前に買ったはいいけどがっかりした、な感想を書いた「人類危機一髪 巨大怪鳥の爪 カラー版」。これを皮切りに次々とモノクロB級映画をAI着色でカラー化したDVDが発売されていますが、まぁ語るほどのものでもなし。パッケージも無難なものだし。
と、いうわけで「もうカラー化くらいじゃ買わねぇぞ」と決意を心の中で誓っていましたが、「おお、カラー化だけじゃなくてさらにしょうもないしかけを用意してきたか」と、まんまと罠にはまって飛びついてしまったのが、今回取り上げました「ロボット・モンスター」、のカラー&3D版であります。
「ロボット・モンスター」。何度見てもどこにロボット要素があるのかさっぱり分からない本作は、わたしがB級モンスター映画に興味を持ちだした最初期から追っている作品で、日本語化前の輸入盤を含め何本同作のDVDを買ったやら・・・。多分海外製B級映画の中では「プラン9 フロム アウター スペース」か「ロボット・モンスター」かどちらかが一番枚数を買ったはず、なくらいです。前者は他作とのカップリングボックス仕様も買ってるので単独だと本作だと思います。なもんで、これのカラー化だけでもひょっとしたら動いたかも知れません。が、それだけじゃありません。パッケージには高らかに"3D"の文字が踊ります。なるほど、カラー化だけでは釣られないマニアを釣るためにそんな工夫まで。これは買うしかないでしょう(笑)。
なお、3Dと言っても赤青セロファンを貼ったメガネを必要とするやつで、こういうのなら"3D”というより”飛び出す立体映画"と呼称すべきではないでしょうか。しかも必要なメガネは付属品になってます! 紙で作ってあるあっという間に切れそうですけど。これ見て思い出しましたけど、昔のPowerDVDにはDVDソフトを無理やり3D化する機能、あったなぁ。赤青セロファンでメガネを自作しないとみられない方式で。いつの間にかなくなっちゃいましたが、ちゃんと見られたんだろうか。
この3Dメガネ、残念ながら非常に小さく、無理やり耳にかけると頭の大きなわたしでは瞼が圧迫されて目を開くことが出来ません。しょうがないので手で持って3Dモードで鑑賞。なんか奥行がある、というより左上の部分だけめくれたように引っ込んで見えるだけです。まぁこんなもんか。
さらに非常に残念な箇所がありました。それは侵略宇宙人の持つ機械の機能。こいつにはなぜかシャボン玉を大量に発生させる装置がついているのです、役割は全くわかりませんが。強いて立体映画化して奥行が感じられるとファンは楽しめるだろうな、という箇所があるとしたらこのシャボン玉部分くらいなもので、おそらく企画者もそこを狙ったのかと思うのです。しかし、モノクロ映画ですから立体にはカラー化(赤と青化)が必要。その色処理を行った結果、大量のシャボン玉の解像感は完全になくなり、玉どころか四角い紙切れが大量にまかれているようにしか見えなくなってました。これ、3D映像だけじゃなくて同時収録されている2Dカラー部分でも同じだったので、もうDVD解像度じゃどうしようもないんだと思います。また、AIによる軽い3D処理をしただけだと思われますので、個人的に期待していた「紀元前百万年」の流用によるトカゲとワニの決闘シーンもほとんど立体に見えず。基本的には3Dメガネ付き3D版で発売、という事実を笑うためのDVDというところでしょう。解像度を落としたカラー版より撮影中の「映っちゃいけないもの」が良く見えるHDリマスター版の方が欲しいなぁと思う昨今。
それでも、本作には非常に良い点があります。それは今入手できる一番安い「ロボット・モンスター」のソフトであるという点。何度もパッケージ化されている本作ですが本パッケージは久々のもので、旧版は枯渇していて在庫がなく、昨今のインフレ傾向を受けてかかなり高騰しているのです。なので今B級映画に興味を持ち始め、代表作の一本である「ロボット・モンスター」が早く見たい、という人には高騰盤より手が出しやすいでしょう。もちろんいずれはオリジナルのモノクロ版で堪能していただきたいと心より願います。
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