど、この心地よさには勝てそうもない。

もう一度小さなあくびをすると私は目をつぶった。


いつまでも…この白い朝が続きますように……。

 


白い朝~再掲です^^;

2016-01-18 08:27:29 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

全国的な大雪ってことで、昨年書いたこの話を再掲します。
新しいお話じゃなくて、ごめんなさいf(^_^;)


大雪といえば、吉恋では番外編に「雪遊び」もあるよね。

「雪遊び」はカレと付き合う前の話。
お互いに気にはなってて、この出来事で2人の仲がまた一つ深まる…みたいな話。
もらったスチルではハルくんがとっても可愛いんだ。
それぞれのルートには子供の頃の雪遊びの思い出も出てくるんだけど、譲二ルートだけその話が無いんだよね。
これはこの番外編が作られた時にまだ譲二本編が出来てなかったためと思われる。

☆☆☆☆☆

いつの間にか眠っていたようだ。


眠る前には点いていた暖房もタイマーが切れたとみえて、部屋の中の気温は一気に下がっていた。


吐いた息が白く曇る。

☆☆☆☆☆

昨夜はあいつらが新年会をしようと言い出したので、遅くまで店を開けていた。


昔と違って酒が入るから、なかなか帰ろうとしないあいつらを何とか追い出して、2人だけでシャンパンで乾杯をし直し新しい年を祝ったのだ。

百花ちゃんが20歳を過ぎてからは祝い事の日には2人でお酒を飲めるようになった。

そして…、2人だけの夜には添い寝以上のこともできるようになった。

 


今、彼女は俺の腕の中で眠っている。


あどけない寝顔が愛おしくて、そっと頬に口づけた。

すると、おとぎ話のお姫様のように、彼女はパッと瞳を開いた。

譲二「ごめん。起こしちゃったね」


百花「今、譲二さんにキスされた夢を見てた…」


言いながら百花ちゃんは頬を赤らめる。


譲二「夢じゃないよ…。 今、こんな風にしたんだ」

 

俺は鼻先から唇に続けて軽いキスを落とした。

百花「‼︎」


百花ちゃんは俺の胸に顔を埋めた。


さっき、頬にキスした時にも思ったけど、額も頬も冷たくなっている。

譲二「なんだか顔が冷たいね?」


百花「あ、ごめんなさい、譲二さん。冷たかった?」


俺はちょっと微笑んだ。


譲二「いや、俺はいいんだけど、百花ちゃん身体が冷えて寒いんじゃない?」


百花「そういえば…」


百花ちゃんは今気づいたかのように身震いした。


譲二「もっとこっちへ来てごらん」


俺は百花ちゃんを抱き寄せて掛け布団でくるんだ。


百花「あったかい…。でも、ドキドキします」


譲二「俺も…」


しばらくそうしていたが、百花ちゃんがハッとしたように言う。


百花「何時でしょう?」


譲二「ん?まだ早いんじゃないかな…」


百花「でも…、もう外はかなり明るいみたいですよね?」


言われて、カーテン越しに窓の外を見る。


2人の息で窓は白く曇っているが、外はかなり明るい。

譲二「百花ちゃんはそのままでいて…」


俺はベッドから抜け出ると、フリースの上着を羽織って窓の側に寄った。

白く曇った窓を掌で拭いた。


窓の外は一面の銀世界だった。


俺は振り向いて百花ちゃんを呼んだ。


譲二「百花ちゃん、ちょっとこっちへ来てごらん」


百花ちゃんがベッドから滑り降りたので、彼女の身体を毛布でしっかりくるんだ。


肩を抱き寄せながら、2人で窓の外を見る。

譲二「空も街も真っ白だね」


百花「きれい…。雪明かりでこんなに明るかったんですね」

譲二「ああ。しかもまだ降り続くみたいだ」

鼠色の空からは白い粉雪が後から後から舞い落ちる。

百花「静かですね」


譲二「ああ」


雪が音を吸い込んでいるのだろう。何の音もしない。

百花「まるで、この世界に私達しかいないみたい…」


譲二「そうだね…」


俺は抱き寄せる手に力を込めた。


このまま…ずっと雪が降り続いて、俺たち2人だけの世界が続いたら…。

そんなことはありえないのに夢想してしまう。

2人で暮らしているといっても昼間は別々だし、ライバルは多いし…。

百花ちゃんが身震いした。


譲二「寒い?…よね」


俺は暖房のスイッチを入れた。


譲二「部屋が暖まるまで、布団に入ろう」


百花「でも…そろそろ起きないと…」


譲二「今日は大学は休みだし、店もこんな日は急いで開けなくてもいいし、まだ大丈夫だよ」


俺の誘惑に百花ちゃんは素直に従った。


譲二「やっぱり…。身体が冷たくなってる」


俺は百花ちゃんの身体を包み込むように抱きしめた。


百花「あったかい…」


譲二「そう?…良かった…」


百花ちゃんは昨夜の疲れが残っているのか、小さなあくびをした。


百花「…ごめんなさい…」


譲二「うん?…しばらくこうしてあげるから、もう少し眠るといいよ」


百花「…でも…」


そう言いながらも、もう一度小さなあくびをすると百花ちゃんは目をつぶった。


そして、間も無く軽い寝息が聞こえてきた。

 



外は相変わらずなんの音もしない。

雪よ…。このまま降り続いてくれ…。

 

そして、2人だけの白い朝がいつまでも続いて欲しい…。


そう願いながら、俺も目をつぶった。

☆☆☆☆☆


この話はクリスマスのために書き始めたものの、途中で行き詰まって、放ってあったものです。
クリスマスが終わってから;^_^A、改めて手を入れなおしたら、纏まったお話になったのでupしました。
クリスマスだったらホワイトクリスマスの話だったんですけどね。
でも、本格的に雪が降るのはこれからの時期だから、まあいいかな。


譲二からの手紙

2016-01-06 05:50:02 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

前略

正月にはみんなでクロフネに訪ねてきてくれてありがとう。

昔を思い出して、とても楽しかったよ。

と言っても、昔はお酒じゃなくて、ジュースで乾杯してたものだけどね。

カレとも相変わらず仲がいいみたいで、オジサンは安心しました。

高校時代はカレとよく行き違いがあってハラハラしたものだけど、それも今はいい思い出だね。

いつもメールでやり取りしてるのに、急に手紙が届いてびっくりしてると思います。

みんなが帰った後、クロフネはいつもよりいっそう、がらんとしててね。

静まりかえった店内で1人でいると気が滅入ってしまって、無性に君に手紙を書きたくなってしまったんだ。

でも、書き始めると君に伝えたいことが上手くまとまらなくて、書いては破り、読み返してはまた書き直すのを繰り返してます。

百花ちゃんが就職して、クロフネから出て行って、今年でもう3年になるんだね。

俺も歳をとるわけだ。

今でも百花ちゃんがクロフネにいた6年間のことはよく思い出すよ。

あの頃はあいつらもクロフネに入り浸って、みんなでにぎやかに過ごしたものだよね。


冬の思い出だと、大雪が降った日にみんながはしゃいで雪遊びをしてたこととか、クリスマスに俺のためにと言ってみんなでパーティーを開いてくれたこともあったよね。

それから、年越しを百花ちゃんと過ごせるかなぁと思ってたら、「カレと年越ししたいんです」なんて可愛いく言われるしね。

俺、本当は君のことを…。

いや…これ以上は書くとこの手紙も破り捨てないといけなくなるな…。

百花ちゃんの部屋は、今も君が住んでいた頃のままにしてあるよ。

クロフネは百花ちゃんの第二の実家なんだから、いつでも泊りがけで来てくれてもいいんだよ。

あ、もちろん、泊りがけじゃなく、コーヒーを飲みに気軽に来てくれてもいいんだよ。

とにかく、元気な顔を見せてくれると、オジサンとしてはとても嬉しい。

なんだか、とりとめのない手紙になってしまったね。

それでは、仕事は大変だろうけど、無理をしないでね。

                    草々

平成○○年一月四日

                  茶倉譲二


佐々木百花様


P.S 手紙を夜に書くもんじゃないね。感傷的になりすぎる。


冬の夜

2016-01-05 06:44:46 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

茶堂院グループを立て直した譲二さんが、クロフネに戻って来て何ヶ月か経った頃のお話。

☆☆☆☆☆


〈百花〉
パジャマ姿で「おやすみなさい」と譲二さんの部屋に声をかける。

読書をしていたらしい譲二さんは廊下まで出て来てくれた。

私を抱きしめて、耳元で囁く。


譲二「おやすみ…」


その唇は横にずれて、私の唇を塞ぐ。

いつものおやすみのキスより情熱的で、私の息は上がってしまった。


譲二「…ねぇ……今夜は…俺の部屋に…来てよ」


鼻先に、口元に、頬にキスされる合間にそう囁かれた。

それが何を意味するかわかって…恥ずかしさのあまり、私の頬は熱くなる。


譲二「…いい?」


譲二さんに見つめられて私は一生懸命うなづいた。


譲二「寒いから部屋に入ろう」


そう私は促されて、もう譲二さんのなすがままだ。

譲二さんは私をベッドに座らせると、またキスの続きを再開した。

譲二さんの舌が私の舌に絡み、大きな手は私の素肌をなぞっていく。

思わず身悶えると左腕でしっかりと身体を支えてくれる。


唇へのキスは少しずつ喉元へと移っていき、それは胸元への愛撫へと変わっていく。

服を通して譲二さんの体温を感じる。

でもそれはいつしか肌と肌のぬくもりに変わっていた。


百花「じょ、譲二…さ…ん」

譲二「…そんなに硬くならないで…もっと力を抜いてごらん」

百花「でも…」

譲二「愛してるよ…百花」


私は譲二さんの背中に手を回し、しがみついた。

☆☆☆☆☆

〈譲二〉

彼女の甘い吐息をキスで塞ぐ。

愛しくて愛しくて、最後まで優しく抱きたいのに…どうしても彼女を翻弄してしまう。


(ごめんね。)

譲二「大丈夫?」


彼女は気だるそうに微笑んで、うなづいた。

そっと抱きしめて、頬にキスした。

あどけない表情で生あくびをかみ殺している。

それが切なくなるほど愛しい。


譲二「このまま眠ってもいいよ」

百花「譲二さん…腕が…疲れませんか?」

譲二「このくらい大丈夫だよ」

百花「…」

譲二「百花ちゃん?」


彼女の微かな寝息が聞こえた。

朝まで、彼女を抱きしめたまま眠ろう。

離れて暮らしていた頃の不安もまるで嘘のように、今はこんなに安らかな気持ちでいられる。


譲二「愛してるよ、百花」


彼女の寝顔にそっとつぶやいた。


26日のサンタクロース~その3

2015-12-28 08:05:31 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

譲二さんが実家に帰っていた頃のお話。

 

。∠(*゜∇゜*)☆Merry X'mas☆┗*・ェ・*┛

26日のサンタクロース~その3

〈百花〉
譲二さんにもらった薔薇の花束。

一番大きな花瓶にいけて、メインテーブルに飾ってある。

冬の光が窓を通して、真紅の薔薇に柔らかく降り注いでいる。

その花びらをぼんやりと眺めていると、クロフネのチャイムが鳴って男の人の声がした。


???「荷物をお届けにまいりました」

百花「はーい。ちょっと待ってください」


私は急いで引き出しから印鑑を取ると戸口へ急いだ。

扉を後ろ手に閉めた大柄なその人を見て、私は一瞬戸惑った。

さっきまで、会いたいと強く願っていた、愛しい人がそこにいるのだ。


〈譲二〉
俺がいた頃と変わらないクロフネの扉。

ガラス越しに人影が見える。

百花ちゃんだ!

向こう向きに座っているようだ。

いたずら心を出して、宅配便の人のように声をかけた。

そっと後ろ手に扉を閉めて立つ。

百花ちゃんは俺のことを宅配便の人だと信じ込んでいたようで、印鑑を片手に驚いたように目を見開いている。


百花「じょ…譲二さん!!」

譲二「受け取りはハンコじゃなくて、キスしてもらえると嬉しいな」


駆け寄ってきた百花ちゃんを両手で抱きしめる。


百花「どう…して」

譲二「急に仕事がキャンセルになってね。兄貴も休みを取れって言ってくれたから、甘えることにしたんだ」

百花「ほんとに?」

譲二「ああ、だから今日は久しぶりに一緒に過ごせるよ。夜までだけどね」

百花「嬉しいです」


そう言って百花ちゃんは俺の胸に顔を埋めた。


〈百花〉
クリスマスは終わったけれど、譲二さんが私に会いに来てくれた。


譲二「1日遅れだけど、俺からのクリスマスプレゼント、気に入ってくれた?」

百花「はい…」


嬉しくて…涙で譲二さんの顔がよく見えない。


譲二「ちょ…ほら、もう泣かないで」

百花「泣いて…ません…」

譲二「俺の可愛い…嘘つきさん…」


譲二さんはそう言いながら、何度も私に口づけた。

 

。∠(*゜∇゜*)☆Merry X'mas☆┗*・ェ・*┛

26日のサンタクロース おわり