吉恋本家では番外編に、付き合いだしてからのバレンタインのエピソードがありますが…。
今回、まだお互いの気持ちが通じてない状態のバレンタインエピソードを考えてみました。
本家エピソードでも、譲二さんにばれないようにチョコを隠す場面がありますが、他のメンバーと違って、一緒に暮らしている分、ヒロインは苦労しますね。(;^ω^A
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ドキドキバレンタイン~その1
今日は2月12日。そろそろバレンタインの手作りチョコをつくらねば…。
チョコの材料は買ってある。包装用の袋と箱も。
レシピは、友達のケメコが『初めてでも大丈夫!簡単チョコレシピ』なるもののコピーをくれた。
なんでもティーンズ雑誌に載っていたものだそうで、ケメコは「私も一度作ったけど上手くできたよ」と太鼓判を押してくれた。
この記事には『チョー簡単!義理チョコもこれでOK!』なるレシピも載っていて、みんなへのチョコはこれにしようと考えてる。
後は調理スペースだけど、これはもうマスターに頼んで厨房を借りるしかない。
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お店を閉めた後、夕食の時にマスターに頼んでみた。
百花「あの…マスター…。片付けが終わってからでいいので、厨房をお借りしてもいいですか?」
事前に何度も練習した『調理実習の練習をしたい』という言葉を発する前にマスターは言った。
譲二「今日使うということは…手作りチョコを作るのかな?
いいよ、好きに使って。
片付けは百花ちゃんのチョコ作りが終わってからゆっくりするから、終わったら声をかけてね」
思わず上ずった声で「はい」と答えてた。
マスターには何もかもお見通し、なのにどうして私のこの気持ちだけは伝わらないんだろう?
このクロフネで一緒に暮すようになって10ヶ月、マスターへの想いはますます募っていた。
マスターはとても優しいし、私のことをいつも気遣ってくれる。
私が失敗して落ち込んだ時にはさりげなくなぐさめてくれる。
だけど、それは一人の女性としてじゃなくて…単に子供扱いされてるような気がするんだよね…。
あーあ、早く大人になりたい。
もっと魅力的な大人の女性になったら、マスターも私のことを恋愛対象として考えてくれるかな?
大きなため息が出てしまう…。
あっ、いけない!
チョコを溶かすのは湯煎だけど、気がついたらお湯が煮えたぎってる…。
慌ててボールを外して、温度計を差し込むと温度が高過ぎ
…しかも慌てた拍子に湯煎のお湯がチョコの中に入っちゃったし…。
なんとかしようとしたら、チョコの中に入れようと思ってたクランチが床にこぼれちゃって…。
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惨めな気持ちで箒と塵取りで床をそうじしていると、遠慮がちな声がした。
譲二「百花ちゃん…」
百花「あ、マスターすみません…。汚してしまって…」
譲二「それはいいけど…。ごめんね、さっき百花ちゃんの悲鳴が聞こえたんで、気になって来てみたんだ…」
マスターはチョコとクランチまみれの私を困ったような笑みを浮かべて見つめた。