茶堂院グループを立て直した譲二さんが、クロフネに戻って来て何ヶ月か経った頃のお話。
☆☆☆☆☆
〈百花〉
パジャマ姿で「おやすみなさい」と譲二さんの部屋に声をかける。
読書をしていたらしい譲二さんは廊下まで出て来てくれた。
私を抱きしめて、耳元で囁く。
譲二「おやすみ…」
その唇は横にずれて、私の唇を塞ぐ。
いつものおやすみのキスより情熱的で、私の息は上がってしまった。
譲二「…ねぇ……今夜は…俺の部屋に…来てよ」
鼻先に、口元に、頬にキスされる合間にそう囁かれた。
それが何を意味するかわかって…恥ずかしさのあまり、私の頬は熱くなる。
譲二「…いい?」
譲二さんに見つめられて私は一生懸命うなづいた。
譲二「寒いから部屋に入ろう」
そう私は促されて、もう譲二さんのなすがままだ。
譲二さんは私をベッドに座らせると、またキスの続きを再開した。
譲二さんの舌が私の舌に絡み、大きな手は私の素肌をなぞっていく。
思わず身悶えると左腕でしっかりと身体を支えてくれる。
唇へのキスは少しずつ喉元へと移っていき、それは胸元への愛撫へと変わっていく。
服を通して譲二さんの体温を感じる。
でもそれはいつしか肌と肌のぬくもりに変わっていた。
百花「じょ、譲二…さ…ん」
譲二「…そんなに硬くならないで…もっと力を抜いてごらん」
百花「でも…」
譲二「愛してるよ…百花」
私は譲二さんの背中に手を回し、しがみついた。
☆☆☆☆☆
〈譲二〉
彼女の甘い吐息をキスで塞ぐ。
愛しくて愛しくて、最後まで優しく抱きたいのに…どうしても彼女を翻弄してしまう。
(ごめんね。)
譲二「大丈夫?」
彼女は気だるそうに微笑んで、うなづいた。
そっと抱きしめて、頬にキスした。
あどけない表情で生あくびをかみ殺している。
それが切なくなるほど愛しい。
譲二「このまま眠ってもいいよ」
百花「譲二さん…腕が…疲れませんか?」
譲二「このくらい大丈夫だよ」
百花「…」
譲二「百花ちゃん?」
彼女の微かな寝息が聞こえた。
朝まで、彼女を抱きしめたまま眠ろう。
離れて暮らしていた頃の不安もまるで嘘のように、今はこんなに安らかな気持ちでいられる。
譲二「愛してるよ、百花」
彼女の寝顔にそっとつぶやいた。