下は年中さん、上は高校1年生までが発表会に参加する。
朝からこいちゃんはおしゃれ出来ることに大変ご機嫌であった。
ドレスを着てコサージュをつける。
髪を巻いて華やかな髪留めでまとめていく。
その一つ一つが嬉しくて仕方ないらしく発表会で自分が舞台に立たなければいけないことなど頭にないようである。
が、どんなにオシャレをしても、お手伝いはきっちりしてもらわねば…。
皆華やかに可愛らしく着飾って、タキシードの男の子も中々凛々しいものがある。
がちがちに固まって1番手を飾る年中さんの可愛らしい女の子、トルコ行進曲を見事に披露した中学1年生など、あっという間に皆の演奏は終わっていく。
とうとうこいちゃんの番が回ってくると、正直親達が緊張している。
控え室にこいちゃんを送り、ドキドキしながら待っていると、こいちゃんの名前が呼ばれテコテコと小さなこいちゃんが大きなグランドピアノの前まで歩いて出てきた。
白い派手な髪飾りをつけた頭をペコリとさげると会場から拍手が沸き起こる。
こいちゃんの発表曲は2曲、練習曲と、ぶんぶん小蜂。
親達の心配を他所に、割と落ち着いた様子で椅子に座りピアノをひき始めた梢を固唾を飲んで見守る。
家で練習するとき、必ず間違える個所があった。
繰り返しをした後のフレーズで、似た個所のフレーズと混同して突然曲が終わってしまう、もしくは余分につなげて演奏してしまうのだ。
さて、本番はどうだ!?
がーん……
ちょっと固まる私と伴侶であったが、こいちゃんは何事も無かったかのように手を置いて1曲目を「堂々」と終了した。
2曲目のぶんぶん小蜂は間違えずにきちんと弾き、演奏を終えた。
席に戻ってきたこいちゃんは興奮した様子で、「ちょっと間違えた~」などと言っていたが大変満足した顔をしており発表会をとても楽しんだようであった。
「発表会、面白かった!もうないの?」と聞くので2年ごとにあることを教えてやると「次も出たい!大きくなってもピアノ頑張る!」と、今回の事で良い刺激を多分に受けたようである。
同じ幼稚園のお友達とも一緒に写真をとったり…。
いっくんも組み体操の形で、きっちり参加する。
とにかく、無事に済んだことで親が一番ホッとしているのである。
そこで、御褒美をかねて花束を買うことになり、こいちゃんの手には大きすぎる花束をプレゼントしたところ、本当に喜んだ。
いとこが来ることになっており、こいちゃんの行きたがった「食べ放題」のお店に皆で行くことになった。
お陰で私は比較的のんびり食事を楽しみ、発表会の疲れを癒したのだ。
間違えたものの、先生に「とても堂々として、おちついた発表でした、よかったですよ!」と言っていただいた。
こいちゃんも充分発表会を楽しみ、ますますピアノを続けたくなったようで、大成功と言う感じである。
私がしてやれることは殆どないが、いっくんがピアノをやりたい間は見守ってあげたいと思うのだ。