吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二の妄想小説。譲二ルート続編のお話を彼氏目線で眺めてみました。
ネタバレありです。
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茶倉譲二 続編第九話~その2
〈譲二〉
『クロフネウィーク』を始めてから、数日が経った。
百花ちゃんは毎日、お客さんたちの写真を撮って、壁に飾ってくれている。
その写真は日増しに増えていった。
いつもは仕事が忙しくて、クロフネに訪ねてくることの少ない商店街の人たちも、次々とコーヒーを飲みに寄ってくれている。
「いつでも来れると思ってたけど、クロフネが閉店してしまうなら、もっと頻繁に来ればよかった」
そんなことを言いながら。
そして何より嬉しかったのは、クロフネの閉店を知ったお客さんたちが手紙を送ってくれたことだ。
その手紙の一枚をりっちゃんが壁に貼ってくれている。
理人「すごいね、クロフネが閉店するって知ったお客さんから、こんなに手紙が来るなんて」
百花「みんな、マスターに続けて欲しいって書いてるけど…」
百花「でも『お店が再開したらまた来ます!』って言ってくれる人が多くて嬉しかったな」
そうなんだよね。
こんなにクロフネが愛されていたなんて…。
先代から引き継いでクロフネを続けて本当に良かったよ。
一護「おい…なんでうちの親の写真まであるんだよ」
百花ちゃんは一護にみんなの両親やあい子さんの写真もある、と説明している。
竜蔵「つーか、商店街の奴らみんないるんじゃねえかよ」
そうなんだ。
だから商店街のみんなの顔も、壁の写真で見られる。
それから…常連さんで、毎週来てくれてた人や歴史談義で盛り上がった人や…。
一人ひとりの顔を見ながら思い出すと目頭が熱くなってくる。
ハルがしみじみと言った。
春樹「店の中、手紙と写真だらけになったね」
その3へつづく