毒舌の日々

なかなか人前で言えないことをぶちまけます。

『名探偵誕生』 似鳥鶏

2020-01-28 12:02:55 | 読書
『名探偵誕生』 似鳥鶏
¥1,500+税 実業之日本社 2018/6/10発行
ISBN978-4-408-53725-2

五篇収録の連作短編集。
小学生、中学生、高校生、大学生前後編。
少年は成長する。
そして名探偵が生まれる。

しかし表紙のラストはストーリーから連想する星川瑞人のビジュアルとは違うなあ。
この表紙でジャケ買いする人もいたんだろうけどさ。
 
 

『A』 中村文則

2020-01-24 12:01:42 | 読書
『A』 中村文則
¥1,400+税 河出書房新社 2014/7/30発行
ISBN978-4-309-02302-1

『自由思考』があまりに面白かったので、中村文則を読んでみようと思い、しかし長編はやや怯みが出て、短編集にしてみました。
そしたらこれもまた面白かった。
この得も言われぬ不安定感。
久しく忘れていた感覚。ああそうだ、遠い昔安倍公房とか読んだときに似た。
この感覚で長編……も?
想像するだけでくらくらしてくる。
 
読まねば。

『文庫本は何冊積んだら倒れるか ホリイのゆるーく調査』 堀井憲一郎

2020-01-21 11:56:46 | 読書
『文庫本は何冊積んだら倒れるか ホリイのゆるーく調査』 堀井憲一郎
¥1,600+税 本の雑誌社 2019/9/25発行
ISBN978-4-86011-434-3

ホリイのホントになんの意味もないようなゆるい調査、いいですねえ~。
本当に掛け値なしにゆるいので、読むほうもラクです。
 
> 一冊の本の最初の一文から最後の一文までを自分で制御して書くことはできない。書き出してしばらくは、制御できなくもないけど、途中からは文章の力によって流されながら書きます。
 雑誌の文章でもそうで、書き始めたときに決まってるのは最初の一文だけで、そのあとは、押してくる文章の力と、押し返す自分の意志との按配で仕上げていくしかない。文章にもし技術というものがあるとしたら、その押し引きをいいところで落ち着かせる、という目配りにあるのでしょう。(87頁 人は1年に何冊本を読むのか)

そんな中できらりと光る文章。ここ、すごくすっと来た。そうだよねーって。

調査の内容、人は1年に何冊本を読むのか。私は今でも読んだ本をエクセルで記録をつけてて(見返すことはほぼないんだけど)、ここ数年は一時期に比べてかなり減ったけれどもそれでもたぶん1年で100冊近くは読んでるんじゃないかなあ。数えてみました。2019年は125冊でした。
そうやって記録をつけるのが好きなので、以下の文章に激しく同意。

> 本を読みたいんじゃなくて「読んだ本の記録数を伸ばしたくて読む」という気持ちが出てきたからですね。
 どうも、自分にはそういう方向に歪んだ部分があるよな、と気づいたのですな。(88-89頁)

それを歪んでるというかどうか、これはある種のコレクター気質なのではないかなという気もする。
私は改める気もなく、これからも記録する気満々だし、ていうか、書かないと忘れるし、忘れたからって何の問題もないといえばないんだけど、ごくごくたまーに「以前読んだ〇〇についての本ってなんだっけ」ということがないでもない。
個人的な備忘記録なので第三者が読んでも内容は分からない可能性あり。自分でもわからないかも。あれ? 本当に意味ない。

『データが語る日本財政の未来』 明石順平

2020-01-15 22:13:52 | 読書
『データが語る日本財政の未来』 明石順平
¥900+税 集英社インターナショナル(インターナショナル新書) 2019/2/12発行
ISBN978-4-7976-8033-1

> わかりやすさを重視し、「何でも知ってるモノシリ生物モノシリンが、太郎君に解説する」という対話形式の設定にしました。(3頁)

対話方式にしたからってわかりやすくなるかなあ……。
対話だからなのか何なのか、たしかに文章は平易です。読みやすいです。
日本の財政がめちゃくちゃだということがよくわかります。
すべてを先へ先へと先送りして、あとは野となれ山となれ方式だということがわかります。
こういうめちゃくちゃな財政を進めている政治家たちにも子や孫がいて、将来が無関係なわけでもないはずなのに、なぜこんな無責任なことができるのだろう。財政破綻しても主に苦しむのは庶民たちで自分たちは高みの見物だとでも思ってるんだろうか。ありうる。
日本はどうなるんだろう。
予測がつかない。

> いよいよ先送りの限界が見えてきたところで登場したのが、究極の現実逃避であるアベノミクスでした。[…]結果は見てのとおり大失敗でしたが、それを覆い隠すために[…]数字を操作することが行われました。
 この国は完全に末期症状です。(285頁)


怖い………。

『福袋』 朝井まかて

2020-01-11 11:54:48 | 読書
『福袋』 朝井まかて
¥780+税 講談社(講談社文庫) 2019/7/12発行
ISBN978-4-06-516325-2

8篇収録の短編集。
朝井まかて、短編もうまいじゃないの。
語り手が「筆」という意外性の「ぞっこん」もいいけど、湯屋を舞台の「晴れ湯」が好き。
御隠居の台詞がいい。

> 「いいですか、これはあたしらの手で、小火で済ませます。火消しのお人らは延焼を恐れて、すぐに家を毀してしまいますからね。半鐘を鳴らさせちゃあなりません。松乃湯を毀させちゃあ、なりません」(154頁)