見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

メコン川を下るスローボート(その2)

2007-06-27 23:50:31 | ラオス
村の電気は自家発電。夜10時には発電機が止まり、物音ひとつしない静かな夜が訪れた。お姫様ベッドの天蓋レースカーテンのようなピンク色の蚊帳に囲まれて、雰囲気は最高だったのだが、うなりを上げていた扇風機も消灯と共に静かとなり、蒸し暑い夜。シャワーが冷たい水でよかったと思ったのは初めてだった。

翌朝、同宿した乗客たちが「船の出発時間知っています?」と聞き合っている。宿や現地の人に聞くと、それぞれ言う時間が微妙に違う。「出発は9時らしい」「え?8時って聞いたけれど」「8時半から乗船可能だと言われたよ」「昨日乗ってきたのと同じボートに乗るのかな」
河岸に数隻停泊しているスローボートのどれに乗るのかも知らされていないことに皆、初めて気づいた。やがて、「とにかく、8時過ぎに昨日降りた場所へ行ってそこにあるボートに乗ろう」ということになった。

スローボートは、中心部に進行方向に向かった座席が50席ほど、先端と後方部分に板の間にゴザを敷いたスペースが設けられている。
          
昨日は恐らく定員以上が乗船。最後に乗り込んだ人々はエンジンルームの爆音の中で酒盛りをしていた。船旅の快適さは、気に入った席を確保できるかどうかにも影響される。昨日の船旅で早い者勝ちだと悟った人は、かなり早い時間から停泊していた船に乗り込んでいた。昨日の船と違い、ソフトシートの座席がある。
          <今日の船>
8時に乗船し、9時半近くになったが動く気配はない。「出発時間は何時ですか」とチケットチェックに回る職員に聞いたところ「9時。もうすぐ出発」と素っ気無い答えが返ってきた。「でも、もう9時半…」と言い返しそうになって黙った。スローボートなのだ。時刻の正確さを期待してはいけない。
          <昨日の船>
船は再びゆっくり走り出した。目的地の古都ルアンプラバンまで7時間。途中、立ち寄った岸辺では、子どもたちが素早く乗り込んできて冷たい飲み物や食べ物を売り歩く。最初40バーツ(約140円)で売っていた缶ジュースを、出航間際に「20バーツにまける」と売りさばく。大人顔負けの商売人だ。
          
スローボートに対して「スピードボート」も操行している。
同じルートを1日で走破。スローボートで川を下る最中、幾度か高いエンジンの音が近づき、波しぶきが見えたと思うとあっという間に視界から消えた。5,6人乗りの小さなモーターボートに、全員、ヘルメットにライフジャケットを着用。水しぶきをかぶるので、荷物もろともずぶぬれの覚悟がいると言う。
          
スリルを味わうスピードボートか、河岸風景を味わうスローボートのどちらにするか、とツアー会社に訊ねられて、迷うことなくスローに決めた。何よりも料金が数倍違う。
中国桂林の漓江下り、ドイツのライン川下りに匹敵するほどの情緒豊かで素朴なスローボートである。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« メコン川を下るスローボート... | トップ | 住んでみたいまち »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ラオス」カテゴリの最新記事