7/27②
17時半。
ロビー横にある陽の当たるサンルームの椅子に座りとりあえず頼まれたことを。
手が震えて、頭も痛くて、息が吸えない、苦しい。
仕事先に明日お休みをお願いする。
声が震えてしまったのを察知したのか迷惑かけていることを詫びる私に上司のAさんは優しい口調で、
「ほんとうに気にしないでね、お母さんしっかりみてあげて。
いつもしっかり働いてくれてるし心がおれちゃう前に何でも話してほしい、休み変わるくらいしかできないかもしれないけど、komaさんが働きやすいようにしてくれたら嬉しいから。」
泣きすぎてティッシュがなくなり服や腕で拭いつつそれでも嗚咽とまらず。
ハンドタオルの柔らかさが身に染みてきて何でかまた悲しくなる
ここのところずっと、人の優しさと暖かさに何度も助けられて改めていろんなことに気付けた。
ありがとうしか言えないけれど
ありがとうだらけだ。
親戚や母の友達に電話をかけたりメッセージ送ったり。
金曜日帰れるつもりで送ったメッセージが悲しさを倍増させる。
指が震えて涙がとまらなくてマスクもベシャベシャなので水を飲んで一呼吸。
売店でティッシュとマスクを買う。
よっちゃんが19時頃来てくれた。
急に力が抜けて安心して
第2病棟のベンチでは目眩と息が苦しくて待てず
下の売店横の大きな窓の前に
そこでもだんだん苦しくなってきて病院の外のベンチへ二人並んで座る
歩こうか、と周りを散歩。
豪邸や店や色んなものを見つけて喋る、ひたすら歩く、ずっとぐるぐる。
戻る
また外ベンチで膝をかかえたり胡座を、かいたりして夜風に吹かれながら道行く人たちを眺めていた
再び歩きにいく
お店の前にいた野良猫可愛い
こんなところに蕎麦屋があった
怖そうな顔なのに猫にご飯をあげてる。
優しい人なんだな
きっとこの夜のことずっと覚えているんだろう、
蒸し暑い、夜風はぬるいのに外の空気が美味しくて、動悸をかかえながらもじっとしていられなくて、
不安で心配なのによっちゃんと色んな話して少し落ち着いて安心したり。
何とも言えない空気感。
お母さんがんばれ、先生たち頼む!って何度も何度も願う。
この夜をずっと忘れないだろうなぁ
22時半、コンビニへ向かうとき病院から電話。
詳細語らず戻るように言われた。
なに?
早すぎない?
お母さんなにかあった?
息が苦しくて吐きそうで動悸もすごくて急いで戻りたいのに水を掻いてるみたいに全然前に進まない。
前の信号が点滅する、ぼやけて見えない、間に合うのか、ギリギリ。
心配そうにこっちを見るよっちゃんの顔が歪む
えづいた喉に酸っぱいものが上がってくる
でも走れない、何故こんなに苦しい?
目眩もひどい
視界が点のよう
よっちゃんも不安が大きいのか苦しそう
二人で入り口の階段を必死で上がり
ようやくエレベーターに乗る
過呼吸がひどくなり視界がどんどん狭くなってくる
よっちゃんがナースステーションにある手術室のモニターを盗み見るも空っぽ。
母はどこ?生きている?
看護師さんが来た
先生たちは下にいるので案内しますと
母の手術は終わりましたと。
面談室に入る、先生を待つ
長い時間
気が遠くなる
「手術は大きな出血もトラブルもなく無事終わりました」
あぁ…よかった
あれこれ詳しく説明してくれるけれど頭に入ってこない
「念のためICUに1日入ります」
気が抜けかけてる
PCの画面が歪む
やばい、倒れそう
また吐きそうで袋を握りしめる
母に少し会えた
管だらけのマネキンみたいな白い顔
首が痛いとしきりに訴える
手をとると爪が延びてる
切ってあげたいな
小さな手だなぁ
ドレーン入れるため?首の横を切開したことをきっと忘れているのかな
お母さん、よくがんばったね
もう大丈夫だよ
ありがとう
頑張ってくれて
よっちゃんに送ってもらい、シャワーして子どもたちの顔みてもまだ動悸がおさまらない。
夜中だけど録画してあったドラマを観る。
歩きすぎて足が痛いのでマッサージ。
気付けば倒れこむように寝てた
3時間くらいたっている
朝5時
母はどうしているかな
首の痛みはおさまったかな