台風一家

懐かしい合気道場

先日、伴侶を迎えに行く機会があり、昔通っていた合気道の道場に立ち寄ってみた。
その日は、全くその予定は無かったのだが、無性に懐かしくなり、子供達が車内で眠ってしまったので急に行ってみたくなったのだ。
我が家から、独身時代に通っていたその道場は大変遠いため中々立ち寄ることが出来ない。
本当に何年かぶりに訪れることが出来たのだ。

懐かしい玄関をくぐると、すぐにいつも教えてくれていた先生が出迎えてくれた。
ゆっくり話をしたかったのだが懐かしさのあまり言葉につまる。
他愛も無い話をしているうちにこいちゃんが目覚めてしまった、と伴侶から携帯に電話が入った。
残念ではあったが、これで道場を後にした。
時間にして数分。
もっと懐かしい空気に浸っていたかったが、後ろ髪を引かれつつ車に乗り込んだ。

年齢を重ねると無性に昔のことが気になったり、切ないほど懐かしくなることが増える。
夏の暑い日に滝のような汗を流しつつ練習に励んだことや、足が凍えそうな畳の上、気合を入れて胴着を羽織り背筋を正したことなど思い出せた。
道場が終わって仲間と夜通し話し込んだ事や、悩みを相談したり、技の事について議論したり…。
重ねた練習の年月は長かったような気がしたが、今思えばほんの一瞬であったように思う。
今は距離も遠く離れ、あの頃の仲間はおらず、現実的に復帰することは難しい。
懐かしくも切ない、もう戻らない人生の1ページである。
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