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どうも、こんにちは。
今年の『霊場魔所の紅葉』シリーズ、第4弾をやります。
本日は京都でも有名な紅葉名所のひとつ、南禅寺をその紅葉光景と共に紹介します。
弊ブログでは、これまでも南禅寺の紅葉光景を取り上げてきましたが、今回『京都妖怪探訪』シリーズでとりあげたのは、ここも妖怪伝説が伝わる場所だからです。
それも創建には、禅僧による妖怪退治の話があったというではありませんか。
もう何年も『京都妖怪探訪』シリーズを続けてきたこの私が、この伝説を見落としていたのは、全くの不覚でしたが。
それで今回、改めて訪れ、シリーズのひとつとして紹介することにしました。
まずはいつもの通りアクセスから。
最寄りの交通機関のひとつ、京都市営地下鉄「蹴上(けあげ)」駅から少し歩きます。
仁王門通りの京都国際交流会館前からまっすぐ正門へ伸びる、比較的広い参道もありますが、今回は横の小さな道を進みます。
南禅寺の入り口、「中門」です。
法堂(本堂)正面へと続く「勅使門」もあるので、ここはその名の通り天皇や勅使(天皇の使者)のみ通る門ですので、我々一般人が通ることはまずありません。
山門を超えたら、早速美しい紅葉の光景が。
有名な「山門」です。
紅葉と共に夕陽に照らされています。
山門から入って先へ。
さて、ここで。
南禅寺の妖怪退治伝説について話したいと思いますが、まず南禅寺の歴史から。
元々この地には、後嵯峨天皇が文永元年(1264年)に造った離宮がありました。その離宮は、その北にあった禅林寺(※紅葉名所としても有名なあの「永観堂」です)にちなんで「禅林寺殿」と呼ばれていました。
のち正応4年(1291年)、亀山法皇は無関普門を開山として、禅林寺殿を「龍安山禅林禅寺」という寺に改めました。
その時に、こんな伝承が伝わっています。
この禅林禅寺には、毎晩妖怪が出没しました。
何も無いところで物音がしたり、物が無くなったり、ポルターガイストみたいに戸が勝手に開いたりなど、怪現象が起こりました。亀山法皇は困り果てて、護摩や加持祈祷などをしましたが、怪現象は止まず、当時80歳だった、東福寺第3世・無関普門禅師に妖怪退治を依頼します。
最初、禅師は「徳は妖怪に勝るからその必要はない」と言いますが、亀山法皇はそれでも頼みこみます。
そして妖怪退治となるわけですが、その退治方法がこれまたユニークです。
禅師は弟子たちを引き連れて、禅林禅寺に入り、座禅をし、禅宗の教えに従って修行と生活を続けたのです。なんと、それだけで妖怪は居なくなり、怪現象も収まったのです。
亀山法皇は、禅師にここの開山を命じ、こうして南禅寺が創建された、と伝えられています。
本堂へ礼拝。
この付近も紅葉に彩られています。
この話の面白い点は、2つあると思います。
ひとつは、「禅宗とは何か」というのを表していること。
もうひとつは、当時の禅宗の勢力を表しているということです。
禅宗とは、座禅だけでなく、料理や食事、掃除、庭の整備など、日常生活のあらゆることが仏道修行と結びつく、という考え方でしたね、確か。
だから、護摩や加持祈祷ではなく、普通に座禅を組んで生活することこそが、妖怪をも退散させる力を持つのです。
また、その当時は禅宗こそが、最も力のある宗教勢力だったことをも、この伝承は示していると、私は思います。
何故なら、こういう妖怪退治伝説の英雄といえば、その時代で最も力を持っていった人たちがなることが多いからです。
酒呑童子などの鬼退治伝説の主人公は、源氏や陰陽師、密教僧など、その当時の体制で、最強の武力を持った武士や、勢力を持っていた陰陽師や密教系寺社勢力の人々でした。
中世ヨーロッパのドラゴン退治伝説でも、邪悪で強力なドラゴンを倒すのは、騎士やキリスト教の聖人、つまりその当時の社会で最も力を持っていたと考えられる人たちです。
「禅僧が禅宗の教えに従って妖怪を退治した」という話から、以上のようなことも推測できるとすれば、なかなか面白いことだと思いますが。
秋の京都名物のひとつでもある、南禅寺の紅葉風景も、こうした知識や推測を持ってみれば、また違って見えると思うのですが、いかがでしょうか。
さて、次にその時公開されていた山門の上に上ってみますが、記事がそこそこの長さになったので、今回は一旦ここで切ります。
それでは今回はここまで。
続きまた次回。
*南禅寺へのアクセス・周辺地図はこちら。
*南禅寺のHP
http://www.nanzen.net/
*『京都妖怪探訪』シリーズまとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
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