京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

棘がない?

2018-11-16 06:49:08 | 雑学・蘊蓄・豆知識
金平糖で有名な緑寿庵清水の店先の花壇で白い花が咲き、甘い香りが漂っていたので近づいてよくよく見てみると、なんだか少し変?




花のかたちや匂いはモクセイ属のもので、葉の大きさからするとヒイラギ(柊)みたいですが、葉には少しばかし角ばったところがあるもののヒイラギの特徴である棘状の鋸歯が見当たりません。どうやら、ヒイラギの園芸種であるマルバヒイラギ(丸葉柊)のようです。ときどき庭木や生垣として植えられているのを見かけます。


(鋸歯がとげとげしいヒイラギの葉)


ヒイラギといえば、あのトゲトゲの鋸歯が一番の特徴だといえますが、実は老木になると葉の棘がなくなり、鋸歯のない全縁の葉になります。これを「異形葉」と言いますが、このヒイラギではなく同じような棘状の鋸歯を持つモチノキ属のヒイラギモチ(柊黐)で行われたスペインの研究チームの報告によると、動物や虫による葉の捕食によって「DNAメチル化」という反応が変化し、棘状の鋸歯の遺伝子発現が抑制されたりすることがわかったそうです。地上から2.5mまでの高さのヒイラギモチの葉は棘状の鋸歯が残り、それ以上の高さにある葉は全縁になったとのこと。ただ、この結果がヒイラギにも当てはまるのかどうかは、わからないのですが…


(棘状の鋸歯がある葉と全縁に近い葉)


「棘があってこそヒイラギじゃないの?」とお思いになるかもしれませんが、花の甘い香りと相まって、ヒイラギより優しい雰囲気を醸し出していて、これはこれで楽しめる樹木のひとつだと思います。
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