恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

茶倉譲二 続編第一話~その4

2015-07-13 08:51:43 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二の妄想小説。譲二ルート続編のお話を彼氏目線で眺めてみました。
ネタバレありです。
 

☆☆☆☆☆

茶倉譲二 続編第一話~その4


翌日、また兄貴がやってきた。

もう、いい加減にしてくれ…。

兄貴とは話し合っても結局何も変わらないというのに…。

うんざりしながら、兄貴の相手をする。

案の定、また言い合いになってしまった。

そこへ、百花ちゃんが帰ってきた。

俺が百花ちゃんに部屋に行くように言うと、兄貴がとんでもないことを言い出した。


紅一「君が譲二をここに縛りつけてる子か」

百花「えっ?」

譲二「やめろ、彼女は関係ない!」

紅一「その子が高校を卒業するまで、実家に帰るつもりはないと、そう言っていたな」

百花「あ…」


俺は百花ちゃんを庇うように、兄貴との間に割って入った。


譲二「その話はもうじいさんにもしてある」

譲二「今さら、兄貴にどうこう言われる筋合いはない」

紅一「そのじいさんが倒れたのはお前も知ってるはずだ」

譲二「だから、入院先を教えろと…」

紅一「家に戻るつもりのない人間に教えることはできない」

譲二「…」

紅一「それに俺は、茶倉家の長男としてお前を連れて帰る義務がある」

紅一「いい加減、金にもならない喫茶店なんて閉めて、家に戻って来い」

紅一「お前が茶倉家の人間としてしなければならないことは、いくらでもあるんだ」

俺がしなければならないこと……茶堂院グループの経営に携わること…。

だけど、


譲二「…俺はそんな柄じゃない」

紅一「お前はそう思っていても、それが茶倉家に生まれた者の義務だ」

譲二「義務だなんだって思ってるのは兄貴たちの勝手だろ」


反発しながらも、義務だと言い聞かされて育ってきた俺には一番痛い言葉だった。

譲二「それを俺に押しつけるなよ」

紅一「…言いたいことは伝えた。後はお前次第だ」

紅一「どうせ今日も決着がつかないだろうと思っていたからな。これで失礼する」


兄貴が去って行ったドアをぼんやりと見つめた。

最近疎遠になっていたとはいえ、子供の頃から仲良かった兄貴と言い争うのは正直堪える。


百花「譲二さん…。あの…大丈夫ですか?」


百花ちゃんに心配そうに覗きこまれて、我にかえった。


百花「なんだか…辛そうで…」

譲二「…うん」

ダメだ。ダメだ。

彼女に心配かけちゃ…。

急いで気持ちを切り替える。

彼女を心配させないようににっこり笑って俺は言った。

譲二「いや、大丈夫だよ。百花ちゃん、着替えて手伝ってくれる?」

百花ちゃんは頷くと自分の部屋へと上がっていった。


☆☆☆☆☆


夜、店の片付けをしていると百花ちゃんが1階に降りてきた。


「喉が渇いたからキッチンで水を飲んできた」っていうけど、昼間のことが気になってなかなか眠れなかったんだろうな…。


ちょっとおどけて言ってみる。


譲二「こんな遅くまで起きてたら明日寝坊しちゃうよ」

百花「…そうですね」

百花「それじゃ…部屋に戻りますね」


俺を見上げる瞳が潤んでいる。


譲二「百花ちゃん」


俺は思わず、彼女を抱きしめる。


譲二「ごめん…ちょっとだけこのまま…充電させて」


百花ちゃんを守るためなら…俺はなんでもできる。

好きになった子は何人かいるけど、こんなに愛しくて大切に思える子は百花ちゃんだけだ。


百花「あの…私にできることがあったら言ってください」

譲二「え?」

百花「譲二さんの力になりたいんです」

譲二「…うん、ありがとう。でも、大丈夫」

譲二「百花ちゃんは…ただ、傍にいてくれるだけでいいんだ。
傍にいてくれるだけで…」


彼女の柔らかい身体を抱きしめていると、男としての気持ちが込み上げてくる。

彼女をもっと抱きしめていたい…。

彼女と一つになりたい…。



はっと思ってそっと手を離した。

やばかった…。

冗談めかして言った。


譲二「これぐらいにしないと…悪いオジサンになっちゃいそうだな」

百花「わ、悪いオジサンですか?」


真っ赤になってオドオドしている。

ごめんね。驚かせて…。


譲二「…それじゃ…おやすみ」

百花「はい…おやすみなさい」

百花ちゃんが二階に上がっていく。



あ~あ、とうとう百花ちゃんに甘えてしまった…。

彼女にはいつでも笑っていて欲しいのに…。

彼女だけは守らなきゃいけないのに…。

何してんだろうな……俺。


続編一話 終わり



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