日頃、タイのドラマにお世話になっている身としては、ぜひ英語字幕をつけてほしいと思う。これからは、日本のドラマでも英訳を標準仕様として貰いたい。(個人的願望)
しかし、なぜ、こんなにも主にアジアの国々でBLの需要があるのだろうか?
BLといえぱ、イケメン同士の恋愛、同性だから生まれる試練、それを乗り越えるカタルシス、恋愛の純度の高まりなど、私個人が感じる魅力は沢山ある。ドラマとしての圧倒的な新しさもそうだ。初めて見る、先が読めないストーリーに夢中になる。(ちなみに私はBL初心者です。そう思っています。)
では、BLにないものとは何であろうか?
それは〈生殖〉である。
(あ、引かないでw)
愛もセックスもあるのに生殖はない。同性同士なんだから当然である。
しかし、そもそもBLワールドにその概念そのものがないことが重要なのだ。1ミリもない、微塵もない、影すらない、存在しないということが重要なのだ。
養子を迎えるという描写はあるだろうがそれは生殖の結果ではない。
BLワールドにおいては、地球上のほとんどの生物が背負っている〈業〉のようなもの、自分の遺伝子を生殖によって残すという使命から、恋人たちが自由になっている。
生殖は生物にとって必要不可欠なものでありながら、時に命をかけなければならない危険なものでもある。
人間という生物において、その命に関わる危険性、身体的な苦痛は女性にのみ課せられた呪いだ。
男女の恋愛が成就したとしよう。二人は結ばれました。めでたしめでたし……。
しかし、女である私は知っている。この後、彼女に襲いかかる様々な呪いを。いや初潮を迎えた時からそれは始まっているのだ。それこそ、生殖の準備なのだから。
ざっとキーワードを挙げてみよう。
PMS、生理痛、ナプキンかぶれ、性交痛、避妊の心配、不妊の悩み、つわり、妊娠中毒症、ホルモンバランスの乱れ、腰痛、むくみ、便秘、痔、陣痛、会陰切開、授乳、乳腺炎、マタニティブルーetc……。
これ、当たり前だけど生殖に関して女性にしか起きないこと。もちろん全ての女性にこれらの事象が起こるわけではない。
ちなみに、私は出産経験はない。しかし、経験はなくても、その大変さは容易に想像がつく。いや、実際は想像以上に大変なのだろうけど。
ラブストーリーに女性がいるというだけで、具体的にストーリーとして語られなくても上記の呪いは存在してしまう。特に見る側が女性なら、我が事として無意識のうちに肌感覚でわかってしまう事なのではないだろうか?
二人は結ばれた。ずっと一緒だ。良かったね。おめでとう……。
でも、その後、女性は生殖のための辛苦の海を泳ぎだすのだ。いくらヒロインが幸せそうに笑っていても、出産するなら陣痛はあるし、それは男性なら意識を失うほどの痛みだという……。
いやいや、みんなやってきたことだから!そんなおおごとじゃないでしょう?何より幸せじゃない?そうでしょう?
そんな声が聞こえてきそうだ。
いやいや、何言っちゃってるの?
めでたい事だけどさー、痛いものは痛いし、辛いものは辛いんだよー。無いほうがいいでしょう?!命懸けなんだよ?
みんな経験するからって、なんで甘んじて受け入れなくちゃいけないの?
苦痛は要らないでしょう。しかも女性限定の……。不気味なことに、それさえ言ってはいけない空気、抑圧がある気がする。
しかもさー、このところよく言われる社会的な苦痛もあるよね。保育園問題、マミートラックとかさ。育児に関する諸々も……。
あー。なんかヘビーになっちゃった。
考えるだけでちょっと辛くなる。
なんだろねー。どんより……。
そう。
そんな面倒なもの、呪いを、初めから存在しないものとしてBLは楽しむ事ができるのだ!(スッキリ!)
生物に欠かせない生殖を無視する事で、女性は純粋に愛の物語として、人と人の交歓として、ラブストーリーを楽しむ事が出来る。
だからこそ、BLを求めるのでは???
現実では生殖に関わる苦痛から逃れられない事を、女性は知っている。特にアジアの(農耕民族の)女性たちは我慢することに慣れている。いや、我慢しているということにすら、気づいていないのかもしれない。
しんどい事の多い世の中である。せめてドラマの中では、辛苦の気配さえない世界を、ラブストーリーを堪能したい。女性は無意識のうちにそう思っているのではないだろうか?
BLドラマの需要の陰に、こんな女性の深層心理があるのだと私は思うのだが……。
どうなんでしょうね??🤔
※そんな事を考える私は昨日のKhaiThirdに涙し、3日連続寝不足の中、今日は『チェリまほ』のために全力待機です
BL、エンジョイしてるよー。😁
ちなみに『Stand By Me』まだ英語字幕で見れていません。