京都御苑に植えられていることは以前から知っていたのですが、毎年見たいと思いながら、他の花に気に取られていつも見逃してしまっていた花を、念願かなってようやく観賞することができました。
リョウブの花です。アオバズクが営巣している木の近くに植えられており、営巣時期は人が近づかないよう柵が廻らされるのですが、今年はその柵のぎりぎり内側になってしまったため、こちらは柵越しに撮影できた花です。
リョウブは北海道南部から九州にかけての山地の日当たりのよい場所や乾いた林内に分布するリョウブ科リョウブ属に分類される落葉小高木で、見た目には何の変哲もない総状花序で、梅に似た白い花を咲かせます。
また、葉は互生なのですが、枝先に固まってつくため、見た目には輪生のように見えます。葉は若芽もしくは若葉のときは甘みがあって食用になり、摘んで生で食べてもおいしいそうです。ただし、ここまで大きく葉が成長すると甘みもなくなりおいしくはないようです。
じつは、このリョウブという和名は漢字で「令法」と書きますが、律令時代の頃に飢饉に備えて葉を備蓄させるため、田畑の面積に応じてリョウブを植えるよう命ずる官令が発布され、一文字目の「令」は備蓄する基準量を指し、二文字目の「法」は発布された官令のことを指すそうです。
飢饉等で食糧が不足したとき、間に合わせの一時しのぎの食料として利用できる植物を『救荒植物』と呼びますが、リョウブはその救荒植物の代表的な植物とも言えるでしょうか。
じつは昨年9月にこちらの記事を投稿しましたが、何かひとつ大事なものを取り上げるのを忘れているのでは……と思っていて、投稿後に思い出したのがこちらのリョウブでした。
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さて、来年は若葉を食べてみたいと思うのですが、京都御苑のリョウブの葉を食べるのは駄目ですから、どこか山で生えているのを見つけないといけないかな?