京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

今日は五節供のひとつ「菊の節供」です

2019-09-09 09:29:29 | 歳時記・文化・芸術
今日9月9日は、陽数で一番大きい「9」が二つ重なる日なので「重陽」と呼ばれ、五節供のひとつです。本来は陰暦(旧暦)で行う行事なので、今のこよみだと10月中旬頃となります。植物ではちょうど菊の花の見頃でもあるため「菊の節供」とも呼ばれます。


(食用菊:2016年の第50回菊花展・京都府立植物園)


五節供といえば、1月7日の「人日」から始まり、3月3日の「上巳」に5月5日の「端午」と7月7日の「七夕」までは、それぞれ「七草粥」「桃の花」「しょうぶ湯」「笹飾り」などが思い浮かび、身近な行事として知られていますが、この「重陽」だけは不思議とあまり関心が持たれていないのではないでしょうか。

では、この「重陽」の日に何をするのかというと、ひとつに「菊の被綿(きせわた)」というのがあります。前日の9月8日に菊の花に真綿をかぶせて朝露で香りを移し、その真綿で重陽の日に身を拭うと、長寿を保ち無病息災に過ごせるという言い伝えがあります。この風習が「菊の節供」と呼ぶ一番の理由になるでしょうか。

他にもいろいろな風習がありますが、やはり「食べる」ということになると、菊の被綿だけでなく食用菊をおひたしや酢の物、お吸い物にしたりして食す風習もあります。菊の花をお酒に浸した「菊酒」もありますが。


(食用菊の酢の物:Photo by 無料写真素材「花ざかりの森」


また、菊だけでなく、秋茄子を食べるという風習もあります。でも、嫁には食べさせないのでしょうか?




そして、栗ご飯を食べるという風習もあります。これは、陰暦9月の13日は「十三夜」で、別名「栗名月」とも呼ばれますので、栗を食べるというのは納得しやすいでしょうか。




ただし、これらは陰暦9月に行われていたことですので、現在のこよみで行うにはちょっと無理がある年もありますよね。

また、長崎・唐津・博多がよく知られる、九州北部で陰暦9月に行われる秋祭りは「くんち」と呼ばれますが、これは陰暦9月9日に行われたことから、9日(くんち)と呼び名が定着したという説があるそうです。


(長崎くんちの龍おどりの龍: Photo by (c)Tomo.Yun


あと、意外と思われるかもしれませんが、この日に「後の雛」と呼ばれる雛祭りを行う風習もあるようです。江戸時代中頃に庶民の間で広まった風習だそうで、桃の花ではなく菊の花であるため落ち着いた雰囲気であることから、子供の成長をお祝いする「桃の節供」に対して「大人の雛祭り」とも言われていますが、じつはお雛様の虫干しも兼ねているとも言われています。




菊の話からどんどんずれていってしまったように感じますが、皆さん今日は「重陽」を祝って何かなさいますか? なお、京都では今日、上賀茂神社で「重陽神事と烏相撲」が、虚空蔵法輪寺では「重陽の節会」が、車折神社では「重陽祭」が行われます。

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