▷お遍路の通行手形と聞いていたので第一の札所霊山寺で買った。日付に住所、氏名を書き、私でございますと名乗る、確かに必要なことであろうと合点し書いて納めた。
▷日付と住所そして氏名。初日は愛知県名古屋市と書いたが、翌日以後は愛知県を省き名古屋市を頭にした。これから先、一日5寺から10寺ほど巡ることになるが、本堂と太子堂に収めることになるとたいそうな枚数になる、ならば名古屋が愛知県にあることはお大師さまも先刻ご承知だと思ってのこと。名前は楷書で書いた。
▷ガイドブックに納札は前日に宿で書きなさいと書いてある。しかし怠け者の私、前夜書くのはなかなか面倒なのだ。巡ったお寺全てに納札を収めたかと聞かれれば正直、NOである。前夜に予定してた寺数を超える日が何回かあった。そんなときは本堂か太子堂の一つで良しと勝手に思ったりもした。
▷そんな時、「私は名古屋から来たクロサワミドリと申します」、お参りする前に自己紹介をしていたのである。お大師さまはきっと聞いてくださっていると確信して。しかし、いま思えば聞き漏らしもあったかもといくらか反省してる。