京都の闇に魅せられて(新館)

京都妖怪探訪(53):六道まいり:西福寺




 前回に続いて、お盆の「六道まいり」の記事です。
 今回は、シリーズ第31回でもとりあげた西福寺をとりあげます。
 普段はひっそりと静かですが、「六道まいり」の期間中はここも、多くの参拝者や観光客で賑わっています。

 そして今回、なんとこのお寺に伝わる貴重な絵図が公開され、さらに写真撮影のお許しをいただきました。
 普通こういった寺宝ともいうべきものは、期間限定で公開されることはあっても、撮影などはなかなか許可してもらえないものですが。
 でもせっかくの貴重な機会です。ここはお寺の方々に深く感謝し、そしてご厚意に甘えさせていただくことにしました。
 ここで読者の皆様にも、この度それらの貴重な絵図を紹介する機会に恵まれました。


(注意! : 今回は、少々グロい絵の画像を見せることになります。そういうものが苦手な方は、ちょっと気をつけた方がいいかもしれません。特に、お食事中やその前などは‥‥)

 まずは、前回の続きから。
 六道珍皇寺から、松原通りを西へと進みます。
 しばらく行きますと、シリーズ第31回でもとりあげた「幽霊飴の店」と「六道の辻」が見えてきます。





 松原通りの歩行者天国もここまでのようです。
 この辻を挟んで、幽霊飴の店のななめ向かい側に、西福寺の入り口があります。
 普段はひっそりと静かな場所ですが、この「六道まいり(お精霊迎え)」の時期は、多くの参拝者で賑わっています。





 ここ西福寺は、あの弘法大師・空海が自作の地蔵尊を安置し、鳥辺野の無常所として建立した地蔵堂だったそうです。
 六道珍皇寺の小野篂とも交流のあった嵯峨天皇の后・檀林皇后はしばしばここに参詣し、空海に帰依したと伝えられています。

 さて、中に入ってみます。
 やはり、多くの参拝者で賑わっていました。














 前回の六道珍皇寺と同じように、ここでも「水回向」が行われています。
 
 奥の方には、西福寺の「迎え鐘」があります。
 「お精霊」と呼ばれる先祖の霊を迎え入れるための鐘です。





 小さな鐘ですが、よく音が響き渡ります。
 手持ちの水塔婆の数だけ、つまり迎え入れるお精霊(死者の霊)の数だけつきます。


 さて、お寺の本堂の中にお邪魔します。

 本堂の中には、檀林皇后(嵯峨天皇の后)の像が。





 しばしばここに参詣し、空海に帰依したと伝えられる人物です。
 礼儀として、敬意を示すため、この像も拝んでおきます。

 檀林皇后といえば、この寺にはもうひとつ、彼女にまつわる寺の宝があります。
 それが「檀林皇后九相図」です。檀林皇后が死に、その遺体が腐り、朽ちて、土に還っていく様子を描いたものです。





 何故このような絵図が残されているかというと、死や世の無常について考えさせるためでしょう。
 皇后さんとは、単に身分が高いだけの女性ではなく、美貌や知性・教養・気品なども兼ね備えた完璧な貴婦人というべき女性です。そんな人物でさえも、いずれ死を迎え、醜く朽ちていく。
 この寺に縁の深い人物の死んで朽ちていく様をリアルに見せつけることによって、死や世の無常を強く意識させるようになっています。


 次にもうひとつ。
 この寺に伝わる絵図を紹介します。
 室町時代に描かれたという「六道十界図」です。





 これは、人が生まれてから人生を歩み、やがて死に、そして極楽や地獄、修羅道などめぐる様子を描いたものです。
 この絵の細部(地獄の様子)をもうちょっとクローズアップしてみます。












 そして、絵の中央をご覧ください。
 
 
 
 

 前回の六道珍皇寺の「十界図」と同じく、中央に大きな金文字で「心」と書かれてあるのが、重要なポイントです。
 つまり「極楽に行くのも、地獄や畜生道に行くのも、あなた自身の心次第」と説いているのです。

 昔は多くの寺にこのような絵図があり、教化や説法などのために使われていたそうです。
 今回も、普段はあまり考えることのない、死や人生、世の無常等に考えさせられることになりました。
 

 それにしても、このような貴重な遺産に触れるだけではなく、こうして読者の皆様にも紹介する機会に恵まれたとは。
 実は、夜勤明けで疲れた身体で少々無理して訪れたのですが、そうしてまで来て、本当によかった。

 西福寺の皆様には、この場にて改めて感謝の意を表明します。


 それでは、今回はここまで。
 また次回。

 


*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm




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