吉恋番外編の雪遊びを読み返して、譲二さんだけに子供の頃の思い出話が無いのが寂しかった。
なので、思い出話+彼目線も書いてみました。
恋カフェにショートの彼目線はあるけどね、もう少し長くってことで。
子供時代、他のみんなのは10年前で小学生時代なんだけど、譲二ルートでは譲二さんが中学生ってことで13~15歳くらいの話になる。
ということはヒロインは幼稚園児で12~14年前のことと思われる。
微妙にずれてしまうんだよね。
だから「雪遊び」は10年前の大雪の日ってことで、この思い出では高校生の譲二さんに活躍してもらいます。
だから失恋からも少し立ち直ってるのかな?
☆☆☆☆☆
雪遊び~譲二の場合~その9
冷蔵庫の隅にあったスポーツドリンクとコップを持って二階に上がった。
百花ちゃんは眠っていたが、俺の気配に気づいたのか目を開ける。
気分はどうか聞いてみたが、「しばらく眠って随分楽になった」と言ったのでホッとした。
熱を計ると微熱だったが、とりあえずスポーツドリンクを飲ませた。
落ち着いたところで、百花ちゃんが倒れた時のことを説明した。
話しているうちに、あの時の心配な気持ちが蘇ってくる。
譲二「出かける時言った俺の言葉を覚えていたなら、どうしてすぐ戻らなかったの?」
百花ちゃんを責めるようなことは言うまいと思っていたのに、一旦口に出すと止まらない。
譲二「体調が悪いのは自分でも気がついてたでしょ?」
百花ちゃんはシュンとして「ごめんなさい」と謝ってくれた。
別に百花ちゃんを謝らせるつもりで言ったわけじゃないのに…。
できることなら、百花ちゃんのことはいつも守ってあげたい…。
だけど、いくら俺でもいつも守ってあげられるわけじゃない。
譲二「今日はたまたま俺が助けに行けたからいいものの…、いつでも気にかけてあげられるわけじゃないんだよ」
百花ちゃんはまた謝る。
「マスターにも迷惑かけてしまって」と…。
(そうじゃないんだ…。迷惑だからじゃないんだ)
だけど、うまく言い表す言葉は浮かんで来なかった。
譲二「俺は百花ちゃんを預かっている立場なんだからね」
百花「…はい」
今にも泣き出しそうな百花ちゃん。
彼女を責めるような言葉しか言えないことに罪悪感を感じて、俺は黙って部屋を出た。
その10へつづく