恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

小説を検索しやすくするためインデックスを作りました

インデックス 茶倉譲二ルート…茶倉譲二の小説の検索用インデックス。

インデックス ハルルートの譲二…ハルくんルートの茶倉譲二の小説の検索のためのインデックス。

手書きイラスト インデックス…自分で描いた乙女ゲームキャラのイラスト記事


他にも順次インデックスを作ってます。インデックスで探してみてね。



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カレ1グランプリさっそく投票してきた

2014-06-17 13:18:07 | ゲーム
カレ1グランプリさっそく投票してきた。
v(^-^)v
 
譲二さんに10票、京牙さんに5票。
♪(*^ ・^)ノ⌒☆
 
後、ハル君、いっちゃん、特捜の桐沢さん、野村さん、木村さんに1票ずつ。
 
ポスターの絵柄は、私的には京牙さんといっちゃんが良かったかな。
 
特に新しい分、京牙さんのイラストは持ってない絵柄なので。(^~^)

『秘密のデート』

2014-06-15 10:00:13 | ハル君ルートで茶倉譲二

 譲二さんルートとの混乱を避けるため、ヒロインの名前は佐々木美緒とします。


☆☆☆☆☆
 好きになったヒロインに迷わず告白し、実力行使にでてしまう男らしい譲二さん。
 ただやっかいなのは、ヒロインが好きなのは譲二さんではなく、別の男の人だった。そう…、たとえばハル君。


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茶倉譲二: 喫茶クロフネのマスター
身長:183cm 体重:70kg

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『それは突然の告白から始まった…』の続き

『秘密のデート』その1

〈美緒〉
 夢の中で、ハル君とキスをしている。甘い甘いキス。

 でもつむった瞼を開けると目の前にいるのは譲二さん。

 譲二さんが言う。
「美緒のことはずっと前から好きだった。」

 あれ…。何かがひっかかる。なんだろう?


☆☆☆☆☆

 朝の光の中、目を覚ます。
 まだ眠っている譲二さんの腕の中だ。

 さっきの夢の中でも言われた言葉。
「美緒のことはずっと前から好きだった。」

 譲二さんと初めて出会ったのは、このクロフネに下宿するようになった時。

 2ヶ月くらい前からのことを「ずっと前から」と言うかな?
  どういうことだろう?

 もしかして、ハル君たちのように譲二さんともずっと昔に会ったことがあったの?

 …わからない。

 眠っている譲二さんの頬をそっと撫でる。

 この人は私の恋人なんだよね。まだ、誰にも内緒だけど。

(これがハル君だったら…)

 ダメダメ。そんなことを考えては。もう後戻りはできないんだから…。

 目を大きく見開いて、込み上げてくる涙をこらえた。


 涙が引いた後、もう一度譲二さんの頬を撫でると、譲二さんは目を開いて優しく微笑んだ。

譲二「おはよう」

美緒「おはようございます」

 私もにっこり微笑んで、譲二さんの胸に顔をうずめた。こんな風に抱き合ったままの目覚めは少し照れくさい。


譲二「今日は天気が良さそうだね。」

美緒「はい。まだ朝早いのにこんなに明るいですよね。」

譲二「今日は店を休みにして…、デートに行こうか。」

美緒「えっ、デート?」

譲二「俺と…えっと…付き合い出してから、まだ一度もデートに行ったことないなあと思って。」

美緒「本当に? うれしい。」

 譲二さんはお店があるから、デートなんてできないと思っていた。

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『秘密のデート』その2

〈譲二〉
 朝の明るい光の中、美緒が俺の頬をなでる感触で目が覚めた。

 この頃美緒は時々、俺に甘える仕草をしてくれる。
 俺は微笑んだ。

譲二「おはよう」

美緒「おはようございます」

 美緒もにっこり微笑んで、俺の胸に顔をうずめた。

 本当に可愛い。こんなことをしていると本当に恋人同士のように思えてくる。

 「お店を休みにして今日はデートをしよう」と俺は誘った。

美緒「本当に? うれしい。」

 美緒の顔は本当に嬉しそうだ。

 相手が俺でも、デートに行くのは嬉しいのかな。やっぱり女の子だな。

譲二「吉祥寺だとみんなの目があるから、早めに出て遠出しよう。どこか行きたいところはある?」

美緒「今日は天気もいいし…、遊園地に行きたいかも。」


☆☆☆☆☆

『秘密のデート』その3

〈美緒〉
 私たちは人目を避けながら電車に乗り、乗り換え駅の構内でモーニングを食べた。

 譲二さんは私を喜ばそうと、親父ギャグもまぜながら色々と面白い話をしてくれる。

 吉祥寺の古い言い伝えなんかもよく知っていて、次々に話がはずんだ。

 (私たち、恋人同士に見えるかな)

 遊園地までの電車内は少し混んでいた。
 譲二さんは自分の体を盾にして私を庇ってくれる。

(ハル君も私をいつもさりげなく守ってくれたけど、譲二さんも同じように優しい…。

あっ、いけない。また、ハル君のことを考えてしまった。)

 遊園地ではジェットコースターに乗り、バイキングやフリーフォールの絶叫系をいくつかこなすと、譲二さんはかなり青ざめていたので、今度はホラーハウスに入った。

 こちらは私がキャーキャー騒いで、譲二さんにしがみつき、最後は譲二さんの背中に顔を埋めたままやり過ごした。

 譲二さんはとてもうれしそうだった。

 その後はランチを食べたり、コーヒーカップに乗ったり、ソフトクリームを食べたり…。

 最後はカップルらしく観覧車に乗った。

 譲二さんと並んで座る。
 譲二さんは肩に手を回して私を抱き寄せる。
 私は譲二さんの肩に頭をのせた。

(まるで恋人同士みたい…というか一応恋人なんだけど)


☆☆☆☆☆

『秘密のデート』その4

〈譲二〉
 俺たちは人目を避けながら電車に乗り、乗り換え駅の構内でモーニングを食べた。

 美緒を喜ばせたくて、色々と面白い話をする。
 彼女は聞き上手で、俺のおしゃべりをのせてくれた。

 遊園地までの電車内は少し混んでいた。
 人ごみで美緒が押されないように、俺の体でカバーする。

 本当に美緒は華奢で可愛らしい。
 彼女をずっとこんな風に守っていたい。

 遊園地では絶叫系をいくつかこなした。絶叫系が苦手な俺は少し青ざめてしまったので、次はホラーハウスに入った。

 ホラーハウスでは美緒がキャーキャー騒いで、俺にしがみつく。

 本当に可愛い。
 最後は俺の背中に顔を埋めたままなので、幽霊から彼女を守りながら出口にたどり着いた。

 うん、ホラーハウスは何度でも入りたいかも…。

 その後はランチを食べたり、コーヒーカップに乗ったり、ソフトクリームを食べたり…。

 最後はカップルらしく観覧車に乗った。
 2人並んで座る。美緒の肩に手を回して抱き寄せた。美緒は俺の肩に頭をのせてくれる。

 肩に美緒の温かさを感じながら思った。

 (美緒は楽しんでくれただろうか。)

譲二「美緒ちゃん…。今日は俺に付き合ってくれてありがとう。」

美緒「私こそ…。とても楽しかったです。」

譲二「そう? なら、よかった。」

 本当は…ハルとこんなことをしたいんだろうな。

 恋人のふりをしているだけの自分が惨めになってくる。

 美緒にキスしたいところだけど…。

 今はただ美緒を抱き寄せて、彼女の温かさを感じていたい。


 帰りの電車では、あまり話しかけられなかった。美緒も疲れたのかあまりしゃべらない。

 吉祥寺の町中を2人で歩くのを避けるため、駅からは美緒に先に出てもらった。

 俺は本屋で少し時間をつぶしてから、帰ることにした。


 

『秘密のデート』おわり

次は『仲違い』



雨季雨季ふぇすてぃばる’14~『雨に濡れた恋人(あやかし)』

2014-06-13 13:21:49 | 今宵、妖しい口づけを

「雨季雨季ふぇすてぃばる第二弾」
『雨に濡れた恋人(あやかし)』さっそくやってみた。

 

 



キャラは千影と京牙さん。(^∇^)

どっちも梅雨のお話だけど、雨が苦手な千影は毎日雨が降り続く中、一緒に出かけてくれなくて…というお話。

今回も仔天ちゃんが可愛い。☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

仔天ちゃんと出かけた先で千影に似合いそうな番傘を買ってプレゼント。千影は喜んでくれるものの、お出かけはしてくれない。(-。-;

でも図書館からの帰りに激しい雨に降られてたら、番傘で迎えに来てくれて…。*\(^o^)/*

2人で、番傘の相合い傘で紫陽花を観に出かけて、最後はずぶ濡れになったので、沙門さんが気をきかせて用意してくれたお風呂に2人で…という展開。

お風呂のシーンはなかなかエロいです。(⌒-⌒; )


さて京牙さん。
こちらは梅雨なのに雨が降らなくて、という話。

何でもこの時期張り切って雨を降らす雨爺という妖が人間からも妖からも雨が嫌われるのに嫌気がさして、雲隠れしたためらしい。ヽ(´o`;

何とかして雨爺を探さなきゃというヒロインに雨が苦手な妖たちは気が乗らない様子。
京牙さんだけが一緒に雨爺を探そうと誘ってくれて、もののけの里へ…。

さすが狼族の族長、キリッ(^_^)と思いきや、単に邪魔の入らない狼族のお城でヒロインとイチャイチャしたかっただけらしい…。(~_~;)

で、水不足で狼族も困っていると分かると、みんなに雨爺を探すと約束して、頼もしい族長の顔に…。(^_^)

このキリッとしたところとヒロインにひたすら迫るデレっとしたところの落差が京牙さんの魅力だよね。

で、もちろんキリッとしたままで終わる訳もなく、2人っきりになったところで、雨爺探しには体力が必要だからとヒロインに迫って、見事致しました。(⌒-⌒; )

京牙さん、本編ではヒロインに配慮してあんなに自制したのに、ヒロインと身体の関係になってからはとってもエロいです。

雨爺の家から京牙さんが臭いを辿って町まできたものの、いろんな臭いに紛れてあとは聞き込みで探すことに。

茶店でヤケ酒を呑んでる雨爺を見つけるも、説得がなかなか大変で…。

結局、雨を待っている人間の子供を見せることで、雨爺の説得に成功し、2人ともずぶ濡れに。

雨に濡れながらのキスシーンもエロいし、またまた沙門さんが気をきかせて用意してくれたお風呂に2人で入るシーンもエロいです。(///∇//)

しっかり京牙さん、堪能させてもらった。

次回、京牙さんの続編エピローグがますます楽しみになって来た。


最近書き始めた話のことなど…

2014-06-12 20:53:53 | 日記

 この前からブログにUPをはじめたハル君ルートの譲二さんの話が、先日めでたく書き終わった。(;´▽`A``

 随分長く書き綴っていたしφ(.. ) 、思い入れも強い話だったのでo(;△;)o、「これ以上の話は続けられないや…」となった後はしばらく放心状態で過ごした。(´□`。)

 で、これから一体どんな話を書こうと模索してたところ、まてよ、男性が10歳上の恋愛がアリなら、女性が10歳上の恋愛というのもアリなんじゃないかと考えた。(°∀°)b

 まあ、そういうのは乙女ゲームでもあるだろうけど、男性を譲二さんにしてそれも決して若くはない譲二さんではどうだろうと妄想をはじめた。

 『最後の恋、僕にください』のヒロインが34歳なので、敢えてアラフォーの女性にしてみようと思ったわけ。

 譲二さんの年齢は35歳(最初は34歳)でヒロインの歳は44歳。途中で譲二さんが誕生日を迎えるので10歳差が9歳差になるわけね。

 ところでみなさん、女性が10歳年上の恋愛って気持ち悪くないですか?。(´д`lll)

 私はどっちかというと気持ち悪い方かな…。
 男性が10歳年上でも別に気持ち悪く感じないのに女性だと気持ち悪いのは完全な偏見だとは思うんだけど…。

 なんかおばあちゃんが若い男を相手にしているようなイメージ(´_`。)があるんだよね。

 男性だと相手に合わせて無理に若返ろうとはしないけど、女性だと必死で若返ろうとすると思うので、そういうところもあるかな…。

 そこで、その自分の気持ち悪い感を薄めるべく、ヒロインを小柄な童顔にして…年取った自分を笑い飛ばせるような女性(^ε^)♪にして…とかいうことをしてたら、えらく可愛らしいヒロインになった。

 極端に小柄な女性にしたもんだから、譲二さんとの身長差が30cm以上ということになって、キス一つするにしても色々工夫が必要となった。(;^_^A

 それと、譲二さんより10歳上という女性の気持ちになって書いていたら、そのいたたまれなさは半端ない。

 
 譲二さんが自分のことを「オジサン」連呼するのをなんでかなぁと思っていたけど、その気持ちがなんか理解できた。


 譲二さんが年下の恋愛話というのは、前に短編で書いた物があるんだけど、それはヒロインの年齢が4つ上で、譲二さんも25歳なので2人とも20代だった。

 だから、主役の2人がこんなに老けててどうよ?(^▽^;)とは思ったけど、書き始めたらなかなか楽しい。

 オジサンぶらなくていい譲二さんは結構楽しそうで、2人の掛け合いも楽しく書いてる。(*^o^)乂(^-^*)

 悲恋のつもりだったのにラブコメだな…。(;´▽`A``

 年下の男性といっても、譲二さんで歳も35歳なのでしっかり大人の男性だし。新しい譲二さんの魅力が書けたらいいなと思ってる。

 今は幼なじみたちも途中から絡み始めて…というところ。

 まあ、話はどう転ぶかわからないし、いつup出来るかもまだ分からないけど…。次の話も色々と考えてるよってことで…。

 期待せずに待っててください。(#⌒∇⌒#)ゞ


茶倉譲二少年時代~別れ

2014-06-12 09:43:11 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

 ネタバレありです。
☆☆☆☆☆
茶倉譲二プロフィール 喫茶クロフネのマスター
身長:183cm 体重:70kg
血液型:O型 特技:歴史語り、特徴:歴史オタク
ヒロインの初恋の人。公園でサンドイッチをもらったり、抱っこしてもらったりしてた。

 この話の頃の譲二さんは17歳の高校2年生。失恋を経験して少し大人になった?


☆☆☆☆☆

別れその1

 百花ちゃんの母親の良子さんから「引っ越します」というメールが入ったのは7月の始めだった。

 百花ちゃんと出会ってから、3年になる。
 俺は高校2年生になっていて、勉強も忙しくなっていたから、前ほど頻繁にはタコ公園に行けてなかった。

 携帯をかけて良子さんに詳しく聞いてみると、引っ越しの日は百花ちゃんの終業式の翌日。
 しかも佐々木さんは仕事の都合でその日より1週間前に単身で転勤先に行くことになるという。

譲二「え? それじゃあ引っ越しは良子さん1人でするんですか?」

良子「引っ越し業者さんに頼むし、細々としたものは私の車に乗せて、引っ越しトラックについて行こうと思っているの」

譲二「でも、百花ちゃんもいるし、良子さん1人じゃ大変でしょう?」

良子「ホントにね。でも、主人はその日も引き継ぎとかで忙しいらしいし、仕方ないわ」

譲二「あの…。俺が手伝いに行っちゃいけませんか?」

良子「え? 譲二君が?」

譲二「引っ越し先からは電車でも帰れるし、男手があった方がいいですよね」

良子「それは…、そうしてくれたら心強いけど…。本当にいいの?」

譲二「もちろん。良子さんには日頃から相談に乗ってもらって、お世話になっていますから」



☆☆☆☆☆

ヒロインの引っ越し時期ですが、ハル君ルートで七夕祭りの時にハル君に「もうすぐ佐々木はひっこすんだろ?」と言われる場面があったので、今回の話では7月後半としてみました。
ただ、引っ越しの日にシロツメクサの冠をハル君が作ってくれるという描写もあったので、もっと前の初夏の頃という想定もあるみたいです。

☆☆☆☆☆

別れその2


 まだ朝だというのにセミがうるさく鳴いている。暑さが2倍増しに感じられる。額の汗を手でぬぐった。

 百花ちゃんの家のインターホンを鳴らすと、ジーンズ姿の良子さんが出て来てくれた。

良子「譲二君いらっしゃい。朝早くからごめんね。荷物はほとんどまとまってるんだけど、まだ業者さんは来ていないのよ」

譲二「お邪魔します」

良子「それにしても譲二君、しばらく会わないうちに随分背が伸びたわね。何センチくらいあるの?」

譲二「181センチ位ですかね」

良子「わあ、でもまだ伸びてたりするんでしょ?」

譲二「はい、伸びてます」

良子「肩幅もがっしりして来てるし…。失恋して泣いていた譲二君の面影はないわね。」

譲二「良子さん、それは言わないでください…」

 あらかたの荷物は段ボールに積み込まれていた。残りの荷物を段ボールに詰め込むのを手伝った。

譲二「百花ちゃんは?」

良子「百花は幼なじみのお友達にお別れを言いに出かけてるわ。あの子がいると邪魔になるから…ちょうどいいんだけどね」

 インターホンがなり、引っ越し業者さんが来た。

 トラックに積み込む作業が始まった。俺も業者さんを手伝って積み込んで行く。

 積み込みがほぼ終わると、
「暑かったでしょう?」
と良子さんがスポーツドリンクのペットボトルを渡してくれた。

良子「そろそろ百花を呼んで来ないといけないわね」

譲二「俺が探してきますよ」

☆☆☆☆☆


別れその3

 百花ちゃんの名前を呼びながら土手を歩いて行く。

 向こうに、幼なじみの男の子達に囲まれた百花ちゃんを見つけた。

百花「じーじ!」

 百花ちゃんも俺を見つけて駆け寄って来る。百花ちゃんは思いっきり抱きついて来た。

 あれから3年経って、百花ちゃんも小学1年生。以前より大きくなっている。

譲二「百花ちゃん、そろそろ行かないと」

百花「じーじも見送りに来てくれたの?」

譲二「俺は引っ越しの手伝いに来たんだよ。だから、引っ越し先までは一緒に行くよ」

百花「ホント? わーい。」

 良子さんの車が走って来た。

良子「百花、譲二君、車に乗って。業者さんのトラックはもう出発したわよ」

 俺たちが車に乗り込むと、百花ちゃんの幼なじみたちが次々と別れの挨拶をした。

春樹「佐々木、またな。手紙書くからな!」

一護「百花、じゃあな。俺のこと忘れるなよ!絶対だぞ!」

剛史「また来いよ! 約束忘れるなよ!」

竜蔵「ぜぇったい、遊びに来いよ!」

理人「ふぇっ…、百花ちゃん…、バイバイ」

百花「みんな! 元気でねー! また、会おうね!」

 百花ちゃんは後部座席の窓を開けて、いつまでも手を振った。

 幼なじみたちが見えなくなると、百花ちゃんは助手席にいる俺に何かと話しかけ、ちょっかいを出して来る。

百花「じーじとドライブするのは初めてだねー」

譲二「…」

良子「じーじがお手伝いに来てくれてよかったわねー」

百花「うん! じーじも新しいお家に泊まるの?」

譲二「…俺は帰るよ」

百花「なーんだ。うちに泊まればいいのに…。ねえ、じーじ、泊まってよ!」

譲二「…いや…泊まれないし…」

良子「百花! 無理いわないの。じーじは引っ越しのお手伝いに来てくれたのよ」

百花「…はーい…」


☆☆☆☆☆

別れその4


良子「この車ナビがついてないのよね。新しい家の辺りの地図は出力してきたんだけど…」

譲二「俺がナビしますよ」

良子「頼りにしてるわ。ホント譲二君が来てくれてよかった!」

 少し迷ったが、なんとか新しい家に着いた。引っ越しトラックは既に待ってくれていた。
 俺も手伝って、家具や段ボールを次々と運び込む。

 家具の配置が終わり荷解きもあらかた終わると、業者さんは帰って行った。
 既に午後1時を回っていた。

良子「あらー、こんな時間。譲二君、よかったらさっき見かけたコンビニでお弁当を買って来てくれる?お茶とインスタントのスープくらいは用意できるから」

譲二「はい。何がいいですか?」

 俺は良子さんにお金をもらうと買い出しに出かけた。当然のように百花ちゃんも付いて来る。しかも、手を握って来た。

 俺は照れくさかったが、「今日で最後だしな」と思いそのままにした。


百花「じーじともう手をつないでお買い物にはいけないね」

 俺は口からでまかせに答えた。

譲二「場所は覚えたから俺がまた来るよ」

百花「ほんとう? わーい」

百花「でも…井の頭公園のスワンボートにじーじと一緒に乗りたかったな…」

譲二「また遊びにくればいいじゃん。百花ちゃんがもう少し大きくなれば電車にだって乗れるだろ?」

百花「そうだね。そうすれば、ハル君やいちごちゃんにも会いに行けるし」

譲二「急に元気になったな…」

百花「え?なに?」

譲二「いや、なんでもねー」

 

☆☆☆☆☆

別れその5

 午後からは、食器を食器戸棚にしまったり、本を本棚に入れたり、細々とした作業が続いた。
 カーテンも前の家ので使えそうなものを吊ったが、これは背の高い俺の仕事になった。

 良子さんはさかんに「助かるわー」を連発していた。

良子「譲二君、今日は何時までここにいられそう?」

譲二「そうですね。7時か…ギリギリ8時台の電車に乗れば、大丈夫かなと…」

良子「うちの人が少し早めに帰って来てくれることになったので、持ち帰りのお寿司を買って来てもらおうと思うの。だからそれを食べてから帰ってもらってもいい?」

譲二「え? そんな…、いいですよ。」

良子「本当は日当も出さないといけないくらいなんだけど、それで許して」

譲二「いや、俺はそんなつもりじゃ…」

☆☆☆☆☆


 結局、良子さんに押し切られて、佐々木ファミリーと夕食を食べることになった。


 良子さんのご主人は気さくな人で、気を使って俺にも色々と話しかけてくれた。

 じいさんのことや俺の父のことも知っているということだった。

 俺が通っている学校の名前を言うと、
佐々木父「もしかして大学はW大学に進学するのかい?」

譲二「はい、そのつもりです」

佐々木父「それじゃあ、私の後輩になるね。あそこはいい大学だよ。学部や学科も色々そろっているしね。」

譲二「そうですね」

佐々木父「何より校風が素晴らしい、自由と自主性を尊ぶところがね」

良子「またお父さんの母校自慢がはじまったわ」


 百花ちゃんはとにかく俺にくっついて、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。

百花「はい! じーじ、お手拭き」

百花「ほら、じーじ、お醤油この皿に入れたよ」

百花「じーじ、お茶を入れたからここに置くね」

百花「これじーじのお汁ね」

 その度に俺は「ああ」とか「おう」とか適当な相づちを打っていた。

 

☆☆☆☆☆

別れその6

 良子さんと百花ちゃんは近くの駅まで送ってくれた。

良子「今日は本当にありがとう。また、メールするわね」

譲二「いいえ。大した役に立っていないのに色々ごちそうしてもらって、ありがとうございました。それじゃあ、そろそろ行きます。」

良子「さようなら。また良かったら遊びに来てね」

譲二「はい。さようなら」

譲二「ちび、またな!」

 百花ちゃんの頭をぐしゃぐしゃとする。

百花「じーじ、さようなら。お手紙書くね!」

譲二「おう!」

 手を振ると改札を抜けた。

 しばらく歩いて振り返ると、改札のところで良子さんと百花ちゃんが手を振ってくれている。
 俺はもう一度大きく手を振ると階段を上った。

 階段を上りきった頃、百花ちゃんの声が遠くで聞こえた。

百花「じーじ!  さ! よ! う! な! ら!」


☆☆☆☆☆


 新学期になってから一度だけ百花ちゃんから手紙がきた。

『じーじ、おげんきですか

 あたらしいがっこうで わたしはがんばってます。

 あたらしいおともだちも できました。

                ももか』


 と、いうような内容だったと思う。

 俺と百花ちゃんらしき人物が手をつないでニコニコ笑っている絵も一緒に送ってくれた。

 俺は面倒くさいので、返事は書かなかった。
 良子さんに『手紙とどいた。ありがとう』というメールくらいは送った気がする。

 良子さんとはメールをし合っていたが、その後百花ちゃんと会うことはなかった。

 高校生になった百花ちゃんが俺の目の前に現れるまでは…。


別れ終わり


雌伏~譲二さん大学時代へ

☆☆☆☆☆


ひとまず少年時代のお話は終わりです。


高校生が年の離れた妹分に対して示す愛情としてはこんなもんかな(;^ω^Aって思います。
むしろ、これ以上関心を示していたとしたらキモチワルイ。
(((( ;°Д°))))

だからこの話の頃は一方的にヒロインの憧れの人という感じだろうね。
小学生1年くらいの女の子から見たら、高校生のお兄さんなんて何でも出来てすごくカッコよく感じると思う。