京都御苑の近衛邸跡近くに植えられているイヌマキ(犬槇)が実をつけているのを見つけました。
イヌマキの実(京都御苑の近衛邸跡近くにて2020年10月撮影)
関東地方以西に分布するマキ科マキ属の常緑高木で雌雄異株です。よく似た種にラカンマキ(羅漢槇)があり、これまでの分類ではラカンマキをイヌマキの変種と扱ってきましたが、イヌマキに学名をつけたスウェーデンの植物学者ツンベルクがタイプ標本として記載した種がラカンマキであったことがわかったため、現在はラカンマキに基本種名をあて、イヌマキにはラカンマキの品種名があてられています。
【従前の学名】
・イヌマキ Podocarpus macrophyllus
・ラカンマキ Podocarpus macrophyllus var. maki
【現在の学名】
・イヌマキ Podocarpus macrophyllus f. angustifolius
・ラカンマキ Podocarpus macrophyllus (Podocarpus macrophyllus f. macrophyllus)
このイヌマキですが、雌木は秋になると特徴的な果実をつけ、果肉部分の花托から種子が飛び出たような奇妙なかたちをしています。この花托は熟すと黒っぽくなりますが、じつは食べられます。甘いというほど甘くありませんが、ゼリー状の食感を楽しめます。ただし白い粉をふいたような緑色の套被に覆われた種子の部分は食べられませんのでご注意を。
またイヌマキという和名は、ホンマキ(本槇)とも呼ばれるコウヤマキ(高野槙)に似たマキという意味でつけられたともされますが、総称としてマキ(真木)とも呼ばれたスギやヒノキに対して材質が落ちるマキという意味でつけられたともされています。スギやヒノキに材質は劣るとはいえ、古くは地中や水中に使用すれば長期保存が可能と考えられ、桶材や井戸の枠や水槽などに用いられていたそうです。
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イヌマキが井戸の枠に使われたということですが、今日11月10日は『井戸の日』です。11月10日を「いい井戸」の語呂合わせで、井戸掘りのプロ集団である全国さく井(さくせい)協会が平成18(2006)年に制定してました。ただ、この5年前にあたる平成13(2001)年に富山県鑿井(さくせい)協会が1月10日を「井戸の日」と制定していたそうですが、2006年以降は11月10日に統一されたそうです。
そして今日は『井戸の日』だけでなく『トイレの日』でもあるそうです。昭和60(1985)年に発足した日本トイレ協会が翌年の昭和61(1986)年1月に開催した第1回トイレシンポジウムで制定した記念日で、こちらも「いいトイレ」の語呂合わせだそうです。ちなみに国連が2013年に不適切な水環境や衛生環境の改善と感染症予防のために制定した『世界トイレの日』は11月19日です。