毒舌の日々

なかなか人前で言えないことをぶちまけます。

『日本のすんごい技術 俺たちに不可能はない!』 ドリームファクトリー研究会・編

2020-02-27 12:10:39 | 読書
『日本のすんごい技術 俺たちに不可能はない!』 ドリームファクトリー研究会・編
大林組プロジェクトチーム、清水建設シミズ・ドリームプロジェクトチーム、前田建設ファンタジー営業部・監修
¥1,600+税 中経出版 2012/4/29発行
ISBN978-4-8061-4364-2

前田建設ファンタジー営業部の「マジンガーZ地下格納庫建設」が主目的。
総工費71億7400万円、工期6年5カ月(機械獣襲撃機関を除く)というリアルな数字が光り輝く。
他にもクフ王の巨大ピラミッドとか、出雲大社本殿とか、銀河鉄道999発着用高架橋とか、ドミノピザ月面出店計画、etc...
あらやだ、どれもすてき。
サンダーバードの基地「トレーシーアイランド」がなかなか素っ頓狂で笑える。

> 土木工事と各種施設の建築費を合わせた見積総額は、4496億3671万6000円!
>  でも、それで世界中の人を救えるなら安いものだ!! あとは世界の科学技術を結集して、サンダーバード1~5号機、そして2号機に積み込む高速エレベーター、ジェットモグラ、ジェットブルドーザーなどを開発すればいいだけだ!(194頁)

それだけだ!(笑)

『仏教抹殺 なぜ明治維新は寺院を破壊したのか』 鵜飼秀徳

2020-02-16 12:07:12 | 読書
『仏教抹殺 なぜ明治維新は寺院を破壊したのか』 鵜飼秀徳
¥880+税 文藝春秋(文春新書) 2018/12/20発行
ISBN978-4-16-661198-0

「はじめに」でも触れられているが、2001年にタリバンがバーミヤンの摩崖仏を爆破したとき、日本でも非難の声がTV、新聞、ネット上で踊った。このとき私は「日本もやったじゃん…」と思ったものだ。もちろん、だからタリバンを許せというわけではなく、これが野蛮な行為であることに変わりはない。ただ、完全に他人事のように、まるで日本人はこんなことしないのに、と言わんばかりの態度に釈然としないものを感じたということ。つまり人は、手段を択ばないのだ。権力を持つ者は。そして権力に踊らされることを自ら選んだ者たちは。
 
とはいえ、廃仏毀釈が完全に野蛮で悪行なだけだったかといえば、一概にそうとも言えない側面もある。いろいろ事情があったんですよ。
人々は新時代の到来に大いなる希望を抱き、反面、古いものを過去の遺物と軽視し、破壊行動につながった…が、その破壊度合いは地方によって大きく差がある。著者はその要因を大きく4つ挙げている。
①権力者の、中央政府への忖度、②富国策のための寺院利用(寺から奪った金属類を四条大橋建設に利用した京都市の例など)(廃寺跡を学校に利用)、③熱しやすく冷めやすい日本人の民族性、④僧侶の堕落。
ああ……これは現代日本に通ずるものがある。

京都の事例も想像以上で衝撃的だったけど、伊勢市もすごい。明治天皇行幸のために徹底的に廃寺されている。ここでちょっと興味深い記載があった。
愛知県碧南市の漬物商人が廃仏毀釈の嵐吹き荒れる伊勢で、ちょうど集金したばかりの200両で仏像を片っ端から購入し、碧南市大浜に避難させたという。
碧南市は今でも名刹が多く、私も「大浜寺あるき」というイベントに参加したことがあるけれど、本当にすごいのだよ。地元の皆さんのお寺の親しみ方もいいんだよねー。もともと信心深い土地だからこそ伊勢の仏像救出に奔走したというのもあるだろうし、ありがたい仏像がたくさんやってきたことでさらに仏教への帰依心も強まったのだろうなあ。
 
はあ~、読み応えあったわあ。

『偽憶』 平山瑞穂

2020-02-06 12:05:15 | 読書
『偽憶』 平山瑞穂
¥1,600+税 幻冬舎 2010/11/25発行
ISBN978-4-344-01916-4

> 15年前のサマーキャンプに参加した27歳の男女5人が、キャンプ主催者の遺言執行者と名乗る女性弁護士に突然集められた。この中の1人が遺産31億円の相続資格者だというのだ。”或る事″をした者という以外胡人が明確にしなかった該当者確定のために、5人はキャンプの詳細をレポートにするよう求められる。

2/3くらいまでは面白かったんだけどなあ。
この経緯で、この女を、庇えるもんか?
つーか、怪しすぎるよね、この女。

『ストーカーとの七〇〇日戦争』 内澤旬子

2020-02-03 22:29:54 | 読書
『ストーカーとの七〇〇日戦争』 内澤旬子
¥1,500+税 文藝春秋 2019/5/25発行
ISBN978-4-16-391028-4

怖っ!
ストーカー怖っ!!
内澤旬子も災難な…。
つーか、内澤くらい情報収集能力が高く各種人脈を持つ人でも、異常事態に判断力が低下し、ジャッジミスを起こす。いわんや、一般人では手も足も出まい。

いい弁護士に出会えるかどうかは運次第。なにこれ、こんな奴ぜったいヤダ! って思うような弁護士も登場する。でも右も左もわからない状態でいきなりこの弁護士に会って自信満々にいろいろ言われたら、そういうもんだと思っちゃいそうだ。ううう。

とりあえず警察の対処はよかったよね。これは警察を敵に回したくないと思うのもわかるよ。警察に味方になってもらって、警察に守ってもらわないことにはどうにもならないもん。もちろんそれが警察の仕事なのではあるけど、警察官だって人の子、起訴に至らないとか、成績に結びつかないとモチベーションが低下するとか、そういうのはあるかもとか気を回してしまう側面はないとは言えない。

紆余曲折を経て、恐怖と怒りと不条理を乗り越えて、最終的には逮捕・起訴に至るわけですが、そこで内澤は加害者に加療を求める。
ストーカー加害者の8割は、警察からの注意・警告を受けると翻意するそうだ。
残る2割は、もう自分でも止められない状態らしい。ほとんど依存症。つまりビョーキ。病気ということは治療できるということだ。ギャンブル依存症だって、アルコール依存症だって、困難ではあるけれど治療方法はある。ストーカーについても、精神疾患の一つとして治療すべきという考えを持つ医療従事者もいるにはいる。が、たいへん少数派。
ストーカーが実刑をうけてもたいてい大した長さじゃない。釈放後、被害が再発する恐れを思ったら、治療をするに越したことはないと思うんだけどなあ。
 
ところで、本書でいちばん印象に残ったのは107頁、H検事が調書を口述筆記するシーン。検事ってみんなこれできるの? すごい、それはたしかに頭良くなきゃ検事にはなれないわね……。