私は普段ラブ・ストーリーは見ない。
しかし、昨夜見た『窮鼠はチーズの夢を見る』は紛れもないラブ・ストーリーだった。それも純度の高い……。
主人公二人のうちどちらかを女性にすれば、何ということない普通の(まあ、ちょっとただれた感じの)ラブ・ストーリーになる。そしてそれは多分、普段私が見ないジャンルの映画だ。だからかなぁ、ちょっと胃もたれ感が……。
同性同士のラブシーンに色んな意味でwドキドキハラハラはしたが、それ以外に新しさは感じなかった。
だからダメというわけではなく、今の私には特に響くものがなかったということだ。
主人公の大伴のように流されて、愛というより快楽に惹かれる人もいれば、今ヶ瀬のようにひとりの人間に固執して恋をし続ける人もいるだろう。いずれもそれぞれの恋愛スタイルであり、大人である以上、誰かに咎められることではない。(配偶者は除く)
そう、ラブ・ストーリーって結局、私は「お好きにどうぞ」と思ってしまうのだ。だって完全に二人の世界の話でしょ?第三者は何も言えないし、私は他人の恋バナに基本的に興味がない。恋愛は自由だもの。ほら、恋愛相談ほど不毛なものはないじゃない?だって結局、人は自分のしたいようにするから。
さて、そんな私がなぜ『おっさんずラブ』(OL)やタイのBLドラマに堕ちたのか?
そもそも私はOLがラブ・ストーリーだとは認識していなかった。普段ラブ・ストーリーは見ないことを職場で話した時に、「え?『おっさんずラブ』ってラブ・ストーリーじゃない?」と言われ驚いた次第である。
え?OLってラブ・ストーリーだったんだ……。😳
まあ、そうか……。OLは春田と牧の物語であり、見方によってはラブ・ストーリーである。部長から春田への想いもひとつのラブ・ストーリーと言えるだろう。
でも、それだけではないのだ。
OLでは「人を愛するとはどういうことか」がテーマとして描かれていた。それは『2gether』や『Theory of Love』でも、同じだったように思う。
そう、最近の『チェリまほ』でも。
恋愛だけでなく、【人の生き方について】描かれているドラマや映画が、私は好きなんだと思う。
どう生きるのか……。
そのためにどう人を愛するのか。
そこに興味があるのだ。
特に同性同士の恋愛だと、今の世の中では必然的に生き方を問われる場面が多いと思う。障壁がある分、そのたびに選択を迫られるから。
コメディー部分で笑わせながら、あるいはキャラクターの愛らしさでキュンキュンさせながら、ドラマの中で彼らは自分の生き方を明確に私に見せてくれている。
OLやタイBLドラマの軽妙さや甘さに騙されてはいけない。
そこには骨太な【問い】が存在するのだ。
「どう生きるのか?」という。
そんなところに、私はハマったのだと思っている。
『窮鼠はチーズの夢を見る』でも、主人公二人の、人生における互いの存在みたいなものをもう少し意識させてくれたら、面白かったかな。単に恋愛対象ということだけでなく。そういうシーンがないわけじゃないけど……。原作コミックにはもっと描かれているのだろうか?ラブ・ストーリーが好きな人には楽しめる作品だと思う。あと、今思い出したけど、昔見た『ナインハーフ』に似てる気もする。ラブシーンが多く、セリフが少なく、主人公が変わるようで変わらないようでやっぱり変わった?みたいな描き方が。(古くてすみません)