京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

今日は3回目のお月見の日?

2020-11-24 12:22:01 | 歳時記・文化・芸術
三連休が明け、今日からいつもどおりの日常が戻ってきたという方が多いでしょうか。今日11月24日は今年は陰暦だと10月10日で、東日本を中心に「十日夜(とおかんや/とおかや)」と呼ばれる行事が行われる日です。

稲刈りが終わって田の神(山の神)が山に戻る日とされ、北関東を中心に甲信越から東北地方南部にかけての農村部ではこの日の夜に収穫祭が行われ、別名「刈り上げ十日」とも呼ばれます。




一般的には稲の収穫を祝ってお餅をついたり、来年も五穀豊穣を願ってぼたもちを田んぼにお供えしたり、稲藁を束にしたもので唱え言を言いながら地面を叩くなどの行事が行われるほか、この日の夜にもお月見をし、十五夜、十三夜とあわせて「三月見」と呼ばれます。

なぜか西日本では陰暦10月10日にこのような行事は見られないのですが、同じような歳時として陰暦10月最初の亥の日に収穫を感謝して「亥の子神」を山にお返しし、お祝いについたお餅を「亥の子餅」として食す行事が見られるようです。今年は11月16日が陰暦10月最初の亥の日でした。

この「亥の子」に関しては、5年前の投稿ですが、こちらで紹介していますのでご参照ください。



OGPイメージ



今日は「亥の子」です - 京都園芸倶楽部のブログ


 



さて、京都でも農事として「十日夜」という歳時を目にすることはありませんが、よく似た名称の歳時に、主に浄土宗の寺院で行われる阿弥陀仏への報恩と感謝に基づく仏教行事である「十夜念仏」があります。有名なところだと、こちらは天台宗ですが真如堂(真正極楽寺)では「お十夜」と呼ばれて毎年11月5日から15日まで行われます。

真如堂の十夜念仏については同寺の縁起のなかにその始まりが説かれているそうです。それによると、室町幕府の政所執事を務めた伊勢貞国(平貞国)という武士が、世に無常を感じて阿弥陀仏に深く帰依し、真如堂で三日三晩念仏を唱えると、3日目の明け方に高僧が現れて「おまえが私を信じるなら、来世には必ず救われる。今世のことは3日待ちなさい」とのお告げがあり、実際にその3日後に家督相続の知らせが貞国に届き、その感謝を込めてさらに七日七晩真如堂で念仏を唱えたことから、最初の3日とあとの7日を合わせて行うようになったそうです。ただこれも民俗学的な観点から見ると農事の十日夜(収穫祭)の要素と結びつけられた部分もあるそうです。


今晩はお天気が良ければ、新型コロナウイルスでいろいろとあった一年だと思いますが、現状を感謝して今年3回目のお月見をされてみてはいかがでしょうか。

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