京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

葉の表裏や枝にびっしりついているのは何?

2019-05-04 06:09:39 | 雑学・蘊蓄・豆知識
葉や枝にびっしりと果実のようなものができているのが見えますでしょうか。では、これがいったい何なのか、わかりますか?




昨日紹介したフジの花を見終えた後、白川疏水通を歩いていると京都大学北部構内近くで見つけた若いエノキ(榎)の木で、枝や若葉に何だか果実のようなものができていました。




葉の表側だけでなく裏側、そして枝にも。瘤だけでなく、葉も少しくしゃくしゃと波打っていますね。




実はこれ、虫瘤(虫癭)です。エノキトガリタマバエの虫瘤で、虫瘤自体をエノキハトガリタマフシとも呼びます。タマバエといっても、分類的にはハエ(蠅)よりもカ(蚊)に近いそうです。ひとつ犠牲になってもらい、割ってみると…




この時期だと中は空洞に見えますが、小さな幼虫が入っています。まだ数ミリの幼虫が入っていましたが、ピントが合わなかったので、撮影はあきらめました。

春になって若葉に産みつけられた卵から孵化した幼虫は、葉の葉脈や枝の維管束に沿ってこのような瘤を作ります。瘤は幼虫による刺激で植物が異常形成したものです。この瘤は6月頃に地上に落ちてしまいます。地上に落ちた瘤の中で幼虫は成長して、夏から秋、冬と越し、翌年の春になると蛹になって羽化します。そして、この成虫が交尾してエノキの若葉に卵を産みつけ、孵化した幼虫が瘤を作る…ということが毎年続いていくわけです。なお、成虫の寿命は数日間のようですね。そのため、成虫を見られるのはほとんど稀だそうで、インターネットで検索しても写真は出てきませんでした。

この虫瘤、ついているのが数個だけだとそれほどではないですが、大量についているとちょっとびっくりしてしまいますね。
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