こいちゃんのときからだから2年以上になる。
先日、その会長が私的な事情によりその子育てサークルが閉鎖の危機に陥った。
それをあまりに残念に思ったOBがどうにかして存続させたいと思い、私に何とか会長をして新しい人たちに引き継ぐように懇願されてしまった。
17年にもおよぶ長い歴史をもつサークルを閉鎖させてしまうのを残念に思う気持ちには大いに同感だったので、一肌脱ぐことになった。
結局、会長に話をつけ、わいのわいの言いながらも、それから私が代表として何とか運営している。
絵本読み、製作、たいそう、お歌や手遊び。
さまざまな遊びを親子で楽しむサークルは簡単なようで実はいろいろ難しい。
母親の育児に対する考え方もそうだ。
芯の部分は昔のまま子供を大事に思う母親がほとんどだが、やはり育児に苦労させられるのは腰がひけるようだ。
本読みや司会が順番に回ってくる、いわば当番制とわかるとそれだけで断るお母さんもいるらしい。
幸いにも、私が代表として作業をまわし始めてから、それを断られたりいやな顔をする母親は今のところいない。
というのも、いっくんがあと2ヶ月で幼稚園に行くため、「本来なら自分たちは放り出されているはずで、いっくんはいなくなる立場なのに、申し訳ない…」と思ってくれるお母さんが多いのが本当のところで、実際助かっている。
あと2ヶ月で会館の予約の仕方から、すべての行事にかかわる年間を通した作業内容などを引き継がねばならず、少しでも早く仕事を割り振りたかった私は、今日のサークルが終わった後、みんなに作業の説明をしたいのでうちに来てもらえないかと、声をかけてみた。
会計や、毎回の日誌など、嫌がる役にさせられるかもしれないとわかっているのだろうが皆は快く集まってくれた。
大人5人と子供が7人集まり、真剣な話し合いが行われた。
子供たちは2階の100エーカーの森に上がって騒ぎ始め、時折喧嘩や泣き声で母親たちが退席する以外は、コーヒーも飲まず行事の打ち合わせや、役割分担が決められた。
おかげで私の仕事はすでになくなるのではないかというほど見事に話が進み、積極的なお母さんたちによってこれからの存続の見通しが十分にたった。
ほっと安心して皆のやり取りを、やっとコーヒーを飲みながら見ていると、あれ?
いつもにぎやかなはずのいっくんはどこに?
台所に気配を感じ、見てみると、なんといっくんとひとつ年下のHA君が朝焼いたパンをほおばっている。
そのパンはサークルに行くために、焼きたてを大慌てで4つほどに切り分けただけのブロック状態の物だったのだが、二人はお構いなしにそのパンにかぶりついている。
出がけに切り分け、そのままキッチンにおいていたのを忘れていた。
一つ年下とはいえ、HA君はかなりのビッグサイズ。
家でもかなりの食事量らしい。
HA君のお母さんはかなり謝ってくれたが、今更よだれだらけのソレを返してくれとも言えず、見事な食べっぷりに見とれていた。
いっくんもはぐはぐと同じようにパンを食べていた。
何故、怒られるのではないか、とか、想像出来ないのかな。いっくんは。
HA君は自分の分を食べ終わるといっくんのパンをひっぱって喧嘩になった。
HA君のお母さんが謝りながらいっくんのパンを半分に分け、HA君に渡したが、今度はHA君のお兄ちゃんであるTA君と取り合いになり、また泣いていた。
いっくんはこれ以上取られては堪らないと思ったのだろう。
パンを持ったまま、2階から台所から所かまわず逃げ回った。
もう、それだけで我が家はむちゃくちゃである。
こいちゃんが3時過ぎに帰ってきた。
みんなに丁寧に「こんにちは」と言って部屋に入ってくるとみんなから「お姉ちゃんね~」と羨ましげなため息がもれた。
幼稚園に行っているのはうちだけなのだ。
こいちゃんも帰宅してみんなが帰ろうと言う事になったため、2階のお片づけなどをみんなで始めることになりあがってみると、とうとう、段ボールハウスは倒壊していた。
ドレッサーや、キッチン、自動販売機まで兼ねそろえた段ボールで作ったハイテクハウス。
長年、こいちゃんといっくんの暴力に耐え、厳しい時代を生き抜いたその家はぺちゃんこにつぶれタダの段ボールと化していた。
あぁ…これでやっと捨てられる……。
何か一つの時代が終わろうとしている。
あと2ヶ月で思い出いっぱいの子育てサークルも卒業。
満足のいく形でサークルにいることができて良かった。
なんて感慨深い、有意義な日になったのだろう。
「今日は本当に良い日だったな…」
階段から廊下まで一面に散らばるパンくずを眺めながら私は思わずつぶやいた。
最新の画像もっと見る
最近の「子供 育児 学校行事」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事