恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

小説を検索しやすくするためインデックスを作りました

インデックス 茶倉譲二ルート…茶倉譲二の小説の検索用インデックス。

インデックス ハルルートの譲二…ハルくんルートの茶倉譲二の小説の検索のためのインデックス。

手書きイラスト インデックス…自分で描いた乙女ゲームキャラのイラスト記事


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雌伏~譲二さん大学時代

2014-06-02 12:10:43 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉祥寺恋色デイズ、茶倉譲二が大学生時代の妄想小説です。
 ゲーム上にはない話です。ゲーム上で語られる思い出話をかき集め、色々妄想した結果のお話です。
 原作にはないキャラも登場します。が、ヒロインは出てきません。(*⌒∇⌒*)

☆☆☆☆☆
茶倉譲二プロフィール 喫茶クロフネのマスター
身長:183cm 体重:70kg
血液型:O型 特技:歴史語り


 特徴:歴史オタク
ヒロインの初恋の人。公園でサンドイッチをもらったり、抱っこしてもらったりしてた。

 この話の頃の譲二さんは20歳、W大学2年。たぶん経済学部。サークルは歴史学研究会に所属。
☆☆☆☆☆

しふく【雌伏】


力を養いながら,自分の活躍する機会をじっと待つこと。


『大辞林 第三版より



☆☆☆☆☆

雌伏その1

 珍しく明里から携帯に着信があったので、かけ直してみる。



明里「ああ、譲二。ちょうどよかったわ。私、この連休中、貴志と旅行に行くことになってね。」


 な~んだ、のろけ話か。

 

明里は一応俺の婚約者。

貴志というのはおれの小学校時代からの親友で、明里の恋人だ。

 


明里「それで泊りがけなので、親への言い訳に譲二と旅行するって言っちゃったのよ。」


譲二「なんでそんなこと言うんだよ。」


明里「あら、だって譲二となら婚約者だってことで、大目に見てもらえるのよ。」


譲二「旅行なら女友達と行くということにすればいいだろ。」


明里「だって、私、女の子同士で旅行に行くほど仲の良い子なんていないでしょ? 譲二の方がリアリティがあるもの。」


譲二「リアリティってなんだよ。」


明里「だから親からわざわざ電話はかかってこないと思うけど、なんかあったら口裏あわせといてね。」



 全然聞いてねー。


明里「金沢の方とかもまわるから、前田利家のキーホルダーとか見つけたら買って来てあげるから。お願い♡」


譲二「キーホルダーだけでなく、ミニチュアの兜も欲しい。すごく尖った特徴のあるやつだぞ。」


 とうとう土産につられて承知してしまった…。


 携帯を切って、大きなため息をついた。

 

明里に完璧に振られてもう何年も経つが、相変わらずパシリなのはかわらないな。


 俺は明里のことがまだ好きなんだろうか?


 自分の心の中をさぐってみる。


 …いや、もう吹っ切れて何とも思ってはいない…はずだ。


 断言できないのが、情けない。

 


 高校の時も、大学生になってからも、彼女らしきものはいるにはいた。

キスだってしたし、最後までいった子もいる。


 でも、結局長続きしなかったのは、本当に好きになったからではなくて、明里を忘れるための代用品にしてしまっていたからかもしれない。


 彼女がいたときでさえ、こんな風に明里から頼まれごとをするといそいそと従ってしまうのだから…。


 好きなアーティストのチケットが欲しいから2人分(もちろん明里と貴志の)並んでとっておいてくれとか…。

貴志と喧嘩したときの愚痴とか。

(といっても、真剣に相談に乗ってもすぐ仲直りするんだな、これが…)

講義の代返はさすがに「無理!」と断ったけど…。


 またため息が出る。



譲二「なにしてるんだろうな、俺。」



☆☆☆☆☆

 ゲームでは、明里さんは高校卒業後すぐに海外へ留学していたことになってますが、このお話では話の進行をちょっと手伝ってもらうために1年半ほど譲二さんと同じ大学に通ってもらっています。


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雌伏その2

 午後の講義が休講だったので、喫茶『黒船』に顔を出した。



マスター「あ、譲二君いらっしゃい。前に話してた小説の新刊が出たから、買ってあるよ。」


 いつも暇な『黒船』にしてはめずらしく、3、4組の客が入っていて、マスターは忙しそうだ。



譲二「あっ、俺手伝いますよ。厨房に入っていいですか?」



マスター「悪いねぇ。じゃあお言葉に甘えて…、セッティングしてあるからアイスティとカフェラテを作ってくれる? 私はサンドイッチをしあげてしまうから。」



 厨房に入って手を洗った俺は、手慣れた手つきで溜まっていたオーダーをこなしていく。

 


 やっとひと段落ついて、お客さんも少なくなると、マスターは俺のためにブレンドコーヒーを注いだカップをカウンターに置いてくれた。


マスター「譲二君、後は私がやるからこっちへ来て休んでよ。本当に譲二君にはバイト代出さないといけないな。いつも手伝ってもらって。」



 マスターは初めて会った時より白髪が増えていたが、優しい瞳を銀縁眼鏡の中からのぞかせているのはあの頃と同じだ。



譲二「そんな、いつも俺が勝手に手伝っているだけですから。それにマスターには色々おごってもらっているじゃないですか。」


 マスターはニコニコしながら言葉を続けた。


マスター「本当に月日の経つのは早いねぇ。譲二君がボディーガードに追われて、うちに逃げ込んで来た時にはびっくりしたけど。それがこんなに立派な男になっちゃうんだものね。」


譲二「あの時マスターには『君はお尋ね者なのかね』なんて言われましたね。俺は尖ってたからろくに返事もしませんでしたけど…。」


 マスターの美味しいコーヒーを味わいながら、つぶやいた。



譲二「あの時、ブラックをお代わりまでしたけど、それまでほとんど飲んだことがなくて、結構もてあましていたんですよ。」



マスター「えっ、そうだったの? ぐいぐい飲んでいるから、てっきり好物なんだと思って、お代わりもなみなみと注いじゃったね。」


譲二「でも、『黒船』で出されたコーヒーを無理して飲んでいるうちに、コーヒー好きになってしまいましたよ。それと、あの時のサンドイッチもすごく美味しかったなぁ。」


マスター「今では、サンドイッチもナポリタンも私の作ったのと遜色ないくらいのものが作れるようになったね。譲二君にならこの店を十分まかせられる。」


譲二「それなら、半日くらい俺に店を任せて、休みをとってくださいよ。歴史博物館巡りとかもゆっくりできますよ。」


マスター「そうだね。それはいい考えかもしれないね。」

 


マスターは顔をしわだらけにして笑った。

 

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雌伏その3

 歴史学研究会の部室を覗いてみる。

今日はみんな忙しいのか閑散としていた。

 

隅の方で何かを熱心に読んでいた女子学生が顔をあげた。



未希「あ、茶倉先輩。」

譲二「あれ、今日は小川だけなの?」


 小川未希は1年生。

野郎ばかりの歴学研では貴重な女性だ。

後は3年生に2人と4年生に1人しか女子はいない。


未希とはあまり話したことはなかったが、今日は気さくに話しかけて来るので、歴史の話で盛り上がった。



 そのうちに昨日から始まった歴史展の話題になり、これから一緒に行ってみようということになった。


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博物館を出た後、そのまま帰るのも憚られて、近くのカフェに誘った。



未希「茶倉先輩って、実はお金持ちなんだそうですね。」

譲二「誰がそんなこといったの?」

未希「米田先輩とか、岸本さんとか。」

譲二「…あいつら。」


それぞれの高校時代の話題で話が弾み、長居をしてしまった。

☆☆☆☆☆

雌伏その4

 店を出ると辺りは薄暗くなっていた。


 未希はそっと腕を組んでくる。

 

それがあまりに自然だったので、俺はそのままにしておいた。

 

しばらく歩きながら歴学研での話をしていたが、人気が途絶えた路地にさしかかると、話題もつきてしまい、しばらく無言で歩いた。


未希「茶倉先輩は彼女がいらっしゃるんですか?」



 突然の未希の言葉に俺は驚いて立ち止まり、彼女を見つめた。

 

上目遣いにじっと見つめる目が潤んでいる。


譲二「彼女がいるように見える?」


 未希は目をふせるとつぶやいた。

 


未希「だって、先輩って背が高くてとってもカッコいいし…、もてるんでしょう?」



 明里のことを思い出して、自嘲気味に笑った。

 


譲二「そんなことないよ。俺は振られてばっかり。」


未希「私だったら…、茶倉先輩と恋人になったら、ずっと離さないのに。」



 その言葉に驚いた俺の胸に、未希は顔を埋めてしがみつく。


 俺は彼女の背中を優しくたたいた。

そして、しがみついた未希を優しく引き離し、あごを持って顔を上げさせる。


 潤んだ瞳が俺を誘っているように見える。

 

そのまま唇にキスをするとビクンと体を震わせたが、逃げようとはしないので、腕で軽く抱きしめて舌を入れて行く。

既に経験者なのか、俺の舌の動きに合わせて舌を絡ませてくる。

 


(やべぇ、なんかやりたくなって来た。)



 濃厚なキスを長々とした後、もう一度彼女を抱きしめて、もう一度頭を俺の胸にうずめさせる。


(さて、これからどうしたものか…。)



 未希のことは今まで歴学研のただの先輩後輩で特に意識してきたことはなかった。

しかし、このまま別れても、今の俺の欲望のままにどこかに連れ込んだとしても、彼女は俺のことを恋人になったと認識することだろう。


 彼女を恋人として考えられるだろうか?


 今の俺はフリーなのだし、未希を彼女にしてしまっても何ら問題はない…。

 

しかし…。

 


 まあ……とにかく今日はこれくらいにして、1人になって頭を冷やそう。



譲二「さあ、そろそろ帰ろう。家はどこなの?」


未希「キャンパスの近くのT町のアパートに下宿してます。…外階段もついているので男性が来ても誰にも気付かれません…。」



 俺はこんな時間に女の子を1人で帰すわけにはいかないので、家まで送ろうと聞いてみたのだが、未希は明らかにそれ以上のことを期待しているようだ。


 『据え膳喰わぬは男の恥』『送り狼』俺の頭の中にそんな言葉が次々と浮かんで来た。

 

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アメブロで不適切とされて記事が非公開にされた時に、削除した部分をオリジナルに戻してあります。


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雌伏その5

未希「お茶でも入れますから、中に入ってください。」



 未希の部屋は質素だが、女の子らしい色合いでまとめられている。


 未希に誘われるまま、部屋に入ってしまう。



(何期待してんだ俺。)



 恋愛感情もないのに悪いなと思いつつ、さっきのキスで付けられた怪しい火が俺の体の中で燃え続けている。


 彼女が入れてくれた紅茶を飲みながら、歴学研のメンバーのことや今度研究会で出かける小旅行の話題を話した。


 当たり障りのない話題でフェードアウトしようと思いつつ、いとまごいのきっかけがつかめない。



未希「先輩、お腹すいてませんか? 何か作りましょうか?」


譲二「いや、悪いからそろそろ帰るよ。」



 紅茶のカップを片付けようとして彼女の手に触れてしまう。


 俺はまた自分が抑えられなくなって、その手をとって未希を引き寄せた。


 キスをして舌を入れる。

2人の舌が絡み合って、なかなかキスをやめられない。

キスをしながら服の上から彼女の胸や腰を愛撫する。

 

少し体を固くしたものの抵抗はなかったので、そのまま床に押し倒し、キスと愛撫を続けた。


 俺の頭の中で(このままやってしまえ)という気持ちがムクムクとわき上がって来た。


 ブラウスのボタンを一つ外し、手を入れる。

下着越しに未希の乳房をもみしだく。


 やはり抵抗はなく、俺の背中に腕を回して来たので、さらにブラの中にまで手を入れた。

 

 親指と人差し指で未希の乳首をつまんで刺激すると、彼女は体をビクンとさせて俺の舌を吸って来た。

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雌伏その6

 お互いに愛撫を繰り返しながら、服を脱ぎ捨てて行った。

俺は彼女をそっと抱き上げると女の子らしい柄のベッドに降ろした。


 未希は潤んだ瞳で俺を見上げる。



未希「茶倉…先輩…」

譲二「このまま小川を抱いてもいいの?」

未希「私、ずっと前から茶倉先輩のことが好きだったの。歴学研に入ったのもサークル紹介で茶倉先輩と話をして、この人の側にいたいと思ったから…」

譲二「小川」



 未希の上に覆いかぶさり長いキスをする。

 温かい肌同士を擦り合わせながら、未希の乳房を弄ぶ。

 うなじから胸に舌を這わせて行くと、未希は喘ぎ声をあげ始めた。



未希「…ん…ああ…」


 その声を聞くと俺はたまらなくなって、未希の大事なところに指を這わせた。

 そこは既にじっとりと濡れていて、俺を待っていた。

 彼女の熱い部分に指を入れて奥をそっとかき混ぜる。


 未希は淫らな声を上げながら、俺の指の動きに合わせて腰を動かした。

 俺は夢中になって未希の乳首を舌で転がし吸い付く…。

 と、未希は俺の固くなったものを手で優しく握りさすってくれる。


 未希はとても積極的で、俺はその気持ちよさに頭が麻痺しそうになりながらも、(この子は経験豊富なんだ)と思った。


 そっと体を離して彼女の顔を覗き込んだ。



譲二「もう小川の中に入ってもいい?」



未希は頷きながら、甘えるように言う。


未希「未希って呼んで。」


譲二「未希」



 未希は今までに経験したどの女の子よりも気持ちがよかった。



俺は今にもいきそうになるのを我慢するため、日本史の年表を思い浮かべて、頭の中で年号を唱えた。


 それでも、我慢の限界を迎えて俺がいきそうになると、未希はすすり泣くような甘い声を上げて俺と一緒に果てた。


 生まれて初めての快感に、呆然として荒い息を吐いている俺に未希は軽くキスをして頭をそっとなでてくれた。


 俺は少し笑った。



譲二「なんだか、男女反対みたいだな。」


未希「私、茶倉先輩とこんな風になれて嬉しい。」



 今度は俺からキスをすると、未希は体を密着させて俺の背中や腰を愛撫してくれる。

 その夜、未希に導かれるまま、俺は何度も彼女を抱いた。

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雌伏その7

 それから3ヶ月ほどの間、俺は未希と毎日のように交わった。


 講義の合間や講義が終わった後、未希の下宿を尋ねては彼女を抱いた。


 未希のことが好きになったというより、彼女との行為に夢中になっていたのだ。


 未希は優しく俺にいろんなことを教えてくれた。

どうすればお互いに気持ちよくなれるかや女の子はどんな風にすると悦ぶか、どんな風に愛撫すればいいか…。


 俺は未希に翻弄され、未希の思うがままに彼女を抱いた。


 あまりに未希に夢中で、『黒船』に行く回数もめっきり減ってしまった。

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 ある時、ピタッと未希とは連絡が取れなくなった。


 単なる偶然かなと思ったが、どうも着信拒否にされていたようだ。


 キャンパスですれ違うことがあっても、未希は軽く会釈して女友達とおしゃべりしながら去ってしまう。


 歴学研の部室ではいつも大勢の中にいて、どうしても2人きりになることはできなかった。


 そういえば歴学研のみんなには2人が付き合っているという宣言はしていなかったのだった。

☆☆☆☆☆


 そんなある日の事、キャンパス内で明里に呼び止められた。



明里「譲二、いま暇? よかったらカフェテラスでコーヒーでも飲まない?」



 確かに暇ではあった。


 また明里のわがままで何かパシリをさせられるのか、やれやれと思いながらも、結局ついて行った。

☆☆☆☆☆

雌伏その8

明里「ねぇ、譲二が1年の小川未希って子と付き合っているって、本当?」

 


 明里は相変わらず直球だ。



譲二「付き合っているというか…、今は嫌われているみたいだけどね。」

明里「そう。やっぱりね…。譲二、あなたあの子に弄ばれてたみたいよ。」

譲二「えっ…」

明里「あの子、知っている人には結構有名みたいでね。」

 

明里「高校生の頃からそんなだったらしいんだけど、ちょっと好みの男の子を見つけると相手から誘うようにしむけて、体の関係になるらしいわ。譲二もそうなんでしょ。」


譲二「ちょっ! 幼馴染とは言え、男に対してそういう質問するか。」



 明里は俺をじっと見つめてため息をついた。



明里「譲二まで引っかかるなんてね。」

譲二「引っかかるってどういうことだよ。」

明里「あのね。あの子はそんな風に男の人を誘惑しては、次々と手玉に取って捨てて行くらしいの。」


 俺は軽いショックを受けながらもポツリとつぶやいた。



譲二「まるで明里みたいだな…。」

明里「私がいつ手玉にとったのよ。私は貴志一筋よ。」



 明里の剣幕に押されて、『俺を手玉に取ってるじゃねーか』とは口にできなかった。



 明里によると歴学研の男の中には俺以外にも未希の毒牙(笑)にかかった奴が何人もいるらしい。


 俺と付き合っている間にも未希は何人かと並行して付き合っていた…らしいことも知って、またショックを受けた。



明里「まあ、手が切れたんならよかったじゃない。」



 明里は明るく言うと、俺の肩をポンと叩くと


「コーヒーごちそうさま~。」と去って行った。


 チャイムがなったが、次の講義には出る気がしない。


 長いため息をついた。未希自身に夢中になっていたわけではないが、大の男が遊ばれたというのはやはり傷つく。


 これだけ胸が痛むのは、明里に振られて以来だな…。


 昔、明里に振られた時は、ずぶ濡れになって落ち込んでいたっけ。


 あの時、俺を慰めてくれた、小さな百花ちゃんとその母親の良子さんのことを思い浮かべた。

 


(良子さん…。俺のことを一番好きになってくれる女の子なんて、本当に現れるんですかね。)


『雌伏』おわり

雄飛~譲二さん大学時代へつづく

☆☆☆☆☆
 譲二さんは女性のあしらいはそれなりにできそうなのに、恋愛に関しては少し不器用な感じがする。


 それはもちろん、明里さんに手ひどく振られたせいではあるのだけど。

それだけでは弱いかなと思った。


 譲二さんにとってはかなりキツい話になりました。


 が、後にヒロインがセックスする相手として、吉恋では譲二さんのみ経験者(のはず)なわけで、一応それなりに巧いという理由づけとして、未希という女性に登場してもらいました。


 明里さんに振られたのは中学生の頃ですから、この役を明里さんにふるわけにはいきませんからね。



失恋~譲二さん少年時代

2014-06-02 12:06:03 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉祥寺恋色デイズ、茶倉譲二の少年時代の妄想小説です。
 ネタバレありです。

☆☆☆☆☆
茶倉譲二プロフィール 喫茶クロフネのマスター
身長:183cm 体重:70kg
血液型:O型 特技:歴史語り
 特徴:歴史オタク
ヒロインの初恋の人。公園でサンドイッチをもらったり、抱っこしてもらったりしてた。

 この話の頃の譲二さんは14歳の中学2年生。反抗期でちょっと尖ってる。
☆☆☆☆☆

失恋その1

 朝早く学校に着いた。

誰もいないことを確認してから、明里の靴箱に小さな包みを置く。


 1週間に一回くらいの小さな贈り物。

それは中学に入ってからの習慣のようになっていた。


 その時々で包みには小さなチョコだのクッキーだの、可愛らしい千代紙の人形だの小さなぬいぐるみのキーホルダーだの、女の子が喜びそうなもの(俺のイメージで)を入れていた。

 


 友人たちの前では「あんな女なんか嫌いだ。」と強がっていたが、ひそかに明里に好かれたいと望んでいた。


 そして明里に理不尽な命令をされると渋々…いや、いそいそと従っていた。

 


 明里は親同士が勝手に決めた許嫁だ。

五歳の頃に初めて引き合わされた時、そのあまりの可愛さに俺は一目で恋に落ちた。


 しかし、明里は俺を見た途端、その可愛い顔を真っ赤にして蹴りを入れてきた。



明里「こんなやつ、あたしは絶対に認めないから!」

と。



 それまで、人に嫌われるという経験のなかった俺にはショックな出来事だった。

そして、それから会うたびに明里は俺を顎で使った。



 明里はこの頃、貴志とよく楽しそうにしている。

貴志は小学校時代からの俺の親友だ。

小学生の頃からいつも俺と行動をともにしていた。


 そのためか…、明里とも話をするようになり…、ここ最近は俺といるより明里といる方が多い気がする。

俺の気のせいだろうか?


 貴志はおっとりした気のいいやつで、俺に対してはいつもつんけんしている明里も貴志に対しては、まるで別人のように優しく接している。

 

その対応の差に俺は唖然としたものだ。


 その日も明里は貴志と楽しそうに話していたが、ちょうど先生から貴志に「職員室に来るよう言ってくれ」という言付けを頼まれたので、これ幸いと伝えた。

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失恋その2

 貴志が去り、やっと明里と2人っきりになって、見つめ合う。


 俺の心の中にもしかしたら、という気持ちが芽生えた。

 

胸が激しく高鳴った。



譲二「…明里。お前、貴志に何を言われてるか知らないけど…、俺はお前のことを一番わかっているから…。」


明里「どうして、そんなこと言えるの?」


譲二「…俺、俺は明里の側にいつもいるから…。今だって婚約者なんだし。明里が俺の方を向いてさえくれたら…、俺はいつも明里のことが…す、好きだ。」


 どもりながら、やっと言えた。


明里「譲二はいつも二言目には婚約者というけど。私が譲二の婚約者だっていうところからは離れられないの?」

明里「まるで私が譲二の持ち物みたいじゃない。譲二のそういう態度が嫌いなのよ、私。」


譲二「貴志と…付き合ってんのか…?」


明里「そうよ。この間、やっと貴志君も私のことを好きだって言ってくれたわ。」


譲二「…」


明里「あなたが私の気を惹こうとして、いろんなものを靴箱に入れているのは知っているのよ。」


明里「そんなことをしたって無駄なんだから。譲二を好きになることなんて、絶対ないわ。」


明里「たとえ貴志君と別れることがあっても、譲二だけは好きになんかならないわ。ありえないわ。」



 明里は吐き捨てるように言い放った。

 それまで、明里が誰を好きになろうと、誰と付き合おうと、最後には一番付き合いの長い俺のところに戻ってきてくれるだろうという根拠のない淡い期待を俺は持ち続けていた。


 それが明里のその言葉で粉々に打ち砕かれた。

 

そして、俺の心のどこかで何かがカチリと小さな音をたてて壊れた。

 



 その後、俺は明里の前でどんなことを言ったのかよく覚えていない。


 多分「俺だってお前を好きになったりなんかしねぇよ。」というような捨て台詞でも吐いたのだろう。


 とにかくその後はこっそり学校を抜け出して、その日の午後の授業はさぼってしまった。

☆☆☆☆☆

失恋その3

 朝からの曇り空はますますどんよりして、俺の心の中のようだった。



 目に涙は浮かばなかった。

カラカラに乾いたままだった。

 

大の男が、女の子にふられたくらいで涙を流すようなみっともないまねをしないですんで、俺は天に感謝した。


 しかし、明里の言葉で傷ついた俺の心の裂け目からは、涙が止めどなく溢れていた。

いや、それは涙ではなく血潮というべきだったのかもしれない。

 


 俺はぼんやりと吉祥寺の町をただただ彷徨っていた。


 黒船に行ってマスターに慰めてもらいたいと思ったが、マスターに優しい言葉をかけられたら泣いてしまいそうで、そんな女々しい姿は見られたくないとも思った。


 結局、百花ちゃんにいつも出会う小さな公園のベンチに座り込んで…、そのまま何をする気力もなく佇んでいた。


 どんよりとした空からついにポツリポツリと雨が降り出した。

 

俺は何もかもがどうでもよくなって、そのまま雨に濡れていた。



☆☆☆☆☆

え~、ゲームでは朝から雨が降ってたことになってた。
でも、妄想上では譲二君の心象とリンクさせる意味で昼までは曇り空にしました。

☆☆☆☆☆

失恋その4

 楽しそうな話し声と水たまりをはねる音がして、小さな女の子を連れた女の人が現れた。


 その女の子は「じーじ、じーじだ。」と叫びながらこっちへかけてくる。

 

それが百花ちゃんとお母さんだということに俺は初めて気付いた。



 百花ちゃんのお母さん、良子さんは百花ちゃんによく似た大きな目をした優しそうな女の人だった。


 戸惑う良子さんに百花ちゃんは「じーじだよ。いつもサンドイッチを食べさせてくれるじーじだよ。」と俺を紹介した。



  良子さんはずぶ濡れになった俺を心配して家に来るように誘ってくれた。

俺は断ったが2人に引きずられるようにして連れて行かれた。

百花ちゃんは大好きな じーじを母親に見せびらかせるのが嬉しいのか、いつにも増してはしゃいでいた。

 

余裕のない俺は、そんな百花ちゃんを鬱陶しく思い、邪険に扱っては後悔し た。


 しかし、百花ちゃんはそんな俺と手をつなぎたがった。

 


 百花ちゃんの家で、服が乾く間着替えを出してもらった。

百花ちゃんはタオルを取って来て俺を拭いてくれる。


 どんなに落ち込んで悲しくても、腹が減るのはどうしようもない。

 

昼飯を食べていない俺の腹の虫が鳴いた。

それを聞きつけて、百花ちゃんは良子さんに言いつける。



百花「おかーさん、じーじお腹がすいたって。」



 お腹をすかせた俺に2人はおにぎりを作ってくれた。

 

百花ちゃんのは、おにぎりっていうより、ぐちゃぐちゃだ。

でも、それを言うと泣き出すので、機嫌をとってそちらを食べた。


良子「百花は、本当にじーじくんが好きなのね。」


百花「うん、じーじだーいすき。」



 百花ちゃんの天真爛漫なその言葉を聞いて、また胸がうずいてきた。

とうとう目からも涙が込み上げてくる。



良子「譲二くん?」


百花「じーじは、どうして泣いてるの?お腹が痛いの?」


譲二「違うっ…」


百花「じゃあ、どうして?」



 良子さんは優しく聞いてくれた。



良子「…お家で、なにかあったの?」



 俺は首を横に振る。



良子「じゃあ…もしかして、失恋でもしちゃったのかな?」


 心の中を言い当てられて、俺の目からは涙がぼたぼたとこぼれ落ちた。

俺はしゃくりあげながら答えた。話し始めると止まらなくなった。



譲二「べつに…失恋なんてしてねーし…っ。アイツのことなんか…全然好きじゃねーし…」


良子「…」


譲二「アイツが、俺のダチのこと好きだって…はじめから知ってたし…」


良子「そう…」


百花「おかーさん、しつれんってなーに?」


良子「うーん、そうね…。『大好き』って気持ちを受け取ってもらえなくて、心が壊れちゃうことかな。」


百花「こころ?」


良子「そう。心が痛い痛いってなるの」


百花「じゃあ、じーじは心がイタイのね。」



 百花ちゃんはしゃくりあげている俺の左胸に手をあてた。


百花「イタイのイタイの、とんでけー」


譲二「…」


百花「とんでけー」


譲二「バ…バカじゃねーの…っ!?」



 粋がっていったものの、俺の目から溢れる涙は止めようもない。

☆☆☆☆☆

失恋その5

百花「ダメだよー、じーじ、いい子だから泣かないのー。」



 百花ちゃんは俺の顔を心配そうに覗き込んだ。



百花「じーじ、男の子でしょー」


良子「いいのよ、百花。男の子も、たまに泣きたい時があるんだから。」



 良子さんは俺にハンカチを渡してくれた。



良子「大丈夫よ。いつか譲二君のことが一番大好きっていう女の子が現れるから」


譲二「…」

 


 そんなことあるわけない。

 



良子「きっと、大丈夫よ」

 


 言い聞かせるように、良子さんは優しく繰り返した。

 



 その日、少し落ち着いた俺と良子さんはメール交換をした。


 その時から、悲しかったり、悔しかったりする度に良子さんに相談した。

ちょっとした嬉しい出来事なんかも報告すると、良子さんは自分のことのように喜んでくれた。

 


 それは百花ちゃん一家が引っ越しで、この町を離れてからもずっと続いた。


 家族の中で疎外感を感じていた俺が、道を踏み外すこともなく成長できたのは、黒船のマスターと良子さんのお陰だったかもしれない。

 



 今でも、あの日と同じ細い雨のふる日は、俺の心の古傷がじくじくと痛む。

 


 しかし、同時に心にほっこりした温かさも灯る。あの日の雨は、俺の心を今でも温かく濡らしているのだ。


失恋終わり

茶倉譲二少年時代~別れへ


☆☆☆☆☆

 この話の続きは譲二さんの大学時代の妄想になります。

大学時代はゲームの中では全く出て来ないので、私の勝手な妄想になって行きます。


 オリジナルのキャラも登場します。


  譲二さんの少年時代の妄想は一休みです。


 ただ、オリジナルで一つ考えたものがあるので、大学時代の話が終わったらまたupします。




疾雷(しつらい)~譲二さん少年時代

2014-06-02 12:03:18 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉祥寺恋色デイズ、茶倉譲二の少年時代の妄想小説です。
 ネタバレありです。

☆☆☆☆☆
茶倉譲二プロフィール 喫茶クロフネのマスター
身長:183cm 体重:70kg
血液型:O型 特技:歴史語り



 特徴:歴史オタク
ヒロインの初恋の人。公園でサンドイッチをもらったり、抱っこしてもらったりしてた。

 この話の頃の譲二さんは14歳の中学2年生。反抗期でちょっと尖ってる。
☆☆☆☆☆
【疾雷】 しつ‐らい 

急に激しく鳴り響く雷。迅雷

『デジタル大辞泉』より

☆☆☆☆☆

疾雷その1


 ある日、家に帰るなりじいさんに呼び出された。


 じいさんとは俺の祖父で茶堂院グループの会長、茶倉緑太郎だ。

なかなか気難しいじいさんで、俺は少し苦手だ。

それでも兄貴に言わせるとじいさんは俺をとても可愛がっているらしい。



緑太郎「譲二! この頃、塾や習い事をさぼって、どこかに行っているそうだな」

(やべぇ…)


譲二「…」


緑太郎「一体、どこに行っているんだ?」


譲二「…」

 

(じいさんに黒船のことを知られたら、もう絶対行くなって命令されるからな…)


緑太郎「言えないようなところか? お前も後数年すれば立派な男だ。」

 

緑太郎「茶堂院グループを支えるメンバーになってもらわねばならん。」

 

(そんなこと、昔から言い聞かされてとっくに知ってるよ!)

 

緑太郎「その歳からフラフラ遊び回っているようでは、先が思いやられる。」

 

(俺はそんなに遊び回る暇なんかねぇよ! )

 

(習い事や塾で予定はギッチリじゃねえか!)



 俺が黙って、一生懸命耐えていると、ひとしきり、じいさんは言いたいことを言って解放してくれた。



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☆☆☆☆☆

疾雷その2


 数日後、黒船に行った時、じいさんに言われたことをぼんやり考えていた。


 何も注文しなくても、マスターはコーヒーをブラックで出してくれた。


マスター「譲二君、どうしたんだい? 今日はなんだか元気がないね。」


譲二「…俺、家の連中に黙ってここへ来てるけど…こないだ、じい…祖父に『どこに行ってるんだ』と責められたんだ。」


マスター「そうなんだ」


譲二「その時、俺は本当のことが言えなかった。別に悪いことをしているわけじゃないけど…、黒船のことがバレたら、もうここへは来ては行けないと禁止されるような気がして…」


マスター「お祖父さんは…ここへ来ている理由を知ったら、禁止するような人なのかい?」


譲二「…わからない。でも、塾なんかをさぼって来てるから、『来るな』とは言われそううだ。」


マスター「塾をさぼってたんだ?」


譲二「毎日毎日、習い事に追われて、息抜きがしたかったんだ。」


マスター「君がさぼっても、塾や習い事の月謝は払い続けているんだろ?」


譲二「はい…」


マスター「それなら、思い切って『習い事をやめたい』と相談してみたらどうだろう?」


譲二「それができればいいけど」


マスター「直ぐには認められないかもしれないけど、ご家族と話し合って、一生懸命に自分の気持ちを伝えたら、分かってもらえるんじゃないかな?」


譲二「…」


マスター「話し合うことをせずに、お互いすれ違いし続けたら、家族といえども、バラバラになってしまうよ。」


 マスターのその言葉はまるで自分に言い聞かせているようだった。

そして、なんだか寂しそうだった。

 

☆☆☆☆☆

疾雷その3


 遠くで雷がなっている。

 

黒船のマスターは「雨が降るかもしれないから」と傘を持っていくように言ってくれたが、俺はそのまま黒船を後にした。


 黒船をでて、2、3分も立たないうちにポツポツと雨が降り始め、タコ公園に着く頃には大粒の雨が降り出していた。


 タコの滑り台の中で何かの鳴き声がする。


(子猫かな?)


 最近、子連れの野良猫がこの公園にも出没していて、時々ツナサンドの切れっ端をやって、手なずけていたのだ。


 雨宿りもかねて滑り台の中に潜り込んだ。



百花「ひっく…、ひっく…」


百花「おとーさーん…おかーさーん…」


百花「ひっく…」


⁇?「んだよ。うるせーなー…」


百花「!」


譲二「…なんだ。またおまえか」


百花「じーじ!」


譲二「…んったく。捨てねこかなにかかと思ってたら、猫よりも面倒くせいじゃーねーかよ」


百花「じーじ…じーじ…、うぁぁぁぁぁぁぁん」


百花ちゃんが抱きついてくる。



譲二「ちょ…、まじかよ」


譲二「ああ、もういちいち泣いてんじゃねーよ!」


百花「じーじぃ…、じーじぃ…」


譲二「ったく、しょうがねーな…」



 百花ちゃんをよしよしとしながら、なんでこんなに俺に懐くんだろうと思った。

☆☆☆☆☆

疾雷その4


譲二「で、そのハル君がどうしたって?」



 俺はちびの泣いたわけを真面目腐って聞かされている。



百花「ハル君がね、ここに隠れているといいよって教えてくれたの」


譲二「うん」


百花「そしたら、リュウ兄が『どこだー』って探しに来てね」


譲二「…うん」


百花「うんでね、あたしはここで『しーっ』ってしてたんだけどねー」

 


 (全然話がみえねー)


譲二「ああもう、ややこしい!オチはどこだよ、オチは!」


百花「おち、おちってなーに?」


譲二「…なんでもねー」


譲二「んで、そのハル君?」


百花「ハル君でなくて、リュウ兄!」


譲二「ハイハイ、んで、そのリュウ兄がどうしたんだよ。」


百花「リュウ兄がね、『どこだー』って言うからね」


譲二「おう」


百花「…フフッ」


譲二「?」

 


(なんだよ?)



百花「あのね、リュウ兄の家はね、野菜いっぱい売ってるんだよ。」


譲二「はぁっ?」


百花「トマトとね、にんじんね、たまねぎとね…」


百花「…でも、たまねぎは嫌いなの。おめめがね、ちくちくするから…」


譲二「話の内容変わってるじゃねえかよ…」


(もう、付き合いきれねーな)


 俺はため息をついた。

 

(こいつの話をマジメに聞いた俺がバカだった…)



百花「?」


百花「じーじ、どうかしたの?」


譲二「なんでもねーよ」


(このちびの相手はまともにしてもしょうがねーな)

☆☆☆☆☆

疾雷その5


ゴロゴロゴロ。

 

また雷鳴が聞こえている。



百花「ふぁっ!」



ピカッ



百花「!!!」


譲二「すげー光ってんな…」

 

タコの滑り台の中にいても閃光が入ってくる。

 

雨もひどくなってきたし…。


(やっぱりタコん中入って正解だったな。)



百花「ひ…っく…」


譲二「は⁈」


 ちび、もしかして引きつってる?



百花「こ…怖…っ」


譲二「雷?」


百花「うわあああああん‼︎」


譲二「おい、こら、泣くな!」


譲二「くそっ!」


譲二「ああ…もうしょうがねーな…」


譲二「ほら、耳塞いでやるから。これでいいだろ。」


百花「うん…」



ピカッ!



百花「!」


譲二「…光るのもだめなのかよ。ったく…」



 ちびの体を抱き抱え俺の胸に、顔を埋めさせた。



譲二「しばらく、しがみついてろよ。」


譲二「これなら、ピカッてなるのも、見えねーだろ?」


百花「うん…」


 百花ちゃんは俺に抱かれて、震えている。

柔らかくて小さな生き物。


 いたいけで、俺が守ってやらないとと思えてくる。



百花「じーじ…おとーさんみたい…」


譲二「それ言うなら『お兄ちゃん』だろ」


百花「でも…おとーさんみたい…」


譲二「あ、そう…」


(俺まだ中学生なんだけど…)


譲二「じゃあ、いいよ。おとーさんで…」



 ちょっといじけて答えた。
 

☆☆☆☆☆

疾雷その6


雨が上がった。


百花「じーじ、夕焼けきれいだね!」


譲二「って、うわっ!水たまりの上で、跳ねるなよ!」


百花「ふふっ」


(さっきまで、『雷怖い』って泣いてたのはどいつだよ。)



譲二「これだから、ガキはムカツくんだよ、ったく」


百花「…じーじ、お腹空いた…」


譲二「ハイハイ」


譲二「…ほらよ」


百花「やったー!じーじのサンドイッチだ!」



もぐもぐもぐ



百花「美味しいね!」


譲二「あっ、そ」


百花「じーじのおかーさん、すごいね」


譲二「別におふくろが作ったわけじゃねーよ」



 俺のおふくろは料理なんかしない…。

料理はメイドの仕事だ。


百花「ふくろ?」


譲二「…なんでもねー」


譲二「つーか、晴れたんだから、もう帰れ」


譲二「みんな心配してるだろ」


百花「そうだ、かくれんぼの続き…」



(まだ、遊ぶ気か?)



譲二「そっちじゃなくて…」


譲二「お前の母さん、心配してんじゃねーのかよ」


百花「…」


百花「じーじ、『優しい人』だね」


譲二「は⁉︎俺が?」


百花「お友達の心配できる人は『優しい人』なんだよ」


譲二「…なんだそれ。だせー」


百花「だって、みえこ先生が言ってたもん!」


譲二「あ、そう」


百花「だからじーじは『優しい人』なんだもん!」


譲二「分かった。分かったから…」


(こんなちびにでも、真っ正面から誉められると、恥ずかしー。)



譲二「もういいだろ…」


百花「あー!じーじ、真っ赤」


譲二「は⁉︎」


百花「たこの滑り台と一緒だ。真っ赤っかだ」


譲二「お前っ…もういいから帰れよ!」


百花「キャハハハ」


百花「じーじ、バイバイ!またねー」


譲二「…」


百花「バイバーイ」


譲二「…おう」


 全く変なちびだ。

 

でも、いちいち気になるのはなんでだろう? 

 

黒船の帰りにはいつもこの公園に来る。

 

百花ちゃんに会えない時は、なんだか物足りなく感じる。

 


 (やっぱり、妹がいないから、妹みたいに思えてうれしいのか?)


 さっきのちびの言葉を思い出した。


百花『じーじ…おとーさんみたい…』


(…やっぱり、むかつく!)

疾雷おわり


失恋〜譲二さん少年時代へ


新緑~譲二さん少年時代

2014-06-02 12:01:22 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉祥寺恋色デイズ、茶倉譲二の少年時代の妄想小説です。
 ネタバレありです。

☆☆☆☆☆
茶倉譲二プロフィール 喫茶クロフネのマスター
身長:183cm 体重:70kg
血液型:O型 特技:歴史語り



 特徴:歴史オタク
ヒロインの初恋の人。公園でサンドイッチをもらったり、抱っこしてもらったりしてた。

 この話の頃の譲二さんは13、4歳くらいの中学2年生。反抗期でちょっと尖ってる。
今回のお話はゲームには出て来ないエピソードを私なりに妄想してみました。
☆☆☆☆☆

新緑その1

 放課後、滝沢をまいて脱出する。

今日は上手く逃げれたみたいだ。

 


 マスターに借りた本は本当に面白かった。

黒船に顔を出すのは一週間ぶりだ。


 マスターは俺の顔を見るととてもよろこんでくれた。

そして、今回は俺をカウンターに座らせると、俺が注文を口にする前に、コーヒーを出してくれる。


マスター「譲二君はブラックだったね。」


 今さらコーヒーのブラックなんて飲めねえとは言えないので、おとなしく観念する。

一口すすると、前回は気づかなかった香ばしい香りがひろがって、苦味も好ましいものに思えてくる。

 


 やはりお客さんがいなくて暇だったのだろう、マスターはカウンター越しに先日の本についての感想を聞いてくる。

 

俺が思ったことを幾つか口にすると喜んでくれた。


マスター「譲二君は中々鋭いものの見方をするね。」




 試しに今学校で習っている元禄時代について聞いてみると、当時の時代背景や人々の考え方、出来事の意義を他の時代を例にあげながら、わかりやすく教えてくれた。


 違う時代と比較して歴史を考えるなんて、思ってみたこともなかったので、それは新鮮な驚きだった。

学校の先生が教えてくれる歴史より、ずっと頭に残る話だった。



譲二「マスター、もう一つ教えてください。サンドイッチの作り方なんだけど…。」


マスター「ああ、ゴメン、ゴメン。話に夢中になってしまって。お腹が空いてしまったかい?」


譲二「いや、そうじゃなくて…。」



 俺はあれから家でマスターが作ってくれたようなサンドイッチを作ろうとしたが、どうしても美味しいものは作ることが出来なかったことを話した。

 


 マスターはにっこり笑って言った。


マスター「じゃあ、今から一緒に作ろう。若いからすぐ覚えられるよ。」

 

☆☆☆☆☆

新緑その2

 マスターと一緒に作ったサンドイッチの残りを持って、あの公園にやってきた。



(今日はあのちびいるかな?)


 砂場で小さな幼児を遊ばせている母親がいるだけだ。


 俺はかなりがっかりした。

俺が作ったサンドイッチをあのちびに食べさせたら、ちょっと得意な気分になれる気がしたのだ。


(あのちび、なんと言う名前だっけ? 桃? いや、百花だっけ?)



 ぼんやり突っ立っていると、タタタッと軽い足音がした。

腰をどんと押されて、つんのめりそうになる。



百花「じーじ! やっぱりじーじだ!」


譲二「お前! いきなり突き飛ばすと危ねーだろ?」


百花「へへっ、ごめんなさい」


 百花ちゃんはうれしそうに笑う。



百花「じーじはやっぱり大きいね。」


譲二「そうか? お前が小さいだけだろ?」


百花「ねぇ、じーじ抱っこして!」


譲二「へっ?」


百花「ねぇ、抱っこ、抱っこ」


譲二「なんで俺がお前を抱っこしないといけないんだよ」


百花「じーじみたいに高いところから、まわりを見てみたい。」


譲二「ジャングルジムにでも上ればいいだろ」


百花「じーじがいい! じーじがいい!」


譲二「ちっ」


☆☆☆☆☆

新緑その3

 俺は百花ちゃんを抱き上げると肩車をした。



譲二「これでいいのか?」


百花「わーい! すごくいろんなものが見える」


譲二「おい! 俺の髪をぐしゃぐしゃにするなよ!」


百花「じーじはいつもこんな景色を見てるのね!」


譲二「見てねぇー。お前は俺の見てるのより上で見てるだろ?」


百花「じーじ。お腹空いた」

 

(ぜんっぜん、聞いてねぇ)




 俺は百花ちゃんを下におろすと、ベンチに座らせ、自作のサンドイッチを与えた。

 


譲二「うまいか?」


百花「うん! おいしい」


譲二「この前のとどっちが美味しい?」


百花「どっちも!」


譲二「あっ、そ」



 わざと渋い顔をしながらも、俺の作ったサンドイッチを美味しいと言ってもらえて、結構嬉しかった。

 


 それからは週に2、3回、黒船に遊びに行った。

 そして、マスターに歴史の話を聞いたり、コーヒーの入れ方を教わったり、サンドイッチを作らせてもらったりした。

 

帰りにあの公園に行けば、3回に2回は百花ちゃんに会えた。


 百花ちゃんは俺にサンドイッチを貰うのを楽しみにしているようだった。


 百花ちゃんは抱っこやおんぶをねだったり、遊び仲間の話や訳の分からない空想の話をたくさんしてくれた。


 兄しかいない俺は妹が出来たみたいで、なんだかうれしかった。

 


 そんな時を過ごしているうちに、季節は移り変わり若葉はしっかりした濃い緑に変わって行った。

新緑おわり


疾雷(しつらい)~譲二さん少年時代


出会い~譲二さん少年時代

2014-06-02 11:22:00 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉祥寺恋色デイズ、茶倉譲二の少年時代の妄想小説です。
 ネタバレありです。

☆☆☆☆☆
茶倉譲二プロフィール 喫茶クロフネのマスター
身長:183cm 体重:70kg
血液型:O型 特技:歴史語り
 特徴:歴史オタク
ヒロインの初恋の人。公園でサンドイッチをもらったり、抱っこしてもらったりしてた。

 この話の頃の譲二さんは13、4歳くらいの中学2年生。反抗期でちょっと尖ってる。
☆☆☆☆☆

出会いその1

 学校に迎えに来た滝沢に気付かれないように、そっと抜け出したつもりだったが、その姿を見られていたようだ。

 

吉祥寺の商店街の中を必死で駆け抜けたが、黒スーツの男に後をつけられている。


 角を曲がったとたんに目についた喫茶店に、俺は慌てて飛び込んだ。

 


 明るい外から急に薄暗い店内に入って、一瞬良く見えなかったが、店内はレトロな雰囲気の落ち着いた店だった。



 荒い息を整えながら、お客さんがだれもいない店内を一番奥のソファーまで歩いていく。

そこは店の入り口からは見えにくい席だった。


 その一番隅っこに座った時、ドアのチャイムの音がして、俺を捜しに来た男が入って来た。

俺は慌てて小さく身を縮め、テーブルの陰に隠れた。


男「ここに中学生くらいの男の子が入ってこなかったか?」


 横柄に尋ねる男に、カウンターの奥にいた店のマスターらしき人が答える。


マスター「ちょうど客足が途絶える時間帯でね。今は誰もいませんよ。」


 男は礼も言わず、舌打ちをして出て行った。



 安堵のため息を漏らす俺の前にマスターは水を持って来てくれた。


マスター「君はお尋ね者なのかな?」


譲二「!」


 銀縁のめがねをかけ、あごひげをはやしたその人はちょっとおどけた表情で俺に微笑んだ。

少ししわの目立つ顔。

でも眼鏡の奥にはやさしい瞳が覗いていた。

 


 マスターの質問には答えずに、俺はぶすっと注文した。


譲二「コーヒー、ください。」


 ここでしばらくほとぼりを冷ましてから、この商店街を探検してやろうと思っていた。

 


 マスターがコーヒーとサンドイッチを運んできた。


譲二「俺はサンドイッチなんて頼んでないですけど…。」


マスター「今日、歴史仲間の例会があってね。サンドイッチを出したんだが、たくさん余ってしまってね。これは私の奢りだよ。」


譲二「…ありがとう…ございます…。」


俺がつぶやくと


マスター「君くらいの年頃の男の子は、いくら食べてもお腹が空くだろうからね。」

 


 俺は、少し背伸びして頼んだコーヒーを一口飲んだ。

 

苦い…。

でも砂糖とミルクを入れるのは男の沽券に関わる気がして、我慢して飲んだ。

 


マスター「やあ、若いのにブラックが飲めるんだね。お代わりも十分あるから、サービスだよ。」


そう言いながら、俺がやっとのことで飲み干したカップになみなみとコーヒーを注いでくれる。


☆☆☆☆☆
 今の譲二さんは先代黒船のマスターを尊敬して真似たいと思っているんじゃないかと、先代のマスターにもあご髭をつけてみました。



☆☆☆☆☆

出会いその2


 マスターはよほど暇なのか、俺の側で話し続ける。

 


マスター「 君は歴史に興味があるかい?」


譲二「…いいえ。」


マスター「そりゃ残念だ。歴史仲間の例会に来てくれる若い会員を探していてね。」


譲二「歴史って、出来事とその年号を覚えるばかりで、あまり面白くないです。」


マスター「学校で習う歴史は年号を暗記するばかりだから、確かに面白くないかもしれないね。」


マスター「でも本当の歴史とは、その時代の人々が世の中を変えようと懸命に生きてきた結果の積み重ねなんだよ。」


マスター「それぞれの時代の人々の思いや行動がぶつかりあって歴史が生まれてきたんだ。」


マスター「いや、今も生まれ続けていると言うべきかな。君も私もその歴史を作る駒の一つなんだ。」


 俺は今迄、そんなことを考えてみたこともなかったので、囓りかけのサンドイッチを手にしたまま、目を丸くしてマスターを見つめた。


譲二「そんなに面白いものなんですか?」


マスター「ああ、学校の歴史と違って、年号なんて覚える必要は無いんだ。そんなものは年表をみて確かめればいいことだからね。」


マスター「それより、その時代に生きた人々がなぜそういう行動を取らなければなかったかや、どういうものの考え方をしていたのかの方が重要だよ。」


 俺は少し興味を覚えて聞いてみた。


譲二「マスターは例えばどの時代が好きなんですか?」


マスター「そうだね。古代や鎌倉時代、戦国時代なんかも好きなんだが、何と言っても一番は幕末かな。何しろこの店に『黒船』と付けたくらいだからね。」


譲二「!」


 そういえば、店の名前は知らないまま、この店に飛び込んだのだった。

テーブルの上にあるメニューをみると、確かに『喫茶 黒船』と書いてある。

 


 サンドイッチを食べながら、マスターに幕末の面白いエピソードを幾つも聞かされた。

そして、俺にも読めるような歴史小説と紙袋に入れたサンドイッチをお土産に持たされて、店を後にした。

 


マスター「小説はゆっくり読んでいいからね。こっちへ来る用がある時に、いつでも返しに来ればいい。」




☆☆☆☆☆
 譲二さんの歴史オタクも、元々ではなく先代黒船のマスターに影響を受けた設定にしてみました。


 中学~高校生時代って、家族以外のまわりの大人から影響を受けて、大きく成長していくものですよね。


☆☆☆☆☆

出会いその3


 店を出た俺は小さな公園を見つけた。

 

赤いタコの形をしたすべり台がど真ん中に陣取っている。

 

(家に帰るのはまだ早いし…、そうだここでさっき借りた本を読もう。)


 ベンチに座ってごそごそしていると小さな女の子が声をかけてきた。

 


百花「お兄ちゃん、ハル君知らない?」

 


 俺は女の子の顔をろくに見もせずに答えた。

 


譲二「知らねー。」


百花「じゃあ、お兄ちゃん、イチゴちゃんは?」

 

(うっせえガキだなぁ)


譲二「知らねーって言ってるだろ。」

 


 邪険に扱うとその子は泣き出してしまった。

ぽちゃっとしたほっぺを涙で汚しながら泣いている。

 


譲二「ちょっ、おいふざけんなよ。これくらいで泣くなよ。」


百花「だって、お兄ちゃん、怒った。」


譲二「ちょっと声張り上げただけだろ。怒ってねーよ。」


 ぼたぼたと大粒の涙をながし、泣き止まない女の子を前に、うろたえた俺はマスターのくれたサンドイッチを出した。


譲二「ほら、これでも食ってろ。」

 


 しかし、女の子は黙ったまま手を出さない。

 


譲二「サンドイッチ嫌いなのかよ。」


百花「お母さんが知らない人から、物をもらっちゃダメだって。」


譲二「じゃあ、お前にはやらねー、俺が食う。」

 


 女の子は黙って、俺が手にしたサンドイッチをじっと見つめている。

 

俺が構わずサンドイッチをぱくつくとやはりじっと見つめている。

 


譲二「やっぱりおまえ、食いたいんじゃねぇか。お母さんに内緒にしとけばいいんだよ。」

 


 俺は残りのサンドイッチをその子に持たせた。

でかい口を開けて一生懸命に食べている。

 


譲二「おまえ、すげえ食いっぷりだなぁ。…もう食べちまったのか。」

 


 俺はなんだか可笑しくなった。

☆☆☆☆☆

 最初に百花ちゃんが食べたサンドイッチは譲二さんが作ったものではなく、先代マスターの作ったものとして描いてみました。


 その方が、譲二さんが歴史だけでなくサンドイッチも作ってみたいと思うきっかけをつくることができるからです。



☆☆☆☆☆

出会いその4


百花「私、佐々木百花、お姫さまになるの。お兄ちゃんお名前は?」


 俺が無視していると何度も名前を聞く。

 

鬱陶しくなって「茶倉譲二だよ。」と教えた。



百花「じーじ?」


譲二「譲二」


百花「よーじ?」


譲二「なんでそうなるんだよ。譲二」



 だんだんイラついてくる。

 

百花ちゃんはまた口を歪め目に大粒の涙をためている。

 

なんて泣き虫なんだ。

俺は面倒くさくなった。



譲二「じーじでいいよ。じーじで。」


百花「じーじは大人になったら何になるの?」


譲二「しらねぇ。」


百花「じゃあ、百花が決めたげる。えーとね。じーじはパン屋さん。」


譲二「ならねぇよ。」


百花「じゃあ何になるの」


譲二「俺は金持ちになるんだよ。」



 俺はいずれ茶堂院グループのどれかの会社を経営していかなければならない。

それは子供心にもわかっていた。



百花「かねもち?」


譲二「王様みたいなもんだよ。」


百花「じゃあ、じーじは百花のお父さんだね。」


譲二「なんでそうなる」


百花「百花はお姫さまだから、王様のじーじはお父さん。あれ、でも百花のお父さんはお父さんで、じーじもお父さんで、あれ、あれれ?」


譲二「じゃあ俺は王子様で」


 ちゃっかり言ってみる。



百花「王子様はもういるの。えっとね。ハル君とイチゴちゃんとリュウ兄とタケちゃん」


譲二「多すぎだろ」


百花「でね、百花とりっちゃんがお姫さまなの」



 百花ちゃんはウットリとした目で空を見上げた。



譲二「あっそう。」


春樹「百花ちゃーん、どこー?」


百花「あっ、ハル君たちだ!」


譲二「王子様の登場かよ…」


百花「じーじ、パンありがとね」


譲二「ハイハイ」


百花「じーじ、またあそぼうね」


譲二「ハイハイ、お姫さまの仰せのままに」



 百花ちゃんの頭をぐしゃぐしゃとなでる。



百花「えへへっ」


譲二「…!」


譲二「…なんで、今ので笑うんだよ」


百花「だっていい子いい子してくれたでしょ?」


春樹「百花ちゃーん、早くおいでよー」


百花「うんっ」


百花「じゃあ、じーじ、またね!」


譲二「…」


百花「またね」


譲二「ばか。もう二度とあわねえよ」

 


 喫茶黒船のマスターと百花ちゃんという変な女の子。


 今日出会った2人が俺の人生を変えていくのだが、この時の俺はまだそんなことは夢にも思ってなかった。


出会い終わり


新緑〜譲二さん少年時代へ

☆☆☆☆☆