かねてから外でランチを楽しむ子供たちのためにウッドデッキを作ってやりたいと言ってくれていた父が、とうとうそれを実現させるために来てくれたのである。
まず、買出しがとても大変であった。
何しろ大量で、強度のある木材を選ぶため一本一本が重い。
しかも長いため、ホームセンターの機械でも切ることが出来ず、トラックを借りて帰るはめに。
てっきり車に乗ると思ってゆったり構えて行ったのだが、慌ててトラックをチャーター。
ついたトラックから子供たちの手まで借りつつせっせと木材を運び込むと庭はいっぱいになってしまい、父と伴侶が出て作業を始めると私が出て手伝う余裕は無い状態になってしまった。
そんな子供達をかいくぐり2人は防虫防腐剤を一本づつ丁寧にハケで塗っていくのだが、いっくんは塗ったばかりの材木に平気で乗ったりしていてとにかく目が離せないのだ。
結局初日は大量の木材の仕入れと防虫防腐剤塗布を終了させた。
父に言わせると、緻密な図面の作成でその作業の4割は終了すると言う。
今日は前日若干足りなかった防虫防腐剤を私が買い出しに行き、その間に早々と2人は作業を開始していた。
そして、子供達は相変わらず父や伴侶に怒られながらも必死に木屑を集めたり、木片を拾っては何度も庭に出たがった。
父は普通の水平機に加えてホースと着色水を使って水平をとったり、使用感ある墨ツボやスムーズな鋸使いで、本職らしい仕事ぶり。
伴侶も負けていない。
始めは分厚い材木に負けそうになる電動ドリルを必死で押さえていたようだが、しばらく作業を進めるうちにスムーズに仕事をこなしていくように。
我が家は震災も経験しており、老朽個所もあり、土台を組むためのコンクリートが割れてゆがんでいた。
そのため、水平に、かつ滑らかに起伏なく土台を組む作業が、大変だったようである。
図面で起伏は計算できない。
全て水平機で確認しながら鋸などを使い微調整しながらネジで止めていく、非常に手間な作業がじりじりと進む。
その上に1センチ間隔を空けながら木を渡し、木ネジで止めていく作業を二人は分担しながらせっせとこなした。
晴天の5月である。
2人は玉の汗をかきながら麦茶を飲み、ひたすら作業をこなす。
そんなときにも子供達はどこにも連れて行ってもらえない不平不満をこぼしていた。
その瞬間は皆、拍手拍手であった。
怪我もなく、無事に出来上がったことが皆嬉しかったのだ。
作業をやり遂げた2人は出来上がったばかりのウッドデッキに座りビールを飲み、子供達は喜びで飛び跳ねた。
子供たちに「ウッドデッキが出来たら、外で花火をしようね」とすでに2人分の花火を購入しているので、明日の夜は花火をする予定になっている。
いっくんは温泉から帰ってきてすぐ、真っ暗な外を見ながら「晩御飯は外で食べる?」と無茶苦茶な提案をしていたが、これからはお昼ご飯に皆で外で食べることも出来るし、楽しみがいっぱいである。
大変な作業をこなしてくれた両親と伴侶、そして今回は来られなかったが、私達のことを常に心配し見守ってくれ、資金まで出資してくれたひいおばあちゃんには、本当に感謝の気持ちでいっぱいである。