吉祥寺恋色デイズ、茶倉譲二の妄想小説です。
☆☆☆☆☆
茶倉譲二プロフィール 喫茶クロフネのマスター
身長:183cm 体重:70kg
血液型:O型 特技:歴史語り、特徴:歴史オタク
ヒロインの初恋の人。公園でサンドイッチをもらったり、抱っこしてもらったりしてた。
この話は3年後編でヒロインと結ばれて、数ヶ月経った頃。譲二さんは実家から帰ってきてクロフネで暮らしている。ヒロインは大学3年生。
今回の絡みはいっちゃんです。(^ε^)♪
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あ・や・ま・ち~その6
〈譲二〉
百花を抱きしめ愛撫する。
しかし、いつもとは違う違和感がある。
愛撫しながら、俺はその違和感の正体に気がついた。
百花は俺と他の男とを比べている?
さらに続けていて、それは確信になった。
間違いない。百花の顔をじっと見つめた。
目をつぶって俺を受け入れようとしているあどけない顔。
しかし、そこには以前とは違うかすかな兆しが見えた。
俺の動きが止まったので、百花は目を開けた。
うろたえた俺はそれを顔に出さないように気をつけながら言った。
譲二「…百花…ちゃん、今日は疲れているみたいだからもう休んだ方がいいよ。…俺はまだ片付けがあるから、下にいくね。」
それだけ言うと百花の額にキスをして部屋を出た。
なんてことだろう。昨日、なかなか帰ってこなかったあの時、誰かとそういう関係になったに違いない。
誰だろう? きっとあいつらの誰か1人には違いないが…。
以前から俺が密かに恐れていたことが現実になったのだ。
あいつらはみんな百花のことが好きだ。そして俺よりも10歳若く、百花と同世代だから感覚も同じだ。
覚悟はいつもしてたじゃないか。
いつか俺よりも若いライバルに百花を取られるかもしれないと。
でも、現実になるとただただうろたえるばかりで、どうしたらいいのか俺にはわからない。
そこへ一護がやってきた。何か思い詰めたような表情をしている。
一護「マスター、百花はいる?」
俺は努めて冷静に答えた。
譲二「ああ、2階にいるよ。なんか気分が悪いみたいで…、今日は遠慮してやってくれないか?」
一護「あいつにちょっと話したいことがあるんだ。」
譲二「百花ちゃんにではなく、俺にまず話すことがあるんじゃないか?」
一護の表情が強ばる。
一護「あいつ、マスターに何か言ったのか?」
やっぱり…、若いな。
鎌をかけたらすぐに引っかかった。
そうか相手は一護か…。強敵だな。
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あ・や・ま・ち~その7
〈譲二〉
譲二「いや、百花ちゃんは何も言わないよ。だが、一昨日から泣いてばかりいる。一護、お前彼女に何をした。」
一護は顔を赤くして俺を睨みつけた。
一護「マスターは気がついているんだろ。俺は百花に自分の気持ちを伝えて、彼女を抱いた。」
やっぱり。叫びだしたくなる気持ちを抑えて静かに言った。
譲二「それは…。彼女の合意の上か? 百花もおまえを好きだと言ったのか?」
一護「俺を…好きだとは言ってくれなかった。でも、キスしたり、抱いたとき俺を優しく受け入れてくれた。」
信じられなかった。
しかし、一護は相手の気持ちを汲み取るのがうまいから、百花が本気で嫌がっていたら、それ以上のことはしなかっただろう。
百花は一護を受け入れたのか…。
譲二「そうか…。だが、百花は今も取り乱しているから…今日のところは帰ってくれないか?」
一護の目がますます鋭くなった。
一護「マスターは…俺に百花に会わずに帰れというのか?
…俺はこの2日の間、百花のことばかり考えて過ごしていた。
メールの返信もくれないし、携帯をかけても出てくれない。」
譲二「それは…百花の心の整理がついていないからだろう。一護は一体何をしたいんだ?」
一護「俺はもうこれ以上、百花をマスターと2人で置いておく気にはなれない。百花は俺の女だ。」
譲二「…それは彼女が決めることだ。俺と一護のどちらをとるか。…しかし、今は泣くばかりで取り乱しているから、そっとしてやってくれ。」
一護「お願いだ、マスター。一目でいいから百花に会わせてくれ。」
譲二「駄目だ。」
一護は俺に詰め寄り、今にも一触即発の状態になった。
百花「2人とも、やめて!」
俺たちの言い争いの声が二階にまで聞こえていたのだろう。百花が店に降りてきた。
一護・譲二「百花!!」
俺は気持ちを落ち着け、2人をソファーに座らせ、コーヒーを入れて2人の前にくばった。
平常心ではいられなくて、いつもより苦めのコーヒーになった。
2人ともコーヒーカップに手をつけることもなく、黙り込んでいる。
一護は少し上気した顔で百花をじっと見つめている。
百花は強ばった表情のまま、コーヒーカップを見つめている。
2人並んでいるところは、いかにもお似合いの若いカップルだ。
……なんてことを考えているんだ、俺は。
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あ・や・ま・ち~その8
〈譲二〉
俺はざわめく心を落ち着けて、沈黙を破った。
譲二「百花…ちゃんが…どうしたいかが一番だと思う…。俺はそれに従うつもりだし、一護も多分そうだろう。」
百花「…」
譲二「今すぐに決められないなら、しばらくゆっくり考えたらいいんだよ。
百花ちゃんの部屋には立ち入らないようにするし、隣の部屋に俺がいるのが嫌なら、俺はしばらく1階のソファーで寝るようにしてもいい。」
一護「百花、ここを引き払って俺の部屋に来て欲しい。
俺は百花をマスターと2人だけにはしたくない。
お前がいいというまで、絶対に手は出さない。」
俺も一護も百花の顔をじっとみつめる。
本当はこんな風に百花を追いつめるようなことはしたくなかった。
百花はじっと考え込んでいる。
百花「私…、私はずっとずっと譲二さんのことが大好きで…。
でも、一護君と最後までいってしまって…。
譲二さんを裏切ってしまったのが…つらくて……。譲二さん、ごめんなさい。」
一護「それはお前が悪いんじゃないだろ。
俺が好きだって告白して、押し切ってしまっただけなんだから。
…百花は俺が好きではないのか?」
百花「私…、なんだかよくわからない。
今まで譲二さんのことしか頭になかったから、一護君に急に好きだと言われても…」
俺は胸がざわついた。今までは俺だけが占めていた百花の心の中に、今は一護のことも入っているのだろうか。
譲二「百花ちゃん…、俺は百花ちゃんがどうあろうとずっと百花ちゃんのことを思っている。
でも、百花ちゃんが一護の方が好きになったというのなら…」
俺は…一体何を話しているんだろう…。
一護ではなく、ずっと俺と一緒にいて欲しいとなぜ言えないのだろう。
百花が目に涙を溜めながら、俺を見据えた。
百花「譲二さんは、私に一護君と一緒になってもらいたいの?
私と一護君が結ばれても平気なの?」
譲二「それは…」
一護「百花、俺と付き合って欲しい。」
百花「一護君、ごめんなさい。
今は譲二さんの気持ちを知りたいの。
一護君とあんなになってしまって、悪いのは私だけど…、譲二さんはそれを知っても平気なの?」
譲二「平気な訳ないじゃないか!!!」
思わず叫んでしまう。
譲二「百花は俺のもので、俺だけのもので、一護だろうと誰だろうと、他の男には絶対に渡したくない!!」
百花は涙の間からあの花のような笑顔で俺を見ている。
一護はそんな百花を呆然とみつめていた。
譲二「百花は俺のものだ。手出しは許さない。」
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一護が肩を落として帰った後、俺は百花をそっと抱きしめた。
百花は俺の胸に顔を埋めて泣いている。
百花「譲二さん、ごめんなさい。裏切った私は許してもらえないかもしれないけど、『百花は俺のものだ』と言ってもらえて嬉しかった。
一護君に押し切られて逆らえなくてごめんなさい。」
譲二「…百花…。」
百花「ごめんなさい。ごめんなさい。
許してはもらえないかもしれないけど…。ごめんなさい。」
「いいよ」とも「もう許しているよ」とも百花に言ってやれない自分が情けなかった。
言葉はなくても、優しく抱いてやれたら、百花はそれで救われるかもしれない。
しかし、今はまだ、百花を抱く自信がなかった。
百花の乱れた姿の中に一護の影が見えるのではないかと思うと怖かった。
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その夜は2人で俺のベッドで眠った。
百花を腕に抱きしめたまま眠った。
しかし、いつものように百花を愛してやることはできなかった。
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あ・や・ま・ち~その9
〈百花〉
一護君とのことが、譲二さんにわかってしまった夜、譲二さんは私を抱いてはくれなかった。
2人で寄り添って眠ったけど、昔のように譲二さんは私の額にキスをしただけで、手を出すことはなかった。
私の体は一護君に汚されたから?
もう二度と譲二さんは抱いてはくれないのだろうか?
朝目覚めたとき譲二さんの胸にしがみつくと、譲二さんは私の髪をやさしく撫でてくれた。
譲二「百花ちゃん…目が覚めた? そろそろ起きないと、大学に遅れちゃうね。」
朝食のときも譲二さんは何事もなかったかのように接してくれた。
でも、私のことをずっと「百花」ではなく、「百花ちゃん」と呼んでいる。2人きりなのに…。
私はもう、譲二さんに恋人としては扱ってもらえないのだろうか?
〈譲二〉
朝食の時、百花がチラチラと俺を見て目で訴えかけているのを感じた。
俺は心を隠し、何事もなかったかのように百花に接した。
あいつらに百花を取られるんじゃないかという単なる嫉妬心だけの時は、あんなに激しく百花を愛せたのに…。
いざ一護に百花を奪われてみると、腫れ物に触るかのようにしか百花に接することができない自分が情けなかった。
若い一護のセックスと俺のそれが百花の中で比べられるのが恐ろしくて、それで抱けないというのも情けない。
せっかく一護から取り戻したのに…、このままではまた他の男に取られてしまう…。
このままではだめだ…。
そうだ。
今夜こそ、百花が帰って来たらじっくり2人で話そう。
百花が帰ってくる時間に合わせて、closeの札を出した。
〈百花〉
まだ夕方なのに、クロフネにcloseの札が出ている。
胸騒ぎがして、私は慌ててお店に入った。
百花「ただいま…譲二さん、もうお店を閉めてしまったの?」
譲二「百花ちゃん、おかえり」
譲二さんがにっこり笑って迎えてくれたので、ほっと胸を撫で下ろした。
お店の真ん中のテーブルに花とキャンドルグラスが飾ってあって、ワイングラスとフォークとナイフ、スプーンが2人分セッティングされている。
百花「どうしたの?」
譲二「今夜は百花ちゃんとゆっくり過ごそうと思って、早めに店じまいしたんだ。
メニューはハンバーグにしたんだけどいい?」
百花「はい。譲二さんのハンバーグは美味しいから大好き。」
譲二「じゃあ、もう少しで出来るから、手を洗っておいで。」
やっぱり子供扱いされている気がする。
でも、レストランのようにちゃんとセッティングされた食事を用意してくれたのがうれしくて、さっきまでの沈んだ気持ちもウキウキしてくる。
手を洗って戻ってくると、冷えたワインのボトルと熱々のハンバーグとスープ、サラダがもうテーブルの上に乗っていた。譲二さんは私の椅子を引いて待っていてくれた。
譲二「どうぞ、お姫さま」
百花「ありがとう。」
譲二さんはロウソクに火をつけると店の灯りを少し落とした。
そして、慣れた手つきで、赤ワインをグラスに注いでくれた。
2人で乾杯して、早速食べ始めた。
キャンドルグラスを通してロウソクの火がわずかにゆれている。
ロマンチックな雰囲気の中、譲二さんと食事できるのがうれしい。
一護君のことがまるで嘘だったように思えてくる。
大学の友達のことなど、当たり障りのない会話で食事は終わった。
☆☆☆☆☆
あ・や・ま・ち~その10
〈百花〉
譲二さんは私にはミントティーを入れてくれ、自分の前にはブラックのコーヒーを置いて、席に座った。
譲二「百花ちゃん…。俺の心の中の整理がついていなくて、昨日から不安にさせてしまってごめんね。」
そうだ。私は自分があんなことをして譲二さんを傷つけてしまったのに、譲二さんが抱いてくれないと不満に思っていた。
譲二さんは平気そうな顔をしていたけど、全然平気じゃなかったはずだよね。
百花「私こそ…、本当にごめんなさい。」
譲二「ちょっとまって。百花ちゃんはもう謝らなくていいよ。
昨日十分謝ってくれたし、一護じゃなく俺を選んでくれて…、俺は本当にうれしく思っている。」
優しい瞳で見つめる譲二さん、私は申し訳なくて涙が湧き出てくる。
譲二「百花ちゃん、泣かなくていいんだよ。
百花ちゃんが一護に告白されたのは、俺が油断して百花ちゃんを寂しくさせてしまったのもあるんだから…。」
百花「譲二さんは悪くないです。譲二さんは何にも悪いところなんかないです。悪いのは私。」
譲二さんはハンカチで私の涙を拭いてくれた。
譲二「ほらほら、そんなこと言わない。百花ちゃんだって悪くないよ。可愛すぎて、男が放っておけないだけだから。」
譲二さんはカップにミントティーのお代わりを注いでくれた。
百花「譲二さん、私はもう譲二さんの恋人でいる資格はないですか?」
譲二さんが驚いたように私を見つめる。
譲二「どうして…そんなことを。
もしかして、昨日の夜、俺が百花ちゃんを抱かなかったから?」
百花「それもあるけど、私のこと呼び捨てで呼ばなくなりましたよね。」
譲二「ああ…そうか、ごめん。
俺も昨日のことで百花に遠慮が出来たみたいで、馴れ馴れしくしたら嫌われるんじゃないかと…臆病になっていたんだ。」
百花「譲二さんが…?でも、譲二さんはいつも冷静で…。」
譲二「前にもいったろ。俺は百花ちゃんが思っているほど、大人でもないし、強くもないって。」
譲二さんはちょっと寂しそうに笑った。
譲二さんは少し考え込んでから言った。
譲二「百花。ちょっと嫌なことを聞くね。言いたくなかったら、言わなくてもいいよ。」
百花「なんですか?」
譲二「一護に…、その…、抱かれて気持ちよかった?」
私は真っ赤になってしまった。
譲二「ごめん。忘れてくれ。」
百花「いいの。…気持ち…よかったです。
キスされても…何されても、抵抗できなかったのは…感じてしまって…それでされるがままになってしまって…。」
譲二「そうか…。」
譲二さんは明らかにしょんぼりしている。
百花「ああ、でも、一護君より譲二さんの方がずっと上手でしたよ。」
譲二「無理にそんなこと言わなくていいよ…。」
百花「無理に言っているわけじゃなくて、本当にそうなんです。」
真っ赤になりながら、私は力説した。
百花「一護君はストレートで、ちょっと苦しかったり痛かったりしたけど、譲二さんのはいつも優しくて私がすごく感じるように…、してくれているなぁって…」
ふと見ると、譲二さんは可笑しそうな目で見つめている。
譲二「百花に変なことを言わせてしまって、ごめんね。
一護より俺の方が経験豊富なんだから、百花を感じさせて当然だったね。
ばかなことを聞いてしまった。」
譲二さんはふっと笑ってから、真顔になった。
譲二「昨日、俺は百花を抱くのを途中でやめただろ?」
私は無言でうなづく。
譲二「あれは…、百花が俺と別な男を比べているのがわかったからなんだ…。」
百花「!」
譲二「もう1人の男と一緒に百花を抱いているような気がして、それ以上続けることができなくなった。
一護が帰った後も、百花を抱かなかったのは、またそんな風になるのが怖かったからだ。」
百花「ごめんなさい。私、気がつかなくて。」
譲二「百花は悪くないよ。今まで俺しか知らなかったのに、一護という比較対象ができたんだから、比べてしまうのは当然だ…。
ただ、俺には自信がなかっただけだから。」
譲二さんは立ち上がって側に来ると、私の手をとって立たせて私を抱きしめた。
軽く唇にキスをして…、もう一度、もう一度…、角度を変えながら最後には舌を入れて絡ませてくる。
両手で私を抱きしめ、体の線をなぞって行く。
譲二さんは唇を離すとため息をついて囁いた。
譲二「百花、今から一緒にシャワーを浴びよう。」
百花「えっ、一緒に?」
私は恥ずかしくてちょっといやいやをした。
譲二「恥ずかしくても駄目だ。1人ずつ順番に浴びるのなんか待てない。」
私たちは一緒にシャワーを浴びた。
2人の顔が近づくたびに、軽いキスをした。
そして、譲二さんは私の体を愛おしむように丹念に洗ってくれた。
〈譲二〉
2人ともバスタオルを巻いた状態で二階にあがった。
ドアのところからは百花をお姫様抱っこしてベッドに連れて行く。
可愛い百花。
俺だけの百花。
百花は俺以外の男も知ってしまったけれど…、その愛らしさには変わりはなく、俺の腕の中で乱れる姿も変わりない。
愛しているよ、百花。
『あ・や・ま・ち』おわり
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