体の事も心配で、代休を取ってもらうことにした。
その日は、子供達の運動会の予行練習の日。
晴天で、こいちゃんもいっくんも朝起きるとまだベッドにいる伴侶を見ると驚いた。
休日のように4人で朝食を採ると、子供達はお弁当をカバンに詰め、水筒を下げて、予行練習を楽しみにご機嫌でバスに乗り込んでいった。
洗濯などを済ませると伴侶と二人でスターバックスコーヒーに入った。
ゆったりとした時間が流れる。
いつもの休日なら子供達を相手に騒々しく時間が過ぎていくが、大人二人だと実に優雅である。
こいちゃんにぎゃーぎゃー言われる心配もなく「ホワイトホットチョコレート」を注文した。
甘いミルクの風味が漂って、幸せ気分。
のんびりとした時間を楽しみつつ、何故か二人の話題は子供の話に…。
結局こいちゃんといっくんのことを思い出し、そわそわし始め、二人を見に幼稚園に向うことにした。
幼稚園に向うと、沢山の保護者が柵ごしに見守る中、予行練習を行う園児達が園庭に集まり保育体操の真っ最中。
すぐにこいちゃんといっくんを見つけ伴侶と私は盛り上がった。
去年はだらだらと明らかにやるきの無かったいっくんも何とか皆と同じように手を振ったり首を回したりしている。
こいちゃんは相変わらず張り切りが凄く、手を思い切り伸ばし、ジャンプし、後ろから見ていても「気」が漲っている。
朝、家を出る前も気が高ぶりすぎて興奮しまくりのこいちゃんに「表を3周走ってきなさい」と注意したのだが、怪我の防止の為にも、やはり無理やりでも走らせといた方が良かったかもしれない。
園児達は皆とても先生の言う事を良く聞く。
一生懸命、素晴らしい演技する園児達を見ていると、先生達の調教…いやいや、ご指導には舌を巻くと言うものだ。
いっくんの競技や、こいちゃんのかけっこが終わり、午前プログラムの最後、こいちゃんの組体操が始まった。
実は伴侶と私はこれを見にきていたのだ。
組み体操は位置の移動があるため、間違えた場所に陣取るとビデオを持って走り回るハメになる。
こいちゃんの幼稚園最後の運動会を目に焼き付け(ビデオにも焼き付け)るために、一番良く見える場所を確認しにきたのだ。
出来栄えは素晴らしいもので、早くも涙腺がゆるんでしまう。
うるうるしつつもこいちゃんの移動曲線を紙に書き留めて幼稚園を後にした。
伴侶と向ったランチは「リシャルツバーゼル」。
初めて入った店内はとっても静かで、ケーキなどの甘い匂いが漂っている。
伴侶に一口貰ったビーフシチューは長時間煮てあるのか、口に入れると驚くやわらかさである。
カサゴは香ばしく揚げてあり、付け合せの人参バターソテーは甘くて美味。
ナスやチンゲンサイなど、付け合せの野菜類も見事だが、カサゴにかけられたバジルソースは実に私好みで「もう皿洗わなくていいんじゃない?」と伴侶が言うほど、パンで綺麗にとって食べた。
デザートのチーズケーキを頂き、紅茶を飲むと、結構いい時間に。
のんびりしていたら、子供達がバスに乗って帰ってきてしまう。
伴侶と次に向った先は写真スタジオ。
ここでこいちゃんといっくんの「七五三」の撮影をお願いするのだ。
日取りを伝えるとお店の人が「他の日はいっぱいなのに、この日だけは何故かすっぽり開いてるんですよね」と首をひねりながら予約を取ってくれた。
何だかとってもツイているようである。
最後にご祈祷をお願いする予定の神社に向かい、境内などを観察した。
古びており、閑散としているが、掃き清められた歩道や、無数に散らばるどんぐりが何故か嬉しい。
あいにく留守であったが、伴侶と二人で無駄話をしながらどんぐりの道を歩くのは楽しかった。
帰宅する前に私達はビーフシチューの材料を買い込んだ。
ランチで食べたやわらかい肉のビーフシチューを子供達にも食べさせたくなったのだ。
味は追いつかないにしても、やわらかさだけなら私でも何とか真似できる。
二人で過ごしながらも始終子供達のことを考えてしまう私と伴侶も、あと何十年かすれば、当たり前のように二人で過ごすことになる。
寂しくもあり、楽しみでもあり、何とも言えない気持ちが胸をよぎる。
それでも私達はきっと、いつまで経っても、子供達の話をしては笑っているのだろう、と思うのだ。