恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

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雪遊び~譲二の場合~その10

2016-01-30 08:17:23 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉恋番外編の雪遊びを読み返して、譲二さんだけに子供の頃の思い出話が無いのが寂しかった。

なので、思い出話+彼目線も書いてみました。

恋カフェにショートの彼目線はあるけどね、もう少し長くってことで。

 


子供時代、他のみんなのは10年前で小学生時代なんだけど、譲二ルートでは譲二さんが中学生ってことで13~15歳くらいの話になる。

ということはヒロインは幼稚園児で12~14年前のことと思われる。

微妙にずれてしまうんだよね。

だから「雪遊び」は10年前の大雪の日ってことで、この思い出では高校生の譲二さんに活躍してもらいます。

だから失恋からも少し立ち直ってるのかな?

☆☆☆☆☆
雪遊び~譲二の場合~その10

 

「俺は百花ちゃんの保護者なんだ」


その言葉を自分に言い聞かせるように唱える。

そうしないと彼女のことを本気で意識してしまいそうだ。


(あの泣き出しそうな顔…小さい頃と同じ顔だったな…)


俺のことを「じーじ」と呼んで懐いていた小さな百花ちゃんのことを思い出す。


(そうだ…保護者というよりも……、百花ちゃんのことは昔から大切に思ってたんだよな)


あの頃は恋愛感情をもってたわけじゃない。

大切な、小さな妹みたいに思ってたんだ。

いや、今だって別に恋愛感情というわけじゃないはずだ。

そう考えるとなぜだか胸が痛んだ。

百花ちゃんに食べさそうとお粥を作っていたけど、先にココアを飲ませてあげようと思い立った。


(身体も温まるし、気分も明るくなるだろう)

(それより…。まず、俺が謝らないとな…)



ノックして百花ちゃんに声をかける。


譲二「入るよ?」


百花ちゃんの返事は少し元気が無い。

俺はマグカップを渡した。


百花「…ココア、ですか?」

譲二「うん。飲んでみて」

百花ちゃんは一口飲んで目を見張った。

「何が入っているか分る?」との問いに頭を少しかしげる。

その様子がまた可愛い。


そして「ラムですか?」と答えた。

前に淹れてあげたのをちゃんと覚えていたみたいだ。

ラム入りココアで和んだ百花ちゃんに「さっきはごめんね」と謝った。

百花ちゃんならちゃんと分かってくれると思ったからきつい言葉も言ったのだと…。


百花ちゃんを慰めようと頭を撫でる。

昔…そうやったように。

百花ちゃんは……俺に撫でられながら涙を流ししゃくりあげる。

内心、焦りながら言った。


譲二「泣かなくていいよ。もう怒らないから」


百花ちゃんの涙をそっと指で掬った。


(百花ちゃんは覚えてないだろうなぁ。俺がじーじだった頃にもこんなふうに頭を撫でて慰めてたこと…)


譲二「さっきは保護者だからって言ったけど…」

譲二「それを抜きにしても、百花ちゃんのことが大切なのは本当だよ」


(俺の大切なお姫さま……)


だけど、今はまだそれを伝えることはできそうにない…。

だから別の言い方をした。


譲二「何か…ほっとけないんだよね」

譲二「もう、無茶しちゃだめだよ」

百花「これからは、無理しないように気をつけます」


百花ちゃんは自分を抑えて無理しがちだから、釘を刺して丁度よかったのかもしれない。

俺はにっこりと微笑んだ。

百花ちゃんにもやっと笑顔が戻った。


譲二「そうだ。お粥を作っていたんだけど、食べられそう?」

百花「…少しだけなら…」

譲二「じゃあ、持ってくるね?」

 

その11へつづく


雪遊び~譲二の場合~その9

2016-01-29 07:32:28 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉恋番外編の雪遊びを読み返して、譲二さんだけに子供の頃の思い出話が無いのが寂しかった。

なので、思い出話+彼目線も書いてみました。

恋カフェにショートの彼目線はあるけどね、もう少し長くってことで。

 


子供時代、他のみんなのは10年前で小学生時代なんだけど、譲二ルートでは譲二さんが中学生ってことで13~15歳くらいの話になる。

ということはヒロインは幼稚園児で12~14年前のことと思われる。

微妙にずれてしまうんだよね。

だから「雪遊び」は10年前の大雪の日ってことで、この思い出では高校生の譲二さんに活躍してもらいます。

だから失恋からも少し立ち直ってるのかな?

☆☆☆☆☆
雪遊び~譲二の場合~その9

 

冷蔵庫の隅にあったスポーツドリンクとコップを持って二階に上がった。



百花ちゃんは眠っていたが、俺の気配に気づいたのか目を開ける。

気分はどうか聞いてみたが、「しばらく眠って随分楽になった」と言ったのでホッとした。

熱を計ると微熱だったが、とりあえずスポーツドリンクを飲ませた。

落ち着いたところで、百花ちゃんが倒れた時のことを説明した。

話しているうちに、あの時の心配な気持ちが蘇ってくる。


譲二「出かける時言った俺の言葉を覚えていたなら、どうしてすぐ戻らなかったの?」


百花ちゃんを責めるようなことは言うまいと思っていたのに、一旦口に出すと止まらない。


譲二「体調が悪いのは自分でも気がついてたでしょ?」


百花ちゃんはシュンとして「ごめんなさい」と謝ってくれた。

別に百花ちゃんを謝らせるつもりで言ったわけじゃないのに…。

できることなら、百花ちゃんのことはいつも守ってあげたい…。

だけど、いくら俺でもいつも守ってあげられるわけじゃない。


譲二「今日はたまたま俺が助けに行けたからいいものの…、いつでも気にかけてあげられるわけじゃないんだよ」


百花ちゃんはまた謝る。

「マスターにも迷惑かけてしまって」と…。


(そうじゃないんだ…。迷惑だからじゃないんだ)

だけど、うまく言い表す言葉は浮かんで来なかった。


譲二「俺は百花ちゃんを預かっている立場なんだからね」

百花「…はい」


今にも泣き出しそうな百花ちゃん。

彼女を責めるような言葉しか言えないことに罪悪感を感じて、俺は黙って部屋を出た。

 

その10へつづく


雪遊び~譲二の場合~その8

2016-01-28 08:03:29 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉恋番外編の雪遊びを読み返して、譲二さんだけに子供の頃の思い出話が無いのが寂しかった。

なので、思い出話+彼目線も書いてみました。

恋カフェにショートの彼目線はあるけどね、もう少し長くってことで。

 


子供時代、他のみんなのは10年前で小学生時代なんだけど、譲二ルートでは譲二さんが中学生ってことで13~15歳くらいの話になる。

ということはヒロインは幼稚園児で12~14年前のことと思われる。

微妙にずれてしまうんだよね。

だから「雪遊び」は10年前の大雪の日ってことで、この思い出では高校生の譲二さんに活躍してもらいます。

だから失恋からも少し立ち直ってるのかな?

☆☆☆☆☆
雪遊び~譲二の場合~その8

 

1階に降りるとみんな口々に声をかけてくる。


一護「百花は大丈夫なのか?」

竜蔵「ジョージ、百花は気がついたのか?」

理人「百花ちゃんはやっぱり風邪なの?」

剛史「マスター、すまない」

春樹「ジョージさん、俺たちが付いていながらごめん」


譲二「百花ちゃんは…熱が出て気分が悪くなったみたいだ。とりあえず今は安静にさせて眠ってる」


それぞれのホーッという溜息が聞こえた。


譲二「ただな…」


一段低い俺の声に、みんながハッとしたようにこちらを注視した。


譲二「百花ちゃんはお前らと違ってか弱い女の子なんだ! 自分たちと同じようにあちこち連れ回すんじゃない!」


自分でも驚くような大声であいつらを叱ってしまった。


譲二「一度戻って来た時だって、百花ちゃんはかなり寒そうにしていたのに、お前らは気にも止めずに連れだしただろう? 」


一人ひとりを睨みつけながら話す。

みんな黙って下を向いている。


譲二「あの子は気を使ってなかなか自分のことは言い出せない子なんだから、それぐらい気づいてやれよ!」


そう叫んでテーブルをドン!と叩く。

みんな、身体をビクッとさせた。


だが、これは八つ当たりだ。

本当はちゃんと気を配れなかった自分に対して一番怒ってるのだ。

朝からいつもより元気が無いことに気が付いていながら…、俺はバカだ。

百花ちゃんに嫌われたくないために、強く止めることが出来なかった。

なぜなら…それは…それは…。

胸に浮かんでくる、その気持を抑えて、あいつらに言う。


譲二「分かったら、お前らももう帰れ…。そろそろ薄暗くなってきてるし、体を冷やしてお前らも風邪を引いちまうぞ」


しょんぼりして口々に謝るあいつらを、無愛想に送り出した。


あいつらのことをこんなに怒鳴ったのは初めてだな……。

今日はもう店を閉めてしまおう…って、既にcloseの札はかけたままだったな…。

やれやれ、何やってんだか…。

 

その9へつづく


雪遊び~譲二の場合~その7

2016-01-27 07:49:24 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉恋番外編の雪遊びを読み返して、譲二さんだけに子供の頃の思い出話が無いのが寂しかった。

なので、思い出話+彼目線も書いてみました。

恋カフェにショートの彼目線はあるけどね、もう少し長くってことで。

 


子供時代、他のみんなのは10年前で小学生時代なんだけど、譲二ルートでは譲二さんが中学生ってことで13~15歳くらいの話になる。

ということはヒロインは幼稚園児で12~14年前のことと思われる。

微妙にずれてしまうんだよね。

だから「雪遊び」は10年前の大雪の日ってことで、この思い出では高校生の譲二さんに活躍してもらいます。

だから失恋からも少し立ち直ってるのかな?

☆☆☆☆☆
雪遊び~譲二の場合~その7

 

濡れてしまっていたコートだけ脱がせて、百花ちゃんをベッドに寝かせる。

意識は朦朧としているようだが、「手を抜いて」とか「足を伸ばして」という俺の言葉には素直に従っている。

痛々しくて…俺の罪悪感はますます募った。

掛け布団をかけてしばらく見守っていると気がついたようで、体を起こしながら不思議そうに呟いた。


百花「ん…部屋……どうやって帰ってきたんだろ…」


今にも転げ落ちそうに思えて、慌てて言った。


譲二「ベッドから出ちゃダメだよ」

百花「え? あ…マスター」

きょとんとした顔で俺を見つめる。

だが、その瞳には徐々に俺への怯えが広がっていく。

ついキツイ言い方をしてしまったことを後悔した。


(ごめんね。百花ちゃんに怒ってるわけじゃないんだ。百花ちゃんを止められなかった自分が許せないだけなんだ)


百花「あの…」

ためらいがちなその声は弱々しくて、またなぜ出かけさせてしまったかと怒りがこみ上げてきた。


自分の気持ちを落ち着けて、出来るだけ優しく話しかけた。


譲二「…まだ熱があるみたいだね。もう少し眠ったほうがいいよ」

百花「は、はい」

譲二「どうしてか、後でちゃんと話してあげるから…今はおやすみ」


百花ちゃんは、またベッドに横たわると目をつぶった。


(なにしてんだ…俺は。身体が辛い彼女を怯えさせるなんて…)


むしゃくしゃした気持ちを持て余しながら、その部屋を後にした。

 

その8へつづく


雪遊び~譲二の場合~その6

2016-01-26 08:09:24 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉恋番外編の雪遊びを読み返して、譲二さんだけに子供の頃の思い出話が無いのが寂しかった。

なので、思い出話+彼目線も書いてみました。

恋カフェにショートの彼目線はあるけどね、もう少し長くってことで。

 


子供時代、他のみんなのは10年前で小学生時代なんだけど、譲二ルートでは譲二さんが中学生ってことで13~15歳くらいの話になる。

ということはヒロインは幼稚園児で12~14年前のことと思われる。

微妙にずれてしまうんだよね。

だから「雪遊び」は10年前の大雪の日ってことで、この思い出では高校生の譲二さんに活躍してもらいます。

だから失恋からも少し立ち直ってるのかな?

☆☆☆☆☆
雪遊び~譲二の場合~その6

 

具合の悪そうな百花ちゃんを探すためにクロフネを出て歩き回った。

いつもの児童公園にはいない。

土手にもあいつらが遊んだらしい形跡はあったが姿は無い…。

思いついて大きな公園の雑木林の方に行ってみると、かまくららしきものと雪像の周りで雪玉を投げ合うあいつらと百花ちゃんの姿が見えた。


(良かった…)


急いで近づいて声をかけようとした時、百花ちゃんの姿が崩れ落ちた。

俺は「百花ちゃん!!」と叫びながら駆け寄った。

その間にも、みんなはただ百花ちゃんの名を呼んでオロオロしている。


雪の上に倒れた百花ちゃんを急いで抱き上げた。


(やっぱり…高い熱がある)


強く止める事ができず、外に送り出した自分の愚かさに唇を噛んだ。

リュウがコートを脱いでくれたので、百花ちゃんをそれで包みクロフネまで抱いて帰った。


みんなは俺の後を無言で付いて来る。



店に入ると俺は「百花ちゃんを寝かせて来るからお前らはここで待っていろ」と言いおいて二階に上がった。

それは自分でも驚くほど冷たい声だった。

いつもは元気なあいつらも、小さな声で「はい」とか「うん」とか言ってそれに従った。

 

その7へつづく