吉恋本家では番外編に、付き合いだしてからのバレンタインのエピソードがありますが…。
今回、まだお互いの気持ちが通じてない状態のバレンタインエピソードを考えてみました。
本家エピソードでも、譲二さんにばれないようにチョコを隠す場面がありますが、他のメンバーと違って、一緒に暮らしている分、ヒロインは苦労しますね。(;^ω^A
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ドキドキバレンタイン~その2
結局、マスターは床の掃除を手伝ってくれた上にチョコ作りも手伝ってくれることになった。
失敗して、チョコが足りなくなったと言うと、マスターはちょっと待っててと奥から板チョコを何枚か持って来た。
百花「それ…どうしたんですか?」
譲二「ああ、店でホットチョコを出そうかと思って、試作品のために買ってあったものなんだ。あ、ボールに割り入れてくれる?」
百花「刻まなくてもいいんですか?」
譲二「うん、製菓用のチョコに比べて薄いからね。刻まなくてもすぐ溶けるよ」
百花「ホントだ…」
譲二「クランチはまだ残ってるの?」
百花「はい。残りはこれだけですけど」
譲二「これだけあれば十分だね」
百花「マスター、チョコ作りについても詳しいんですね」
私が尊敬の眼差しで見つめると、マスターは照れたようにほほえんだ。
譲二「一護ほどじゃないけどね。これくらいなら」
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マスターがアドバイスをしながら手伝ってくれたので、チョコは次々と完成した。
百花「マスター、ありがとうございました。後は型を抜いて包装するだけですから、自分でします」
譲二「これは?」
百花「あ、それはみんなにあげるチョコで…」
譲二「そっか…。じゃあ、俺もそれを貰えるのかな?」
マスターがにっこり笑った。
譲二「14日、楽しみにしてるよ」
マスターは私の頭をポンポンと軽く叩くと二階へ上がって行った。
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本命の彼に、バレンタインのチョコ作りを手伝ってもらうなんて間抜けな女の子は、日本広しといえども私くらいなものだろう。
私はため息をついた。
本命チョコがマスターのためのものだとバレなかったのは良かったけど…。
チョコを渡した時にも義理だと思われたらどうしよう。
私は一抹の不安を感じながら、チョコを箱に詰めていった。